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【壱岐新報2022.8.12】「認定こども園」今、何が起きているのか

 市議会6月会議で、唐突に議案にあがった郷ノ浦町柳田地区を建設予定地とする「認定こども園」。市による建設計画の議案上程からわずか2週間でのスピード採決が行われ、市議会は賛成多数で可決。詳細な説明や審議を経ないまま、議会を終えた。同計画は雲仙市の社会福祉法人北串会が事業者となり、市とともに計画を進めている。しかし、建設予定地の旧辻川石油跡地の周辺は土砂災害特別警戒区域に指定され、近年頻発する大雨などの自然災害の危険をはらむ。同地は保育所運営に適地なのか、危険なのか、議会採決後の今も市民の間では議論が巻き起こっている。


保護者や住民への説明がないまま計画が進行


議会採決後、建設計画を知った保護者や市民は口々に疑問の声をあげ始めた。当紙にも「いったい何が起きているのか」と問い合わせが届く。事実を確かめるため関係各所に話を聞いた。記者の質問に対し県は「壱岐市が決めたこと」とし、市は「民間事業なので事業者に聞いてもらいたい」と詳細な説明を避けた。県と市の回答を受けて、同園事業者の北串会理事長にも話を聞いた。理事長はわかる範囲までの回答を示し、市担当課と5回ほど協議を重ねていたことなどがわかった。

 市議会の可決を経た今、建設計画は進められようとしている。当初から言われている「市民への説明がない。説明会開催を」は未だ実現には至っていない。市は、郷ノ浦町へき地保育所5園の保護者のみに対して閉園説明会を開いた。

 「なぜ、どうして、どういう経過で」など建設に至る市民の疑問は解決していない。そこで、取材を通してわかった事実を時系列で示すことにした。

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