【中小企業向け】令和の新卒採用を本気で考えてみた
こんにちは。
good luck株式会社の高村 一光です。
大学生のキャリア支援と、企業の新卒採用支援をしています。
前職時代から含めると、人材業界の経験はもう8年になり、
新卒採用・就活の領域ではもう5年になりました。
自分自身九州の出身で、これまでの採用支援のクライアントも基本は地方企業や中小企業の方が多かったです。
これまでずっと人材業界にいるんですが、最近の新卒採用の流れ(学生動向や企業動向)を見ていてまとめられそうな内容があったので記事にしてみます。
良ければ経営者の方、採用担当者の方にご一読いただけたらと思います。
以下、本文です。
新卒採用の難しいところ
(1)分からないことが分からない
例年と同じようにナビサイトを使ってるのにエントリーが中々集まらないとか、せっかく内定を出したのに辞退されてしまうとか、
本当に悩みが尽きないものが新卒採用です。
僕の実家も九州にある40年越えの土木コンサルティング会社なのですが、
中途新卒問わず採用には毎年苦戦しているようです。
そんな新卒採用の何が難しいのかと思っていくつかにまとめてみました。
それがこちらです。
①毎年いろいろなサービスが出て理解するのが大変
②採用担当者と学生の年齢が離れていくばかりで感覚や価値観もずれていく
③PDCAを回すのが一年越しになってしまうので改善スピードが遅くなる
④採用担当も異動や退職で入れ替わりがあるなどで社内に専門性が磨かれにくい
この辺りではないでしょうか。
結局のところ、毎年のように手探りで右も左も分からず、
とりあえず新たな情報をキャッチしては試してみるけど数値分析もできておらず、改善方向も分からない。
まさに「分からないことが分からない」が起きているのが中小企業の新卒採用の現実だと思います。
少し『分からないこと』を分解してみましょう。
『分からないこと』を分解してみると、このようになるのかなと思います。
①学生がどんな考え方をしているのか人物像が分からない(WHO)
②今の学生が何を使って就活をしているのかが分からない(WHAT)
③今の学生がどのように就活をしているのかが分からない(HOW)
こうして分けて考えてみると対策は取れそうです。
❶まずは『自社に合った人材を把握すること(WHO)』から始めてみる。
どんな人が自社に合っているのか分からない場合には、
・自社で活躍している人
・長く自社で働いている人
・最近入ってきてくれた人
と話をしてみると良いと思います。
・なぜ自社にエントリーしようと思ったのか
・なぜ他社ではなく自社に決めてくれたのか
・今どのようなやりがいを持って働いているのか
・今の自身の目標は何か
・今の組織に新人が入るとしてどのようなことを期待するか
など、社員インタビューをやってみましょう。
このような活動を通して求める人材像の仮説を考えることができると思います。
❷次に『そのターゲット人材が何を使って就活をしているのか(WHAT)』を把握する
自社の求める学生像の仮説が定まった後は
どんなサービスを使って就活をしているのかを把握しにいきましょう。
上の図の通り、新卒採用サービスは数えきれないほど存在しています。
全てを把握するのは現実的ではないので、
この中でもどのようなサービスを活用しているのか、
ターゲットの属性を知れば適切な投資ができるようになると思います。
❸『ターゲットに響く訴求をする方法(HOW)』を考える
ターゲットの使っているサービスまでわかれば、
後はそのサービス上で『どのような訴求をするか』を考えましょう。
この時に、ありとあらゆる魅力をひたすらに伝えることは危険です。
今の時代、価値観は多種多様で本当に様々な人がいます。
自社の魅力が1~10まであったとして、
魅力3が刺さる人と魅力7が刺さる人がいて、
それぞれで訴求を変えないといけないわけですね。
ターゲットを定めることができたら実際にそのターゲットに訴求できそうな内容を考えてサービス上で打ち出してみましょう。
新卒採用の難しいところ
(2)早期離職問題
もう1つ難しいところを挙げるとしたら、入社後の早期離職でしょう。
新卒採用活動はただでさえ期間が長く大変なのに、
入社後も教育・研修で育てることにもコストがかかって大変ですよね。
だからこそ採用だけをゴールにするのではなく、
入社後にすぐ離職されないようにしないといけません。
ですが若手の離職割合は非常に高く、
『3年3割』というのがかれこれ30年近く続いています。
離職の理由1位は『仕事内容が合わなかった』
せっかく苦労して採用・教育・研修などをした新入社員が早期で辞めてしまうのは大変痛みを伴うと思います。
これだけは避けたいですよね。
ですが今の時代は昔と違って「辞めにくい雰囲気」はありません。
昔のように「転職は悪」「転職は裏切り」という考え方は全くなく、
「辞めたければ辞める」は普通ですし、多くの人は「自分に合った環境を常に求めている」と考えていいと思います。
実際に離職の理由1位は『仕事内容が合わなかった』というものです。
これは未然に防げると思います。
この理由は起こしてはいけない理由です。
そしてこの対策は入社後の配属で対応するのではなく、
採用時という入り口から対応していく必要があります。
具体的には面接や面談の時のコミュニケーションの改善です。
相手のニーズに自社を提案するコミュニケーションへ
企業側は学生と話すときに「うちでは●●職があるけど、どの業務内容がやりたい?」というコミュニケーションよりも
「あなたは将来どんなことに携わってみたいですか?」と聞いて、自社の業務内容を意味付けして提案するコミュニケーションが求められています。
双方にとって『あなたがウチで働く意味・目的』を
具体的にしていかないといけないわけですね。
以前のように「入社してあとは頑張って育ってね」ではなくて、
「入社後も〜〜の実現のために、一緒に頑張ろう」としなければなりません。
※1:1で向き合わないといけないため、かなり大変にはなりますが、これが後述する【役割採用】の話にもつながってきます。
そしてこれは採用人数が多い大手企業では中々できない動きになりますので、中小企業の方は絶対にやるべきです。
令和の新卒採用戦略:
『1エントリー1決定』を目指す
まず言葉の定義ですが
戦略=自社らしさ
です。
競合がとか業界がとか言う前に、
自社らしさとは何か、経営者の方の自分らしさとは何か、
ここを突き詰めることが『他者と戦わずに戦いを略すこと(戦略)』につながります。
今の時代、中小企業は昔のようにハローワークやナビに掲載するだけで何十名も何百名もエントリーがあるわけではありません。
そのため、いかに自社らしさを出すことができ、
いかに自社に合う人材を獲得できるかが勝負になります。
とはいえ実際は10エントリー1決定くらいの数値に落ち着くと思いますが、気持ちとしては1エントリー1決定が理想です。
これの本質は『一人のエントリー者に対して、しっかりと向き合う』ということが大事になるかと思います。
具体的な戦術① 情報の仕入れ方のアップデート
まずは10人の学生と話しましょう。選考に乗ってない学生ほど良いと思います。
・最近の学生は〜〜
・データを見ると内定取得率が年々早くなっている〜〜
・SNSの使用率は〜〜
などなど、データを見るとか大人が出している情報もありますが、
マーケティングは現地現物現場が重要です。
実際の現役大学生と話し、
今の就活をどのように捉えていてどのような行動を
どのような思考でどのくらい行っていて
友達とはどのような会話をしてどのような気持ちになっているのか
など、聞いてみてはどうでしょうか。
様々な採用支援業者の方からの情報を仕入れるのも素敵ですし必ず実施してもらいたいのですが、大体は大人のビジネス活動に紐づいている情報です。
仕入れる情報のアップデートとして、まずはリアルを知りにいきましょう。
具体的な戦術② 待ち&攻めの両立
まだナビサイトだけに頼っていませんか?
正直、ナビサイトは企業にとっては『待ち型』のサービスです。
エントリーの起点は学生であり、企業は待つことしかできません。
それだと、どうしても大手企業や地場有名企業に認知の部分で勝つことはできません。
そんな中、少し前から"ダイレクトリクルーティング”と呼ばれるサービスが普及して来ています。
これは『企業が学生にスカウトを送ることができる』といったもので、今の学生の4人に1人はこのダイレクトリクルーティング(オファー型)サービスを利用しているようです。
企業属性としてBtoBであれば尚更『学生から知ってもらうこと』の難易度は高くなります。
まずはこの認知の壁を壊しにいくためにも、
企業自ら攻めるというサービスを使ってみると良いと思います。
具体的な戦術③ 役割(ミッション)の明確化
採用面談や面接で『自社の課題』と『あなたに期待すること』を伝えられていますか?
『役割(ミッション)』を明確にすることは
今の時代かなり大事です。
今の時代は選択肢が無数にある時代です。
働く場所、働き方は無数に広がっています。
なんなら企業に属して働かないという選択肢も増えて来ています。
そんな中で、企業側が大切にすることは何でしょうか。
それは、『自社で働く目的・意義を明確にすること』です。
ですが、学生自身実はそんなに働くことに対して目的意識が強い方ばかりではありません。
だからこそ、採用面談や面接でこちらから提案するべきなんです。。
『弊社が新卒社員に期待すること』ではまだ甘いです。
『私があなたに何を期待するのか』まで明確に伝えてください。
実はこのやり方は大企業だと物理的にできないんです。
配属先も全員の希望を通していたら偏りが出てしまうこともありますし
何より人数が多すぎて現実的ではありません。
大手がやれないからこそ、中小企業はこういった勝ち方を目指しても良いかなと思います。
冒頭に出したこの離職理由の『仕事が自分に合わなかったため』という理由は、最初に期待すること(役割)を明確に伝えてから内定承諾を得ることによってある程度防ぐことができるのではないかと思います。
まとめ
いろいろ説明しましたが、結局は『役割』を提案できるかどうかが令和の採用活動のカギになると考えています。
そもそも採用活動自体が自社の何かしらの課題を解決するものであることは変わりません。
ですがここで大事になるのは『新卒社員への期待』ではなく、
『採用する〇〇さん(あなた)への期待』です。
抽象度を高くするのは大手企業がやることです。
採用人数が数人などの場合は、『新卒社員への期待』ではなく
ひとりひとりに向き合って『〇〇さんへの期待』を提案するようにしてください。
まとめると、令和の採用活動では
『役割を提案する採用活動ができるかどうか』が重要になるとまとめさせていただきます。
これを実現するような選考フローを作成して、学生に適したコミュニケーションを取れるようになればいいですよね。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
実際の例
少しPRも入ってしまいますが、
最後に弊社のご支援先での実例をお伝えできればと思います。
私たちは『学生人事サービス』という、新卒採用に特化した伴走型の採用コンサルティングサービスを行っています。
そこでは上述したような『大学生の情報を仕入れる』や『待ち型&攻め型の採用活動の実現』、『役割を提案する採用活動の実現』をサポートしています。
実際に以下の老舗企業様では様々な改善をすることによって
『役割を提案する採用活動』ができ、無事に採用成功を実現しているので、
今日お伝えした内容の振り返りも兼ねてご紹介させてください。
いずれも似たような活動にはなっていますが、
などを行っています。
自社にどのような課題感があって新卒採用をするのか、
そして新卒採用ではどのような人材に何を期待するのか、
選考に乗った方にどのように向き合い、役割を提案するのか、
この全体設計をサポートし、実行していくことが大事になりそうですね。
もし、
・現役の大学生と話してみたい
・一度自社の課題について壁打ちしたい
・考えている選考フローや採用のアイディアを壁打ちしたい
などのご要望があれば、私たちにお気軽にご相談ください。
私含め現役大学生のメンバーが30分ほどの無料壁打ちをしています。
『30分ひたすらに壁打ちをして自社の課題の言語化/アイディアの壁打ちをする』という時間です。
その後、採用活動をやる上でお困りになった時にはご相談いただければと思います。
ご興味のある方、ご予約をお待ちしています。
※こちらの予定では60分予約になっていますが、実施時間は30分とさせていただきます。