天国と地獄
合格と不合格、大成功と大失敗、勝者と敗者、天国と地獄。この世は、いつも対立する二項で、ワンセットになっている。どうして全員合格、全員天国にならないのだろうか。ノアの大洪水で、生き残ったのは、ノアの家族だけである。選ばれなかった者たちは、何でやと恨みを抱き、神に反逆する。恨みを抱いて、この世に生まれて来る。ともあれ宗教には、こうした選民思想が付き纏(まと)う。ユダヤ人は選ばれし民だとか、イエスを信じるキリスト教徒だけが救われるとか。この流れは今でも続いている。人間選別。嫌な言葉である。選別されない者たちは、次々に命を落としていく。生物界の自然淘汰も自然界による選別と言えるし、災害や戦争も人類の壮大なサバイバルゲームであり、生存者と死者とに選別するのである。誰が選別するかで、意見は分かれる。民族か信仰か、国籍か、どういう基準か知らないが、人類もヒヨコも卵も選別される。皆んな自分こそは、選ばれし者に違いないという勘違いのもと生きている。人生が罰ゲームでないことを祈りつつ、天国入りのチャンスを窺(うかが)うとしよう。選別者は自分自身かもしれない。