カープダイアリー第8607話「GWコイの季節風に乗り遅れたら、どうなるか…」(2024年5月6日)

西宮の空にどんどん雨雲が移動してきて午後4時には雨天中止が決まった。来日3試合で防御率7点台のハッチが先発していれば、劣勢の展開は否めなかった。阪神予告先発の大竹とは今季初対戦の予定で昨季は7試合で6勝を献上していた。フェイスタオルまで発売された「大雨降太郎」さんに感謝、だ。

4月27日(土)から始まった大型連休はこの日が最終日。けっきょく7試合を消化して勝ちがついたのは森下だけ(2勝)だった。

4月27日の中日戦(バンテリンドームナゴヤ)と5月4日のDeNA戦(マツダスタジアム)でスコアは6-4、4―1だった。

この2試合での合計10点は傑出している。残り5試合のスコアは0-0中日(先発は九里)、1-7阪神(同床田)、2-2阪神(同大瀬良)、0-2DeNA(同アドゥワ)、0-5DeNA(同九里)。5試合でたったの3得点…異常なほど偏った結果になっている。

よって森下の持つ特別な力がなければチームの勝敗はもっと悲惨なものになっていたかもしれない。

では、森下の特別な力とは何だろう?

バンテリンドームナゴヤでは7回5安打1失点。上林のソロのみに抑えた。さらに宇草の3号先制2ランも呼び込んだ。もちろん投げ合った中日先発の梅津が3回2/3、3失点で自滅気味だったことが大きいのではあるが、勝てる試合なら確実に取ることが肝心だ。

マツダスタジアムでのDeNA戦では“二刀流”の切れ味を存分に見せつけた。7回で自責0、バットを手にすれば3の3で七回の第3打席では逆転のお膳立てをしたのだから、誰が見てもその働きは特別なものに映っているだろう。

この日、横浜スタジアムであったナイトゲーム、DeNA-ヤクルト戦では筒香が5年ぶりのNPB打席に立ち七回の第3打席でレフトファンス最上部を直撃する二塁打を放つと八回にはライトスタンドに逆転3ランを叩き込んだ。もちろんこの先、筒香がどれだけの数字を残すかは誰にもわからない。ただ、3万3000人を超えるファンで埋まったスタンドとともにチームが熱く燃え、士気を高めたことだけは間違いないだろう。

同じくナイトゲームのみずほPayPayドームでは山川が7号2ランと8号ソロ。ソフトバンクが9対4で日本ハムを押し切り、今季初先発した43歳の和田に勝ちがついた。山川の移籍問題に関する是非は別にして、やはりこういう形で勝てばチームの雰囲気はどんどんよくなる。ソフトバンクは両リーグ通じて20勝一番乗り。

海の向こうでは大谷翔平が打撃に専念したことですごいことになっている。ロサンゼルス・ドジャーズのベンチに新風を吹き込んだだけでなく、MLB全体を見渡しても傑出した存在になりつつある。

直近2試合3発の荒稼ぎで本塁打数はメジャートップタイの10。打点25もリーグトップタイ。さらに打率・364、安打52、二塁打14、長打25、塁打98はメジャートップでOPS1・111に至ってはダントツの最強スラッガーと化している。

錚々たるメンバーがスタメンに顔を揃えるドジャースでも大谷翔平がいるといないではまるでチーム力が変わってくる。ドジャーブルーに染まったユニコーンはユニコーン以上の力を持つことになった。

GWのマツダスタジアムのスタンドは赤く染まっていたが、その声援を背に特殊な力を発揮したのは残念ながら森下だけだった。コイの季節風という1シーズンを通じて一番の“追い風”に乗り損ねたチームに対して、ネット上では新井監督ら首脳陣に対する批判の声が渦巻いているようだ。

だがそうしたファンの声が正鵠を射ている訳ではない。かつてチーム編成を統括した川端順さんを球団から追い出し、独自のチーム強化策に舵を切った松田元オーナー。39年間も日本一から遠ざかっているその独裁経営が、こうした壁にぶち当たるのは必然の話、なのである。

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