カープダイアリー第8460話「大谷翔平加入で豪華すぎるドジャース打線完成、一方トロント市民は誤報掴まされて失意のどん底…?でも龍馬の時もそうだけど真実はひとつ…」(2023年12月11日)


新聞休刊日。なんでこんな日に…と思った新聞関係者は大勢いたはずだ。大谷翔平の超ビッグニュース掲載が一日遅れになる。広島でもコンビニの新聞スタンドに入っていたのはスポ―ツ各紙だけ、だった。

休刊日はほぼ毎月、月曜に設定されている。それでもスポーツ紙が売られているのは、宅配中心の一般紙とは販売方法が異なるから、だ。休刊日は労働環境の厳しい販売店に対する配慮が主であり、さらに言えば土日に各種レースやスポーツ競技が開催されるのにスポーツ紙を出さない訳にはいかない。

よって休刊日売りのスポーツ紙には「即売特別版」の名が付されている。

広島売り「スポニチ」の一面は「末包30発」の見出し記事だったが、最終面は「大谷ドジャース1015億円」だった。

この記事では「ドジャースの来季予想スタメン」も紹介された。

一番セカンド・ベッツ31歳 率・307、本塁打39、打点107、盗塁14
二番DH・大谷29歳       率・304、本塁打44、打点95、盗塁20
三番ファースト・フリーマン34歳 率・331、本塁打29、打点102、盗塁23
四番キャッチャー・スミス28歳  率・261、本塁打19、打点76、盗塁3
五番サード・マンシー33歳  率・212、本塁打36、打点105、盗塁1
六番センター・アウトマン26歳  率・248、本塁打23、打点60、盗塁16



さすがはポストシーズン11年連続出場の名門。実にバランスよく、ものすごい数字が並んでいる。そこにドジャーブルーに染まって現役を全うすることを決めた二刀流…

ロサンゼルス・エンゼルス(最終的には西地区4位)打線の中では孤軍奮闘だったから環境はガラリと変わる。現地時間9月2日のオークランド・アスレチック(最終的に西地区最下位5位)戦で2度敬遠され「最下位争いなのに止めて!」とファンから怒りの声が上がったこともあったが、そんな話は完全に過去のものになる。

野球・ベースボールと純粋に向き合いたい大谷翔平にとって、それはとても残念なことであり、生涯で何打席立てるか分からない中にあって、貴重なスイングの場を無駄にするわけにはいないのである。

同じロサンゼルスの名を冠していてもドジャース打線はエンゼルス打線の対極にある。そして1883年創設のメジャーリーグ最高峰の環境下で24度のリーグ優勝、7度のワールドシリーズ優勝を積み上げてきたチームの中の大きな歯車になる。

だからこそ「ドジャース10年総額8億ドル」のニュースは日米双方のファン、関係者らに驚きを持って迎えられ、メディアは競うようにサイドネタなどを次々にアップする状況となった。(ただし例えばドイツ国内ではこのニュースをほんぼスルーしており、世界中を衝撃報道が駆け巡った訳ではない…)

その中のひとつに「サンスポ」の「大谷翔平を逃したブルージェイズ、まさかのチケット250円に暴落」というのがある。

メディアが一時「契約目前」と報じたトロント・ブルージェイズのファンは失望に暮れ、トロントの街もまた消沈…という事態に陥ったらしい。

この記事によればブルージェイズファン?がチケット販売サイトで来季のホームゲームチケットの叩き売りを始めた、という。その値段は日本円でおよそ250円。

転売屋は世界共通、ということか…

二刀流がカナダへ…という「誤報」はジョン・モロシという著名記者のXによってあっという間に広まった。

「速報」では新聞媒体の対極に位置するSNS。世界のどこにいても「情報」を共有することができる。

ジョン・モロシ記者はSNSを駆使してその名を轟かせてきた。二刀流案件でも常に先頭を走っていたかったはずで“仕入れた”各種情報をアップするかどうか選別する中で「ドジャースもあるけど、ブルージェイズの流れ…」という特ダネをアップした。

だが、冷静に考えればトロントの生活環境が二刀流の“刃こぼれ”に繋がることは誰にでも理解できる。

まず気候の問題・そして可動式屋根のスタジアムは時代遅れと言われて久しい人工芝。しかもそこには菊池雄星という“仲間”がすでに存在している。ベンチ入りできる通訳は同一言語でひとりが原則。懐刀の水原一平通訳を失う訳にはいかない。

ジョン・モロシ記者はSNSの中で「今起こっていること、リアルタイムで進みつつある動き…」を強調していた。

もちろんそれがXの最大の強み、だ。それを見た人々を、いてもたってもいられない気持ちにさせただろう。

だが大谷翔平はおそらくかなり早い段階でドジャース移籍を決めていたはずだ。

広島でも最近、似たような話があった。龍馬のオリックス移籍の件、だ。

地元各紙はカープ球団が残留交渉を重ね、龍馬も熟考に入った様を事細かに伝えていた。

一方、広島生まれのネット媒体のひとつである、ひろスポ!では10月20日、クライマックス・シリーズ、ファイナルステージ3連敗で新井カープ1年目が幕引きとなった直後に以下の記事をアップしている。地元メディアがFA移籍問題を伝えるより遥かに早いタイミングとなった。

<クライマックス・シリーズ終戦…新井監督カープ家族から外れて“オリックスの西川龍馬になる日”…海外FA権取得の九里亜蓮だって分からない…>

SNSではこの“報道”に対して反発する声も上がっていたが、確たる情報からの記事は“誤報”にはならない。

今回の大谷翔平のケースではメディアの動きを代理人側やドジャースサイドが見事に封じてきた。テネシー州ナッシュビルで開催されたウインターリーグに耳目を引きつけ、同時並行的に水面下で契約話を着々とまとめた。

現地での取材ルートに乏しい日本の放送局は連日、ウインターミーティングからの画をテレビ画面で紹介して、ミーティングが終わった時点では撮影する「絵」がないため、現地テレビ局の特設ブース撤去の様子などを紹介していた。

一般紙、スポーツ紙の報じた内容も、やはりウインターミーティングに引っ張られていた。

けっきょく「正解」には、うわべからのアタック!だけではなかなかたどり着けない、ということになる。

可能性の高い、低いにはあるにせよ、いかに内部から情報を引き出すか?

ジョン・モロシ記者もきっと内部情報に精通していたのだろう。ただし掴まされたのは「ガセネタ」だった、ことになる。普通に考えれば…

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