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振り返れば俺がいる(51)映画について(その5)20歳の頃の映画体験『トレインスポッティング』『逃走迷路』

――前回までは学生時代にハマった映画についてお聞きしました。ここからは20代の頃にハマった映画を教えてください。

学生時代は、割とテレビで放送されているものとか、親が借りてきたものを受動的に観る感じだったんですが、社会人になってからは、自分でビデオを借りて観るようになったんですよね。

20歳の頃に観た映画でインパクトがあったのは、『トレインスポッティング』(’96)ですね。

――若者のドラッグ・カルチャーを描いたイギリス映画ですね。

とにかくオシャレで、1回しか観ていないのに、色使いとか映像が、すごく印象に残っていますね。主題歌はテクノユニットのアンダーワールドで、20歳の頃の自分の感覚と非常にマッチした映画でした。

最近、続編が公開されたようですが、それはまだ観ていません。

――やはり、若い頃はスタイリッシュな映像に惹かれますよね。

そうですね。似たような時期に観た映画で、『トレインスポッティング』と近い感覚の映像として『ピンポン』(’02)とかも凄く好きでしたね。

――他にはどんな作品を観ていました?

20歳の頃は古い作品も結構、観ていたんですよね。

ヒッチコック監督のことを知って、DVDボックスを衝動買いして、一気見したり、贅沢な時代でした(笑)

――ヒッチコックの作品では、どれがお気に入りでした。

定番の『サイコ』(’60)、『鳥』(’63)はもちろんハマりましたけど。

一番のお気に入りは『逃走迷路』(’42)という作品です。

――濡れ衣を着せられた主人公が逃げ続ける映画ですね。どんなところに惹かれたんでしょうか?

ヒッチコックというと、「サスペンスの巨匠」と言われるくらいで、どちらかというと、人間の残酷さや冷たさを描いた作品が多いですよね。

この映画もサスペンスではあるんですけど、なんだか温かい感じがするんです。主人公は次々と窮地に立たされて、追い込まれていきます。

でも、見ず知らずの人が助けてくれたりします。若いながらにこの作品を観て「人間ってそういうところもあるよなぁ」と思ったりしました。

意外と人間って、見ず知らずの人でも困っていたら、助けたいって思うこともあるじゃないですか。例えば、道に迷っている人に親切にしてあげたり。

たわいもないことだけど、そういう面をさりげなく、自然に描いた作品ははじめて観た気がしたんですよね。

しばらく観ていませんが、『逃走迷路』は、今でも大好きな作品の一つですね。

(次回に続く)

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