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一休
2022年3月22日 22:53
正妃の問いに“わたし”アーモンド公爵は反射的に答えた。『隠居して田舎で農業がしたいです』偽りのない言葉だった。幽閉されている間、暗闇の中で耐えられたのは“わたし”の脳内ではそれを実現させていたからだ。『は?』無辜でありながら牢に放り込まれ、長年身を粉にして尽くしてきた王に弁解する余地すら与えられなかった。粗悪な環境で満足な食事など望めず、光を見ることさえわずかで、ただ死を待
2022年3月5日 10:50
正妃の説明はこうだった。無実の罪で投獄された“わたし”は、正妃やコール公爵たちの嘆願により釈放されるはずだった。王からの伝令が届く前に“わたし”は何者かにより毒が盛られ、瀕死の状態。身体だけではなく、飲まされた者の魂すら蝕む強力な毒。正妃の叔父が直々に解毒の術を施すこととなったが、長き牢屋生活で衰弱が激しく、このままでは耐えられない、と判断された。“わたし”が生き延びるためには