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パリの灯は遠く

 約1年も投稿を空けてしまった.反省.
 書きたいこともたくさんあったんだけど,実際に書く気持ちを作ることができなくて・・・またちょっとずつ書いていこうと心新たに.

 プロフィールに書いている通り,北海道大学陸上競技部の監督もしているんだけど,法人の運営もしており,その法人内で「アスリーツ・ラボ ランニング部」というランニングクラブもやっている.昨年まで北大陸上部に所属していた,国内トップレベルに位置する男子1500mの選手が,就職する2024年4月以降もサポートを求めてきたので,4月以降は上記ランニングクラブ所属で大会出場をしている.そして迎えた日本選手権.私も大会の開かれる新潟へ.
 今年の日本選手権は,パリオリンピック代表選考会として位置付けられていた.上位3位以内に入りオリンピック参加資格があれば,パリに派遣されることが決まる.男子1500mに関していうと,日本選手権前にオリンピック参加資格を持つ選手はおらず,出場するには参加標準記録(3分33秒50)を切る必要があった.日本記録よりも2秒以上速いタイムで,正直難しいところではあったけど,この冬から「このくらいのタイムは出したいね」といって練習は考えてきたし,何なら「自分自身は無理でも,お膳立てすることができれば・・・」という気持ちを持ち続けていた.
 ところが.

予選のスタート前

 予選では転倒に巻き込まれ,決勝出場圏外の着での入線.これは抗議により救済され,何とか決勝進出はすることができた(この顛末は後日書きたいな,と).幸い,転倒による大きな怪我も無く,決勝当日も動きは悪くなかった.
 決勝はペースメーカー(PM)が入っていて,参加標準記録突破が狙えるペースで引っ張ってくれることになっていた.私は,「ついて行って,積極的に標準突破を目指そう.自分が無理でも,誰かが切れれば行った甲斐がある」という話をして送り出した.選手も当然そのつもりになっていて,「ビビらず行けるかな・・・いや,行かないといけないですよね」と気持ちを入れて挑んでくれた.

決勝直前.スクリーンに映っているのが当チームの選手だけど,白トビで見えないね.

 スタートで前を取れなかったので,中団からのレース.このパターンはよくあることなので,徐々に前に上がっていけば良いや,と.で,前の集団を見ると,ほとんどPMに着いて行っていない.最初の位置取りだけかな,と思っていると,400mを過ぎても集団とPMは離れるばかり.これは記録も出ないよ・・・と思っていたら,ウチのが行きましたよ,650m付近から.それについて上がっていく集団.800m通過くらいでPMまで詰め直し,1000m過ぎにPMを交わそうとするも,再度前に突っ張るPM.そのまま1200mまで進んだところで,PMが離脱.とともに,ペースを再構築したウチの選手も売り切れ・・・・・・
 結果的に,優勝タイムは大会記録だったものの,オリンピック標準には及ばず.我々としては,端から「着よりも誰かがパリに行ければ」だったので,結果はついてこなかったものの,意志を持ったレースができたと評価していいんじゃないかな?と.しかしながら,着が必要なことは分かるけど,もっとチャレンジする選手がいたらなぁ・・・と少し残念な気持ちになった.まあ,それも含めて陸上競技,なので,仕方ないよね.

 結果としてパリに行くことはできなかったけど,「挑戦する」というところまで来れたことには,感謝と達成感.そして,この気持ちは国内トップレベルだから,ではなく,どのレベルの選手を見ていても同じだよね,と今回の日本選手権で強く感じた.大学に入って初めて競技に出場する選手をスタンドで見ているドキドキ感と,今回のドキドキ感は,大会規模の違いだけでほとんど同じだよね,と.くるくる元に戻る書き方だけど,このように感じることができた,というのも,今回の日本選手権に来たから,であり・・・
 全てのアスリートに栄光あれ,と.


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