カープダイアリー第8229話「九里vs柳、そして坂倉…で貯金1」(2023年4月11日)

2万973人しか入らないバンテリンドームナゴヤのスタンドは、この日の試合結果を暗示しているようだった。竜党が沸くシーンはわずか。九回、4点ビハインドの無死満塁から、柵越えを期待されたビシエドが初球を打って6・4・3併殺打…

やっと1点が入っても中日打線は32イニング連続で適時打なし。大野雄大が左肘のクリーニング手術を受けることも発表された。これで開幕から9試合を戦いわずか13得点…

対する新井カープは4対1のスコアで5連勝となり、待望の貯金1で単独3位になった。

昨季、このドーム空間では佐々岡カープはなぜか4勝8敗で、この日、大野雄大に代わって中5日で先発した柳との対戦でも、相手の7先発4勝3敗だったから接戦も予想された。

実際、今季から選手会長になった柳には、一塁側ベンチを鼓舞するオーラがあった。前回登板で5回5四球だったことも発奮材料になった。

対する九里は前回、阪神戦(マツダスタジアム)で4回3分の1、6四球。この試合で栗林が打たれてチームが4連敗した直後から、遠藤、大瀬良、床田、玉村に白星がついた。

ついていないのは自分だけ。柳の気迫の投球を目の当りにしても譲る訳にはいかなかった。

序盤3回、柳は37球2安打1四球。九里は34球1安打1四球。互いに走者を背負ってもゾーンで勝負する姿は一緒だった。柳は木下とのバッテリーで三回、堂林の二盗を阻止。九里は二回の無死一塁で高橋を併殺網にひっかけた。

迎えた四回の柳は24球で2失点、自責1となった。1試合平均2点にも届かない中日打線のことを考えれば、この時点でほぼ勝負あり。

きっかけは先頭、秋山のショートゴロエラー出塁。今のカープ打線には場面に応じた打撃に徹する準備が各自できている。続くライアンの右方向意識の詰まった打球がライト線に落ちてまず1点。昨季、柳との相性が良かった龍馬は、高目を素直にレフト前に弾き返した。

京田を放出した中日のショートは二十歳の龍空とカリステに託されている。この日が4試合連続のスタメンだった龍空は、チャージをかけたまでは良かったが送球が大きく逸れてカメラマン席へ。記録は1ヒット1エラー。

田中広輔に続いてこの日は上本にスタメンを譲り、ベンチでこのシーンを見た小園は何を思っただろうか?

その裏、6球でアウト3つの九里は以後、無四球のまま八回までを投げ切った。七回は3人でピシャリ、八回は3者三振だった。

8回97球4安打7三振1四球。

「前回ほんとに不甲斐ないピッチングをしてしまったので、きょうはチームが勝てるようなピッチングを、そこだけを心掛けてマウンドに上がりました」

「何とかゼロでいけたんで良かったと思います。いい流れで回ってきたので、その流れを途切れないように出来て良かったと思います」

こうした九里のコメントはそのまま受ける坂倉にも当てはまる。

連勝の頭は曾澤がスタメンマスクであとの4試合はいずれもひとりでマスクをかぶり続けた。

九里をリードするに当たっては前回の反省からまず無駄球をなくし、相手に絞られないよう球種をバラつかせ、かつ勝負球に真っすぐを使ったり、と完投ペースをうまく引き出した。

一方で4試合の打撃成績は12の2、2四球。前回、九里と組んだ時には1号2ランをかっ飛ばしたが、充実感が残るのはどちらの方か…

チーム全体で見れば坂倉の現在地はディフェンス重視。打つ方ではこの日、三番秋山が4安打を放ち、四番ライアンも3試合連続打点と中軸が元気だ。

今回の遠征は変則日程で火曜・水曜の2連戦のあと木曜日には試合がない。そのあと、マツダスタジアムにヤクルトを迎える。あすからは遠藤、大瀬良、床田、玉村と続く。「高津先輩」に開幕3連戦のお返しをするチャンスが早くも訪れようとしている。

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