麻雀徒然草・第六回「涙」

「努力していないのならば、悔しがり兎や角言う権利はない———」
そう言ったのは私自身であり、今や教訓のようなものになっている。


最近は、学業に勤しむからと、麻雀の勉強は疎かになってしまっているので、負け続けても自分のせいである。

学業に関しては、そうした方が将来的に良いと咎められたからそうしている。
それも麻雀打ちから言われたので自身に響いた。

まだ私の人生は長いし、将来どうなるかなんてわからない。

兎に角、今は本業の学業に勤しむべきだと思った。
言ってしまえば、麻雀の勉強はいつでもできる。
しかし、高校ないし大学入試は今しかどうこうすることはできない。


それでも、私の人生には麻雀が付き纏うだろうとつくづく思う。

麻雀がなければ味気なさすら感じそうだ。

「麻雀は人生を賭けてしたい」
そう思わせるものがある。


その中でも最もそう感じさせているのは、
麻雀打ちの涙かもしれないと考察している。

Mリーグ2021-22シーズン・セミファイナル最終戦で見せた石橋の涙。
ファイナルに行けなければ、事実上解雇。
正に、麻雀に人生を賭けた一戦だった。
しかし、その甲斐虚しく敗北を喫した。

あの涙に込められた本人の気持ち、あの跳満で蹴落とされた時の心境、何よりチームに対する気持ちや責任感は計り知れない。

麻雀に人生を賭け挑む漢の涙はこちらとしても想うものがある。

そのような涙を幾度となく見てきた。

麻雀最強と名高い多井でさえも敗北に悔し涙を流していた。

あれは麻雀最強戦2019だったか。
男子プロ代表決定戦・悪魔の逆襲の決勝。
歴代でも屈指の死闘の末、多井は2着落ちという痛恨の敗北。

対局後のインタビューで多井は
「これがラストチャンスかもしれないと思って対局していた」
と悔し涙を流した。


同じく最強戦の一幕から。
麻雀最強戦2020全国アマチュア最強位決定戦予選での山越貴広さんの涙。

阿部颯斗との競り合いだった。
そこに親リーチが入る。
そして、山越さんは条件を満たした七対子を聴牌。

長考の末、5s単騎を選択。
この時、解説の多井は
「優勝決めるなら2p単騎」とコメント。
その直後に阿部から2pが放たれた。
インタビュアーの
「5sと2pの選択。当たり牌の5sを止め2pを打って聴牌を取りましたけど」
との問いかけに対し、
「普段あんまり考えないけど、麻雀人生の全てを賭けて考えろと思って考えた」
「結果として放銃しても局は続くし、そっち(2p単騎を選択し放銃する)の方が良かった」

そして最後の言葉に

「そうっすね、皆さん今年もいっぱい応援してもらってありがとうございました。負けるたんびに言ってるんですけど、俺は麻雀打ちなんで打つのやめると終わっちゃうんで、またこれからも毎日打ってまた来年帰ってきます。応援ありがとうございました」

と悔し涙を浮かばせながらも語ってくれた。

この紹介した2人はともに最強と名高い人だ。
解説に来ていた多井も解説中に山越とのエピソードを語っていた。
それ程印象深く、多井自身も影響を受けていたのかもしれない。


今回紹介した全てに共通しているのが
麻雀に人生を賭けている」という事。

そう己に刻みつけ、それを痛い程に知っている。
だからこそ、泣くんだよ。


「麻雀ごときで泣くなよ」
そう茶化す人もいます。
……ちげぇよ、麻雀だから泣くんだよ
山越貴広さんの著書「麻雀勝ち確システム」より引用

麻雀に人生を賭け、己の生き様こそ麻雀なんだから泣いて何が悪い?

私は、日々努力し直向きに頑張れる人を尊敬している。

そのような人を素直に格好いいと思う。

あの石橋pの涙は私に色々なものを思い出させてくれた。

こんなところで私はくよくよしてられないな。
まだまだ頑張らねば。

あの涙を見て、そう思った。


私にはまだまだ挑戦したいことがある。いや、挑戦せねばならぬことがある。

長く短い人生を楽しみたい。
そう思うからこそ好きな事には全力で挑みたい。


この記事が誰かのエールになれば幸いだ。







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