カープダイアリー第8403話「短期決戦、赤い心で日本一に挑む」(2023年10月12日)

5年ぶりのクライマックス・シリーズ、しかも初のファーストステージ地元開催まであと2日。当然、様々なメディアが特集を組む。

レギュラーシーズンのデータから、いろいろ予想するのは楽しいし、読者、視聴者の興味をそそる。だが、短期決戦なので、これまで通りにいかないことも多々ある。それは首脳陣も選手も認識している。

あとは試合が始まって「想定外」と焦るか、すべて「想定内」としてベンチが「同じ一枚の絵を見るかのように」(以上関係者)戦い切ることができるか、どうか…

カープの球団史上、新井監督は野村謙二郎氏、緒方孝市氏に続く3人目のポストシーズン指揮官となる。

過去はどうだったか?

2013年に初めてチームをCSに導いた野村監督はこの時、赤く染まった甲子園で阪神とのファーストステージを制してファイナルステージで東京ドームに乗り込み力尽きた。

問題は2014年だ。2年連続のCSでファンの期待が高まる中、ファーストステージでは2年連続の同じ顔合わせとなりここで異常事態に陥った。

初戦はマエケンを立てながら、メッセンジャーに八回まで抑えられ0対1で完封負け。福留にソロに泣いた。

第2戦は大瀬良と能見の投げ合いになり終盤ブルペン勝負へ。それでも点が入らず延長十二回の表が終了した時点でファーストステージ敗退となった。

菊池や田中広輔や堂林、曾澤、松山、それに中崎には今も苦い記憶が残っているはずだ。

2014年のチーム打率は・272もあり、四番はブラッド。レギュラーシーズンラスト10試合で49得点だった。5点打線だ。

このころ野村監督はよく自分たちの戦いについて「見えない何か」に足を引っ張られている、と発言していた。おそらく最後までそれが何であったか、わからなかったはずだ。

その答えが「野村監督自身」(当時のメディア関係者)だったからだ。ゆえに野村監督にはその実態は決して見えない。監督の存在がチームを空回りさせたことになる。

緒方監督もクライマックス・シリーズで足元をすくわれた。2017年、マツダスタジアムであったファイナルステージ。阪神との雨中の死闘などで勝ち上がってきたラミレス監督のDeNAを迎えて初戦は5回降雨コールド勝ち。アドバンテージと合わせて2勝したが、そのあと4連敗となった。

緒方監督は日本シリーズでも日本ハム栗山監督、ソフトバンク工藤監督の前に“采配負け”を喫している。

短期決戦で赤い帽子をかぶって頂点を極めた指揮官は古葉監督だけ。古葉イズムの何たるか、はさすがに今のカープベンチには残念ながらほとんど残っていない。

新井監督は新たな指揮官像で、日本一を目指すことになる。

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