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好きを極めた先の企業 Vol.2

前回は大学前半までの話をご紹介しました。今回は大学三年前半と起業までの流れを書きたいと思います。

2年間勤めていたインターンを昨年末から終了しようということになりました。何もできない私を2年間おいてくださったインターン先には感謝仕切れませんし、私としてもこの2年間で何もできなかった悔しさと同世代から置いて行かれた焦りが現在までの原動力にもなっています。

この頃の関心領域はweb3、 ブロックチェーンでした。一時期NFTが流行った時期があったかと思いますが、そのタイミングで私もよく分からずNFTを購入してみました。
購入したことがある方はよくわかると思うのですが、物自体はネットに落ちている画像と同じです。所有権が明確になる、とか言われても別にだからなんだという話ですよね。

ただの画像に1万円払えるほど私はお金持ちではないので、このコストを勉強代として考えることにしました。ブロックチェーンを学んでその損失を取り返そうと考えたのです。
暗号資産など怪しいものと思われている方は多いかと思いますが、学んでみると裏側の技術は大変面白いです。今までの社会(web2)で解決できなかった問題に対して、”ブロックチェーンを使えば解決できるかも!?”と思うことは多いです。

ブロックチェーンは世界を変える技術だ、ということは確信に変わりつつありましたがその技術をどの領域に応用するべきか、取り組むべき領域は模索中でした。
とあるVCのインキュベーションプログラムに合格をいただき年初から壁打ちなどさせていただいていたのですが、その中でやはり自分の好きな領域から起業すべきだと思い立ちます。

当時の私は麻雀の沼に浸かっていました。ほとんどの時間を対局もしくはMリーグ観戦に費やしていたのですが、数多く麻雀プロが存在する中で安定して収入を得られている方は一握りだという状況を目の当たりにします。2000人前後プロ雀士はいらっしゃるそうなのですが、対局だけで食べていくことができる方はMリーガーと限られたトッププロのみ。
では他ボードゲームのプロはどうなのか?私は小学生の頃から囲碁を続けているのですが、囲碁棋士の方が副業をしているという話は聞いたことがありませんでした。もちろん囲碁・将棋はプロ制度の基準が厳しく狭き門であることは考慮に入れる必要がありますが、それにしても麻雀プロはまだまだ正当に評価されていないように感じました。

彼らに新たな収益手段を提供し対局によって生活ができるような社会を作りたい。その思いから事業案の模索が始まりました。
ブロックチェーンの難しい点の一つに、UI・UXをしっかりと作り込まなければならないところがあると思います。ブロックチェーンの世界の通貨(暗号資産)をやり取りするには専用のお財布(ウォレット)を作成する必要があるのですが、これがまあ面倒。
入り口の障壁が高いこともあり、暗号資産・NFTを所有している人などごく僅かにとどまっています。マスに使ってもらうためには裏側で技術を使う一方、表では既存のサービスと同じように使いやすいものを提供する必要があるのです。

色々な案を模索したもののしっくりくるものを作り出すことが出来ない状況が続いていました。
そこで私は原点に立ち返って麻雀プロの方が抱える課題を明確にすることにしました。本来はまず初めにすることではありましたが、なかなかプロの方と繋がりもない状況でしたのでついつい後回しにしていました。実際の課題を明確にし深ぼって行くことで具体的な手段を構想する手がかりを得ようと思ったのです。

Twitterで片っ端からDMを送り、なんとかプロの方にお話を聞く機会をいただくことが出来ました。数十人の方にインタビューさせていただいたかと思います。
貴重なお時間を割いてくださった感謝とともに、何か私にも微力ながらお返しが出来たらと考えていました。昔からラジオ・Podcastを聞いていたこともあり、その内容をPodcastで配信することにしました。

Podcast配信をしてみると音声配信の裏側を体験することになります。
まず、日本人はそこまで音声コンテンツを消費していないこと。昔はみなさんよく深夜ラジオを聞いていたかと思いますが、今の若い世代の方々は動画がコンテンツ消費の主流になっています。
次に、国内のPodcastはビジネスとお笑いがほとんどであること。オールナイトニッポンやTBSラジオがアーカイブをPodcastとして配信し始めたことでランキング上位は常に芸人さんの番組が占めています。

一方でビジネス系の番組も多く聞かれています。これは日本の地理的環境が大きいのでは無いかと私は考えています。
Podcastはアメリカの一大市場です。むしろ現状ではアメリカしかないと言っても過言ではありません。全Podcastコンテンツの70%弱を占めています。アメリカでこれほどまでにPodcastが文化として根付いていることにはいくつか理由があります。詳細は私が以前書いたnoteをぜひ読んでいただければ嬉しいですが、大きな要因は車社会であるということです。運転している時は動画を見ることも小説を読むことも出来ません。(自動運転が発達していくにつれて可能になってくるかとは思いますが、記事を書いている時点ではまだまだこれから、という段階です。実際先日アメリカのクルーズ社が運転停止をくらっています。)

耳だけしか空いていない状況なら音楽を聞く選択もありそうです。ただ楽曲は一曲ごとの時間が短く、聞きたくない曲が流れて来てしまう可能性もあります。
その点Podcastはコンテンツ時間の中央値が30〜120分なので切り替える必要がありません。好きな番組を聞き続けることが出来るのです。

日本は土地が狭く車社会ではありません。ただ、都市圏のサラリーマンの方々は毎朝電車で人混みに揺らされながら通勤します。何かを広げてみるスペースが無い中でイヤホンをつけて消費できるビジネス系Podcastを聞いている、ということです。

お笑いとビジネスしかなく、リスナーもこれからであるニッチなPodcast市場でどのように戦っていこうと考えているのか。私たちの具体的な事業案は次回ご紹介しようと思います。

Vol.3はこちらから!


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