カープダイアリー第8353話「無四球完封で2カ月ぶり勝利、そして九里から大瀬良へ『あしたは大地がやってくれると思います』」(2023年8月22日)

横浜スタジアムのカープファンに向けて九里が言った。

「勝てなかった2カ月、チームに迷惑をかけるようなピッチングをしていたので、とにかくきょうは勝ちたいと思ってマウンドに上がりました」

-九回投げる前にベンチで新井監督から言葉を?

「どうする?って言われたので行かしてくださいと。点を取られたら替えてもらっていいんで行かしてくださいということを言って、じゃ行ってこいと言われたので、絶対に抑えてやるとマウンドに上がりました」

初回も、そして九回も、ガッツ溢れる思いでマウンドに立ち128球7安打8三振で53日ぶりとなる7勝目を完封で飾った。

「最近、先制点を取ってもらって、そこから僕が逆転されてしまう試合が続いていたので、きょうは最後まで投げ切れて良かったです」

勝てない試合が6度続いた。七回に届かず、5回、6回、6回1/3、6回、5回と交代を告げられるたびに悔しい思いをした。

最後に勝ったのは6月30日の神宮球場で109球5安打無死四球だった。そうキーワードは「無四球」。

5月10日のバンテリンドームナゴヤでも118球完封勝利をマークした。1シーズンで3度も完封できる力を有していながら、同時に弱さも内在する。この事実を受け入れ、そして制御できるのは九里だけ…

幸い味方打線の援護に恵まれた。立ち上がりが不安定だったDeNA先発の今永から、龍馬のタイムリーと堂林の8号2ランで初回に4点。一、二回はいずれも先頭打者をヒットで出しながら踏ん張り、三回は初球からゾーンに投げ込み3者凡退に抑えた。

四回、堂林の2打席連続柵越えで5対0となると、その裏二番からの相手打線をここも3人で片付けた。

勝ち投手の権利がかかる五回は一死一、三塁のピンチを招いたが、ここも曾澤のリードに頷きながら乗り切った。七回の一死一、二塁もクリアして、無死一塁から後続を抑えた八回を終えて113球。守りでも再三、アシストしてくれた野手陣と、粘り強くリードしてくれた曾澤と一緒にゲームセットの瞬間をグラウンドで噛み締める、それこそが何物にも代えがたい経験になる。

-ベイスターズ3連戦、まずは頭を取りました、いい流れを作りましたね。

「いい流れができたと思いますし、あしたは大地がやってくれると思います」

マイクを通して聞こえてくるヒーローの声にカープファンが最後にもう一度沸いた。

次は5回、6回、4回とここ3試合早い回にマウンドを降りている大瀬良の番。同期のふたりが残り試合でシンクロしてくれないと、この日延長十回サヨナラ勝ちした阪神の背中は見えてこない。

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