カープダイアリー第8579話「中村奨成10日ともたず出場登録抹消、同じく打撃が課題の矢野は驚異の⁉打率・5割超え」(2024年4月8日)

中村奨成が出場登録を抹消された。ウエスタン・リーグ9試合では2本塁打7打点、打率・353、出塁率・421の大暴れ。意気揚々と一軍に乗り込んできたのが3月31日だったから、また10日ももたなかった。昨季も似たようなことが何度もあった。
 
4日のヤクルト戦にスタメン出場。ファンから大声援を送られたが結果は遊飛、投飛のあと、一死二、三塁では浅い中飛。6日の中日戦は代打で捕ゴロ。7日の中日戦では代走。何も爪痕を残すことができなかった。
 
わずか4打席で判断されるのは酷なようでもあるが、実はそうではない。
 
捕ゴロはボールカウント1-1から涌井のフォークの頭を叩いたもので1メートルも転がらなかった。
 
スタメンでは高橋奎二をどれだけ打てるか?が試されたが、第1打席でバットを折られるなど左腕の球威に押されまくった。内容に見るべきものがない。堂林は左腕から2安打、曾澤もライトオーバーの2点二塁打。打てない相手ではない。
 
試合前のフリー打撃ではブンブン振ってレフトスタンドに叩き込む。その飛距離がチーム内でも上位であることは間違いない。ただし野球は飛距離を競うスポーツではない。バッピーの球を同じタイミングで打っているだけではラチが明かない。
 
背番号が22から96に替わったのは打者として大成することを願っての球団の配慮からだが、逆に言えば捕手失格、ついでに言えば度重なる女性問題報道でプロ野球選手としての資質にも疑問符…
 
それでも2月のキャンプ主力組練習表の中には96番と記されていた。メディアも、その動向を何度も大きく取り上げた。「奨成開幕一軍」と…
 
では、その成果は?
 
2月21日、コザしんきんスタジアム、DeNAとの練習試合。中村奨成は九番センターでスタメン出場して二飛、中飛、ハーフスイング三振。
 
2月23日、Agreスタジアム北谷。中日とのオープン戦初戦は途中出場1打席のみで二ゴロ。
 
2月25日、タピックススタジアム名護。日本ハム戦には二番レフトでスタメン出場して遊飛、遊ゴロ、左前打、遊ゴロ。
 
2月26日、コザしんきんスタジアム。シート打撃では走者を置いて床田と対戦して遊ゴロ併殺打。
 
3月1日から3日まで、チームは倉敷マスカットスタジアムで楽天とオープン戦。外野スタメンには久保修、中村健人、秋山、宇草、田村俊介が名を連ねた。けっきょくこの時も中村奨成は“2月まで”しかもたなかった。
 
2月の終わり、同じように篩にかけられていた選手のひとりが矢野だった。
 
DeNAとの練習試合は菊池に代わって四回の守備から出場して快音響く中前打を放った。Agreスタジアム北谷スタジアムでは九番セカンドでスタメン出場して4打数2安打、強振せずバットを最短で出す形ができつつあった。
 
タピックススタジアム名護では途中出場で2の0だったが、おそらくもうこの時点で3月の主力組帯同は決まっていたはずだ。倉敷では菊池やレイノルズに代わって途中から守備につき、本番を想定した起用法になっていた。
 
中村奨成がもう打つしかない立場なのと同じように、菊池レベルの忍者ディフェスを誇る矢野も打撃が課題。「2割8分打てばレギュラー!」と首脳陣に発破をかけられ、コツコツと努力を重ね、開幕からまだ8試合とは言え打率・571だから悪い話ではない。

中でも前日7日の中日戦(マツダスタジアム)で見せた打撃は秀逸だった。打撃不振の菊池涼介に代わって八番セカンドでスタメン出場、第1打席ではウンベルト・メヒアの真っ直ぐとナックルカーブを見て2ストライクと追い込まれたあと、チェンジアップボール、スライダーファウル、スライダーボール、真っすぐファウルのあとの7球目ナックルカーブをレフト前に落とした。さらに八回の第3打席では勝野昌慶の快速球を引っ張って右前打にした。
 
メディアはどうしても田村俊介に引っ張られがちだが、今旬なのは矢野雅哉。極端なタイムリー&ホームラン欠乏症を患っているチームにとって、その守備力と足も大きな戦力になる。

※この記事内での選手名表記は独自のものになっています。

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