カープダイアリー第8581話「37イニングぶりに入った1点で姿を消した呪縛零(霊)」(2024年4月10日)

ゼロ行進と甲子園の呪縛から解き放たれた。プレーボールからわずか6球で37イニングぶりの得点が入り、三塁側ベンチの表情が明るくなり、レフトスタンドのカープファンが沸きに沸いた。

普通のことを普通にやる。それが不動の三番の仕事。“呪縛零(霊)”を振り払う一打でチームを救った。

ラッキーもあった。阪神先発の伊藤将の球がなぜか甘く入ってきた。昨季のレギュラーシーズン、対戦成績は左腕の2戦2勝、対戦防御率1・17。昨年10月19日のCSファイナルステージ第2戦でもコーナーを突かれて7イニングで1点しか取れなかった。初回、小園のタイムリーで、だ。

突破口を開いたのは野間。ボールカウント1-1からのカットボールが真ん中付近にきたところを引っ張って一塁線を抜きセカンドまで進んだ。菊池が初球で送って一死三塁。最初からこうなることを願っての打順だから、まさに願ってもない展開になった。

小園は初球からスイングをかけてファウル。2球目も真っ直ぐ。外角寄りだったため素直に打ち返した。ツーバウンドした白球が前進守備を敷かなかったショート木浪のグラブに収まるころには野間生還、攻撃開始から3分少々で1点取れた。

マツダスタジアムで合計8時間47分、昨夜の甲子園で2時間28分も戦って遠かった1点が入ったことで沈黙していた打線が通常の姿に戻った。

続く二回だ。一死から上本の詰まった当たりがセカンド後方に落ちると、続く曾澤がレフトへ適時二塁打。さらに二死からアドゥワがバットを折られながら打ち返したらセカンドベースを直撃して一、三塁になった。この一打の、2月のキャンプから復活目指して必死でやってきた右腕への神様からのご褒美としか思えない。

このチャンスに野間が右前タイムリー、さらには菊池の2点二塁打でリードは5点に広がった。ダメ押しは小園。得意の左前打で菊池を迎え入れた。

流れ、とはこんなもの。予期せぬ展開におそらく頭が真っ白になったはずの伊藤将は高目に浮いた球を次々に痛打され二回には代打を送られた。

一方のアドゥワは5回2/3を失点2で乗り切り、開幕2戦2勝と孝行息子を演じることになった。先発転向を提案してくれた新井監督への恩返し…

そんな“奮投”を引き出した曾澤のリードにも指揮官からは花丸が出された。

チームとして先行逃げ切りに成功したのは実は今回が初めて。理想と現実のギャップを少しずつ埋めて戦いながら強くなる。まずは勝率5割まで、あとふたつ…


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