カープダイアリー第8548話「新入団選手お披露目の日の意義」(2024年3月9日)

試合に先立ち一塁ベンチ前に整列した新加入選手たちに、1万8904人のスタンドから惜しみない拍手が送られた。赤い帽子をかぶり、広島でプロの舞台に立つことが強く意識される時間になった。現役ドラフトで加入した内間拓馬や龍馬の人的補償でカープのユニホームに袖を通した日髙暖己、それに調整遅れで一軍昇格の目途が立たない常廣羽也斗も期するものがあったに違いない。

新井監督の発案によって、セレモニー的要素が強かった新入団選手のお披露目は実際にそのプレーを見てもらう場に変わった。1年前のヤクルト戦(3月12日)では名原、内田、清水らが途中出場して次々に打席にも立った。そんな中、中村貴浩が左前打を放って一躍、時の人となった。

お披露目の日第2弾。この日のスタメンは…

センター野間
ライト田村俊介
ショート小園
ファーストジェイク・シャイナー
セカンドマット・レイノルズ
DH田中広輔
キャッチャー坂倉
サードモイセス・ラミレス
レフトネルソン・ロベルト

3月1日に育成契約したラミレスとロベルトにとってはまたとないアピールのチャンス!ラミレスは遊ゴロ、三振、三振のあとレフト線二塁打で爪痕を残した。ロベルトは三振、三振、三ゴロで守備の方でも失策1と精彩を欠いた。

育成2位指名の新人、佐藤啓介も六回の守備から出番となった。その裏、すぐに打順が回ってきた。マウンドには中日先発の根尾。結果は3球三振だったが182センチ、95キロの満振りは、迫力満点だった。

八回の第2打席でもまた、ヘルメットが脱げるほどの空振りで三振…。悔しそうにベンチに戻ってくる124番を新井監督は温かい目で見ていた。

九回、5番手で登板したのも育成1位ルーキー、杉田健だった。188センチの長身から投げ下ろす真っすぐとスライダー。打者4人に対して1安打1三振、最速147キロ。試合後に一軍帯同が決まった。

個々の選手がどんな可能性を持っているか。どんな起用法が一番効果的か。新井監督は一、二軍に関わらず選手のいいところを見出だそうとする姿勢を崩さない。

この日、先発したアドゥワは3回1/3、1安打無失点と好投した。「カーブもスライダーも良かった。すべての打者にストライクが先行していた」と新井監督。前回、3月1日の楽天戦(倉敷マスカットスタジアム)では3回6安打2失点だったが、すぐに修正することができた。

六回、3番手には野村祐輔が起用された。3回3安打2四球2失点で自責1。本人にはこの日投げることが早い時期に伝えられていたはずだ。今後も二軍での調整にはなるが、一軍の仲間たちと一度だけでもいっしょにやっておけば励みになる。

こうした首脳陣の目配り、気配りを選手側は生かさない手はない。開幕が近づくにつれて、試合に出るメンバーは限られてくる。来週末にマツダスタジアムで予定されているDeNA戦が開幕一軍絞り込みの最終段階、ということになる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?