カープダイアリー第8317話「2018年二軍戦のみだった中村奨成は今季もいっしょ、同年一軍1安打だった坂倉将吾は新井カープ扇の要に…」(2013年7月14日)

中村奨成がファンの前に戻ってきた。山口県の由宇練習場であったウエスタン・リーグ、阪神戦。6回からライトの守備につき八回の打席でセンターフライを打った。
 
三次市のみよし運動公園野球は午前10時プレーボール。後輩たちが夏の広島大会初戦を戦い、大竹に9対0で勝ってコールド発進した。広陵ナインは「甲子園優勝」に狙いを定めている。かつては中村奨成もそうだった。背番号22を背負っての、今の目標は何なのだろうか?
 
昨年オフ、日刊ゲンダイDIGITALは「広島・中村奨成は100万円減の年俸800万円でサイン…来季は残留でも放出でも崖っぷち」のヘッドラインで記事をアップした。球団に忖度する広島のメディアやスポーツ紙が決して触れたがらない部分を一刀両断した。
 
 中村奨成が契約を公開したのは11月21日、場所はマツダスタジアム内の球団事務所だった。
 
この日、宮崎県日南市の天福球場ではチームが2週間の秋季キャンプを打ち上げた。新井監督カープの記念すべきスタート時にぜんぜん違う場所にいたことになる。

その1カ月前、10月の終わりに週刊文春が「『おろすしかないじゃん』広島カープドラ1・中村奨成がSNSナンパで“中絶トラブル”」のヘッドラインの記事を報じた。
 
 夏の甲子園6発でドラフト1位、地元期待の星は輝きをほとんど失った…
 
新井監督は就任後、イの一番に「スタメンサード」を暫定的な活躍の場としていた坂倉の“捕手1本勝負”を公言した。この時点で22番の意味がなくなる恐れが生じた。
 
結果、石原慶幸バッテリーコーチと二人三役で2月からのキャンプを送り、「みんなに期待しているけど、あえて名前を挙げるなが坂倉」と開幕前に新井監督に名指しされ、日々マスクをかぶりながら経験を重ねた坂倉は、シーズン折り返し時点で「キャッチャーサカ」の立場を確立した。
 
2017年のドラフト1位と2016年のドラフト4位。ふたりの数字を中村奨成ルーキーイヤーの2018年から見ていくと…
 
2018年
坂倉9試合8打数1安打0本塁打、打率・125
中村奨成 二軍戦のみ

2019年
坂倉 51試合61打数14安打1本塁打、打率・230
中村奨成 二軍戦のみ

2020年
坂倉 81試合209打数60安打3本塁打、打率287
中村奨成 4試合4打数0安打、打率・000

2021年
坂倉 132試合422打数133安打12本塁打、打率・315
中村奨成 39試合59打数15安打2本塁打、打率・283

2922年
坂倉 143試合539打数155安打16本塁打、打率・288
中村奨成 27試合57打数11安打0本塁打、打率・193
 
2023年
坂倉 71試合224打数65安打7本塁打、打率・290
中村奨成 二軍戦のみ、14試合15打数7安打、打率・467
 
もう、とっくの昔に比べるようなレベルではなくなっている。それなのに女性トラブル。“自爆”とはこういうことを言うのだろう。
 
4月27日のウエスタン・リーグ、阪神戦(鳴尾浜)の初回に、牽制で一塁帰塁の際に右足首の踵腓靱帯(しょうひじんたい)断裂となったのもやはり“自爆”。グラウンド内外での振る舞いが緩すぎる。
 
新井監督は就任当初「全員一度は一軍で、できることならね、全員登録して全員で戦いたい」という考えを示し、特に若い選手には「元気よく、明るく、厳しく」グラウンドに立ち続ける姿勢を奨励、熱望していた。それをそのまま、熾烈なペナントレースで実践し、しかも白熱した優勝争いを演じている。
 
中村奨成に残された道は右の強打者、外野手として生まれ変われるかどうか?その1点に絞られつつある。
 
右足を負傷するまで、二軍ではスタメンに名を連ねることなく代打中心で打率5割をキープしていた。なぜスタメンではかったのか?など中村奨成には常に?がついて回る。そういうものをすべて振り払い、バット1本で勝負!それができないなら、あの甲子園に響かせた金属バットの快音だけが、人生の栄光だった、という幕引きになる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?