カープダイアリー第8536話「キャンプ大詰め、最後のシート打撃から見えてきたもの」(2024年2月26日)

雨上がりのコザしんきんスタジアムではグラウンド整備が急ピッチで進められ、午前11時から文字通りキャンプ総仕上げのシート打撃があった。

登板したのは九里、大瀬良、床田。開幕投手を争った3人がこの時点で揃い踏みした。

中日、巨人、日本ハムとのオープン戦が続き、沖縄キャンプも大詰め、あすで打ち上げ。この時期、選手たちは加速組と失速組、そのどちらかに自分がいることを自覚しているはずだ。もちろん加速してキャンプを終えた方が、より気持ちは乗ってくる。

前年秋の右肘手術から開幕を逆算する大瀬良は「沖縄で打者相手に投げられるように…」という目標をこのタイミングで達成した。打者4人に23球を投じて笑顔でマウンドを降りた。納得する投球ができたのだろう。

先頭の石原貴規はボールカウント1-1からの高目で遊ゴロに打ち取った。続く堂林は今キャンプ、バット軌道がいい形で描けている“強敵”だ。初球ボールのあと空振り2つ。さらに4連続ファウルで熱のこもったバトルになり8球のフォークでハーフスイングさせた。

3人目のジェイク・シャイナーは中飛、最後はマット・レイノルズをアウトローへの真っ直ぐで見逃し三振に仕留めた。

球速は144キロとまだまだだが、全開までにはまだ時間が必要だ。150キロ超えの真っ直ぐを持っていても空振りが取れない斉藤優汰は、“師匠”の投球スタイルから、まだまだ学ぶ必要がある。

前回、2月20日のシート打撃は九里、トーマス・ハッチ、床田、森下、矢崎というメンツだった。ハッチは24日の巨人戦に登板、森下も日本ハム戦居残りで菊池、田中広輔、両外国人相手に投げた。この日、先を行く先発組に追いついた大瀬良はオープン戦で“加速”する。

床田は打者12人で被安打3。左肩の心配が消え“急加速”のレイノルズや久保、韮澤にミートされたが、テンポよく投げることができた。

左腕に変化球攻めされた林はあっさりと空振り三振、中村奨成はニゴロ併殺打。軽く遊ばれた感じでふたりは再加速が必要だ。

前回シート打撃でモノの違いを見せつけた九里は、今回打者11人で6本の安打を許した。

1回目
田中広輔…レフト線二塁打
菊池…一邪飛
二俣…左前打
田村俊介…左前打
中村健人…空振り三振

2回目
小園…中直
中村貴浩…一ゴロ併殺打
久保修…三塁ベース直撃安打
韮澤…中前打
レイノルズ…左前打
堂林…空振り三振

別格の存在感を有する開幕応手を打ち込んだ面々は、いずれも“加速組”だ。

田中広輔はこのキャンプイン、一貫して右肩上がりだった。新井監督の下で、間違いなく2年連続100試合クリアだろう。

途中出場2試合、日本ハム戦はスタメンで3試合連続安打の二俣は沖縄入りしてから打撃面でグングン“加速”した。韮澤もしかり。この勢いをどの時点までキープできるか。開幕一軍入りへは、まだひと山、ふた山あるはずだ。

首脳陣にとっての一番の誤算?はドラ1右腕の常廣羽也斗だろう。温暖の地での加速を期待されていたはずだが、この日沖縄初ブルペンで15球を投げるのがやっと。加速できないままだった。沖縄打ち上げのあと、また二軍調整となるため、開幕一軍入りの可能性は極めて低くなった。

そうなると4本柱以外の開幕ローテ候補は玉村、森、益田、ハッチ、それに黒原、アドゥワ…。3月1日から倉敷マスカットスタジアムで予定される楽天3連戦でさらに加速するのは誰か…


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