カープダイアリー第8465話「限りなく透明に近いドジャーブルー、7000万人が見つめるユニコーンの訴求力」(2023年12月17日)

JR広島駅から徒歩5分圏内の広島テレビ社屋1、2階と隣接の広場「エキキターレ」で「CARPFEST.2023」が開催された。

同局が広島市中区中町からこの地に移ってきたのが2018年9月。コンベンション・イベント開催機能を有する新社屋が一番賑わうのがこのカープイベントだ。

「現役選手のグッズ展示やマツダスタジアムグルメが楽しめる」と同時にステージでは選手が入れ代わり立ち代わり1時間のトークショーを行う。

その顔ぶれも栗林・島内のコンビを皮切りに、堂林&田中広輔、小園&矢野、野間&上本と豪華。

もちろん同局では生番組「やっぱりワシらは赤が好き」をオンエア。午前10時25分からの1時間番組の中でトークショーの模様や会場に展示されている選手アイテム、エキキターレで参加できるイベントやグルメ情報などを紹介した。

番組内ではカープに関する50問に広島テレビアプリで回答できる「キングオブカープ決定戦」も行われた。

広島テレビHPによれば、主催は広島テレビ、特別協賛は広島東洋カープ、協力はエキキターレ協議会となっている。

これだけのカープ関連の大規模イベントは、中国新聞も含めて地元マスメディアの追随を許さない。カープ球団の経営陣には松田元代表取締役、松田一宏代表取締役の下に鈴木清明球団本部長ら12人の取締役が名を連ねている。その中のひとりが広島テレビ野球解説でお馴染みの山本浩二さん。

カープ球団と広島テレビの関係は特別なものであり、ゆえに2022年3月にマツダスタジアムで開催され大きな話題を呼んだ「レジェンドゲーム」も広島テレビ×中国新聞による“変則開催”となった。ふつうなら中国放送の出番だが、そうはならないのである。

この日のイベント共催にはカープ球団と深い繋がりを持つアンフォニ広島や創建ホームほか多くの地元企業が名を連ねていた。

テレビ・ラジオ離れが進む中にあって、地方局は「放送外収入」をどうやって増やしていくか、に腐心している。

山口市に本社があるテレビ山口(tys)では冬のボーナスをなど巡って経営側との交渉が決裂した組合側が12月15日から31年ぶりとなるストライキに入った。2日間に渡り夕方の放送を一部休止、取材などの業務も管理職や外部のスタッフが行った。放送局は外部の人材の力なしには成り立たない構造になっている。社員より遥かに低い賃金体系でオンアエに追われる外部スタッフもまた大変な目に遭っている。

同局では12月5日、過去に放送した特集ニュースの原稿で九州朝日放送(KBC)のニュースからの盗用があったことを発表した。経営側も働く側もどっちもどっち…
 
山口県の場合は県民の気持ちが九州に向きがち、という特殊な事情もある。民放局はよけいに厳しい。買い物もレジャーも福岡で…となれば地元ローカル情報は二の次となる。記者まで福岡を向いていたのだからシャレにならない。
 
今回のテレビ山口の惨憺たる状況、広島の民放4局も他人事ではないはずだ。
 
どれだけの人に見て、聞いて、読んでこらえるか?
 
SNS全盛の時代、「価値」は従来の視聴率に加えてフォロワーの多さやアクセス数の多さで決するようになった。
 
…で、大谷翔平である。
 
12月14日のドジャース入団会見(日本時間15日午前8時過ぎ)では、7000万人が視聴したとMLBネットワークが伝えている。メジャーリーグの今季を大熱戦で締め括ったワールドシリーズ、テキサス・レンジャーズvsアリゾナ・Dバックスの合計5試合のそれは4550万人で、たったひとりでその数字を上回ったことになる。
 
日本国内でも、誰もがその会見の模様を見届けたはずであり、全て合わせると億単位だろう。
 
ネット上では、さりげなく覗く腕時計にも話題が集中した。
 
「SHO-TIME 挑戦の時間を楽しめ」とリアル二刀流をスポンサードするSEIKOでは「祝MVP大谷翔平選手 おめでとうキャンペーン!」を12月1日から展開していた。そこにドジャース移籍の超ビッグニュース…
 
盆と正月とクリスマスが一緒にやってきたようなもので、いったい大谷モデルはいくつ売れるのか…
 
ロサンゼルスと言えばハリウッドやディズニーランド・パーク、ユニバーサル・スタジオ・パークなど映画(今風に言えば有料動画)に関連する観光施設が目白押し。名作「ブレードランナー」ほか、多数の映画が撮影された「聖地」がダウンタウンに点在する。
 
1982年配給の「ブレードランナー」は2019年11月のロサンゼルスを舞台に展開される。作品のカギを握るのは「ユニコーン」…
 
今回、ドジャースタジアムもまた信じられないようなストーリーを演じる唯一無二の役者を10年契約で確保した。人々は、その存在を「ユニコーン」と呼んでいる。
 
ロサンゼルスの地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」では、会見のあった翌日の紙面で「ユニコーン発見」の大見出しを取った。同じく「デイリー・ブリーズ」は「7億ドルのスマイル公開」だった。
 
日米双方の観る側、そして演じる側にとって「リアル二刀流への挑戦~マンガの世界を現実に~」の物語はハリウッド映画そのもの、だ。
 
監督はもちろん栗山英樹さん。WBC決勝編のファイナルカットで大谷翔平vsマイク・トラウトのエンディングを演出した、その手腕にはリドリー・スコット監督も脱帽⁉だろう。

地元紙に発見された青いユニコーンは足が早く、その角はどんなものでも突き通す。目の前に立ち塞がるいかなる障壁もクリアする。

唯一の弱点はピュアな女性の存在…そういえば「リアル二刀流への挑戦」には数多くの脇役?女性は出てくるが、助演女優はまだ現れていない…


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