カープダイアリー第8473話「限りなく透明に近いドジャーブルー、”成功”の秘訣は素早い対応力にあり」(2023年12月25日)

「まだ野球がしたいんです」

夏の甲子園6発の金看板を背負い、2017年ドラフト1位でカープ正捕手を目指した中村奨成の言葉らしい。夕方、日刊スポーツなどが、後がなくなり護摩行を希望した、との記事をアップした。

1998年ドラフト6位入団の新井監督は当初、91年ドラフト4位入団の金本知憲さんに“弟子入り”していた。顔や手足に火傷の水膨れができる護摩行にも同行した。実働21年のアキニ、同20年の新井監督。ふたりが残した数々の記録を見れば、荒行は無駄ではなかったことになる。

護摩行は今も曾澤、堂林ら現役選手に引き継がれオフの一大イベントになっている。中村奨成から参加の打診を受けた曾澤が、この日、番記者らにその事実を明かした。

だが、もう難しい。

中村奨成 より1年早くドラフト4位入団で“ポスト曾澤”を目指すことになった坂倉は今季、120試合に出場して推定年俸1億2500万円で契約更改した。11月のアジアプロ野球チャンピオンシップでは、侍ジャパン正捕手への“橋頭保”も築いた。

新井カープ2年目となる来季を見据えた場合、中村奨成には居場所がない。現役ドラフトでも球団作成のリストにその名が乗っていたはずだが、指名してくれる球団はなかった。

マスメディアは決して記事の中で触れようとしないが、10月19日の文春オンラインで「<証拠写真多数>『頬に手を添えて引き寄せるように…』カープ中村奨成 (24)“車中不倫キス動画”不倫相手の夫には自筆の謝罪文提出」と報じられた時点でアウト?何度でも同じことが繰り返される。今さら「まだ野球が…」と言われても…という状況だ。
 
宮崎市内で行われていたフェニックス・リーグに参加中だった中村奨成は、文春報道の直前から忽然と姿を消した。限りなく澱んだ赤…松田元オーナーの特別な配慮がなければ、とっくの昔に戦力外通告だ。
 
NHKスペシャル「メジャーリーガー大谷翔平2023伝説と代償そして新たな章へ」には、生涯703ホーマーのアルバート・プホルスさんも“出演”する。

カリフォルニア・エンゼルス時代に大谷翔平の“進化”を間近で見ていたスラッガーは、「成功」の秘訣が「素早く」アジャストすることにある、と強調する。
 
広陵・中井哲之監督は「バスケなど球技をやらせても抜群の運動能力を発揮する、天性の素質を備えている」との期待の言葉とともに、教え子をプロの世界に送り込んだ。
 
ただし「線の細さ」を指摘する関係者の声は当初から存在していた。ゆえにカープに入団したからには徹底的なフィジカル強化によってのみ、プロの水準に達することができるはずだった。

その努力を怠り、寮生活1年目から女性問題が取り沙汰されていた。SNS時代の選手、アスリートには自らを律する力が求められる。
 
NHKスペシャルの中では、大谷翔平自身も進化していくための条件について語っている。自分がイメージする動きに近づこうと思えば、それに見合った練習を繰り返すことになるが、フィジカル面の条件を満たしていなければ、何も始まらない。160キロの真っ直ぐや、柵越え量産のための150メートルという飛距離を叩き出すのは超人的な肉体のみ…
 
己を知り、己を鍛え、好奇心や向上心を常に抱きながら己を「デザイン」する。しかも早いうちから、そんな日常を送るルーティンを身に着ける。
 
その気の遠くなるような積み重ねという土台が大きければ大きいほど、何かのきっかけで、新たなスキルを自分の中にもたらしてくれる可能性が高くなる。強固な土台がなければ、何をやってもうまくいかないのである。

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