カープダイアリー第8441話「日南秋季キャンプ、仕上げの紅白戦注目のポスト龍馬争い中村貴、中村健、田村…遠藤、斉藤は収穫不足」(2023年11月20日)

小園と坂倉の「アジアナンバーワン」を見届けた新井監督は、その熱い眼差しを田村に向けていた。真夏のような日南の強い陽射しを浴びてライト方向に思いきり引っ張る。その真後ろでゲージに右手をかけて、体の軸がどうか?間の取り方がどうか?スイング軌道はどうか?などなどをチェックする。

9月17日のナゴヤドームで死球を受け、骨折した左手小指の状況は幸いにして後遺症なし。ならばポスト龍馬の有力候補…。そんなことは本人が一番分かっている。

11月6日から始まった秋季キャンプも第4クール3日目のこの日が実質最終日。あすは半ドン。12日にSOKKENスタジアムであった侍ジャパンとの練習試合、そして紅白戦5試合と事前の方針通り、実戦主体の2週間になった。

そして総仕上げの紅白戦、ランチを挟んでプレーボール!

紅組スタメン
ショート二俣
キャッチャー石原貴規
レフト中村貴浩
ファースト末包
サード林
ファースト韮澤
レフトバスケス(アカデミー)
ライト中村健人
セカンド羽月
DH清水
 
紅組投手と結果
遠藤5回2安打無失点
新家1回0安打無失点
松本1回0安打無失点
長谷部1回0安打無失点
岡田1回0安打無失点
 
白組スタメン
センター久保
ショート矢野
ファーストラミレス
ライト田村
サード内田
レフトロベルト(アカデミー)
セカンド韮澤
キャッチャー持丸
DH高木
 
白組投手と結果
斉藤5回6安打3失点
高橋昂也1回1安打無失点
森浦1回2安打2失点
河野1回4安打2失点
益田1回1安打1失点

14安打の赤組が8対0圧勝。白組は久保の詰まりながらの中前打と矢野のショート内野安打2本止まりだった。

先発の斉藤と遠藤はともに5回を投げたが、いずれも“秋の収穫”は不作となった。

斉藤は侍ジャパン打線を相手に2イニングで無安打1死球1四球1三振だったが、やはり「調子を同じように維持するのが難しい」と本人が口にするように、その日その日で状態が大きく異なる。

黒田球団アドバイザーという最高のアシスト役と二人三脚で力をつけていくには、やはり相当の時間を要するだろう。

その初回の立ち上がり。一死から石原貴規にバント安打を決められた。三塁側へ転がされ、踏ん張って投げたが間に合わなかった。石原貴規の足で、だ。

中村貴浩は高目のボール球で空振り三振、末包は左飛。ただ初回からフルカウントが2度あった。ボール球がはっきりしていた。

そのあとも投球リズムは悪いままだった。二回にはバスケスをフルカウントから歩かせた。三回は先頭清水の打球が足元を襲いセンター前ヒットになった。ここは二俣を5・4・3のゲッツーに仕留めて難を逃れたが、三回には末包、林に連続二塁打を打たれて失点した。

五回に入ると完全に制球が効かなくなった。清水からフォークで空振り三振を奪うなど、非凡な球がある一方で二俣、石原貴規に連続四球を与えた後、中村貴浩に右中間に弾き返された。

田村と外野の一角を争うかっこうの中村貴浩はスイングの逞しさに磨きをかけている。斉藤の球威にも負けない一振りは、バットのやや先でも保距離が出た。

斉藤と同じ土俵で投げているようではお話にならない遠藤だが、この日の5イニングは似たり寄ったり。失点ゼロでもおそらく首脳陣はまったく評価していないだろう。

ワインドアップからセットポジションに変更するなど、いろいろ試している部分があるにせよ、3者凡退は四回1イニングだけ。初回に四球ひとつ、五回には連続四球で無死一、二塁。カーブを多投して緩急で勝負しようという意図は見てとれても、とても一軍では通用しない内容だ。

二番手以降は両軍とも1イニングずつ。その中でテンポよく、持ち味を存分に発揮したのは松本、長谷部だった。

松本はスピンの効いた真っすぐに再現性があり、ラミレス空振り三振、田村投ゴロ、前回の紅白戦で満塁弾の内田も見逃し三振!

サイドスロー変更で新たな自分探しの最中にある長谷部もロベルト、韮澤,,持丸の下位打線ではあるが3人で抑えた。

育成契約で再出発する岡田も11球でうまくまとめた。

一軍で経験を積み、このキャンプでは“格上”のはずの河野と益田は、不安を残したままのルーキーイヤー終了となった。

河野は2つの三振を奪ったものの、3連打されるなどして2失点。侍ジャパン打線相手に死四球を出した益田は一死から林に死球をぶつけて中村健人に左越え適時打された。

「僕の課題は打撃、守ること、走ることはできるので…」と「打」に焦点を絞って日南キャンプを送ってきた中村健人は八回の第4打席でも河野の低目の真っ直ぐをフルカウントから中越え二塁打にした。益田の時には3ボールからの真っ直ぐを迷わず狙った。

もう間もなくオリックスの龍馬が誕生する運びだが、送り出す側にとってはこれ以上ないチャンス!それを知ってか、知らずか“研修生”のひとり、バスケスまでもが中越え三塁打など2安打、センターの守備でもファインプレーふたつ…だった。

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