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財布

覚えている限りで最古の財布はタコ型の小さながま口だった。たしか4歳くらい。10円玉をいれて駄菓子を買っていた。

本格的な財布を初めて持ったのは小学5年生で、姉に憧れて長財布にした。
ショッキングピンクの合皮。ワゴンセールでみつけた謎ブランド1500円。大人になったみたいでドキドキした。財布を買ったら中に入れるお金がなくなって意味がわからなかった。
お金のかわりにプリクラでぱんぱんだった。

中学2年生、誕生日に目玉がプリントされた長財布をもらった。
妹と母が選んでくれた。当時の私は原宿系ファッションが好きで、目玉だとか心臓だとかをあちこちに付けていたのでヴィレッジヴァンガード出身のその財布をかなり気に入っていた。
最近この財布に再会して、中身を確認したら相変わらずプリクラでぱんぱんだったし、10年前のライブチケットの半券、今は無いショップのポイントカードが出てきて変な顔になった。
そういえば次の財布になってもプリクラだけはこいつに保存していたんだったね。

高校3年生、また誕生日に財布をもらった。当時の交際相手がVivienne Westwoodの長財布をくれた。くすみラベンダーの型押し、ヴィヴィアンといえばオーブなのにオーブがついていなくて謎。あとこの財布をもっている期間の記憶が曖昧で思い出がない。あるけどわからない。
私は財布の替え時がわからなくなっていて、この謎財布を21歳までつかっていた。

21歳、なんでもない日に当時の交際相手が牛革の黒い二つ折り財布をくれた。
「君は服装にこだわりがあるのに、なぜ財布はこだわらないんだ?」と言われたことを覚えている。たしかにミスマッチだったなと反省した。
セクシーな君でいてくれと貰った財布は私によく馴染んで、つい最近までつかってしまった。
そういえばお揃いだったこと、ここまで書いてから思い出した。彼が茶色で私が黒。友人の財布職人がベトナムで作っているとか言っていたな。
良い財布だったけれど小銭入れ部分のボタンがとれたし、いくら物に罪がなくとも、もう使うのはよそうって最近持つのをやめた。正確。

そして今は100円均一で買ったゲゲゲの鬼太郎の小銭入れを使用している。正確には小銭入れなのか定かではない謎ポーチ。
脳内でミスマッチという言葉がぐるぐるしているがギャップだと言い張る。
私はあまり買い物に行くことがなく、財布を取り出すタイミングがコンビニかドラッグストアしかない。だからギリギリ大丈夫。成人女性が小汚い小銭入れから折れ曲がった紙幣を出す姿はかなり見苦しいと思う。絶対にやめたい。あと所持金がわかりづらい。デメリットしかない。鬼太郎達は可愛い。

飽き性の私がどの財布もわりと長く持てたのは替え時がわからなかったからだ。本当に難しい。歯ブラシの替え時くらいわからない。
財布のプレゼントの意味はいつも一緒にいたい、らしい。容易に想像できるのに今知った。そりゃそうだよね。今後は縁が切れた人にいただいた物を使うのはやめよう。本当に駄目だ。

数年前、高校の同級生とデートした時にマジックテープの財布を取り出す姿を見て嬉しかった。本物のオタクだ~!と興奮した。私も次はマジックテープにでもしようかな。


べりべり

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