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【小説】あの夜の会話: 相手を認める

今年の2月のある夜のこと。
私には中学以来の親友がいます。
そんな彼女と長電話をしました。
それも、今までで1番濃い内容を話しました。

まず、彼女との関係性について。
彼女と私は、中学一年生に出会い、同じ部活に入り、
同じ塾へ通い、同じ高校へ進学しました。
生憎、大学は離れましたが…

彼女とは、何度も距離を置いたり、くっついたり
そんな厄介な女子みたいな関係を繰り返しました。

中学、高校、大学で、もちろん他にも仲の良い友達はいます。当時は誰が1番仲良いのかさえ決められないほど、
親友と呼べる友達も何人もいました。

しかし、大学卒業を控える今、私が心から親友と呼べる友人はたった1人。いや、親友ではなく心友とします。

心友。
文字通り、言葉を交わさなくても心で通じ合えるそんな仲です。
そんな心友と長電話をしたあの2月の夜。

私は公務員試験勉強真っ只中。
心友は就職活動に奮闘中。

今思うと、そんな忙しい時期によく長電話したなって思いますが…
確実にあの日の会話は価値あるモノです。

会話の内容は、互いの進路について。
心友は、頑張り屋さんで、責任感が強く、真面目純粋な女性。
決して周囲には見せない弱い部分を、
私には見せてくれるのです。
ましてや、コロナ禍での就職活動、さらには、地元から遠く離れた場所へ行かなければならないかも、もし就職できなかったら…心友の悩みや不安は山ほど

心友はいつも私に劣等感を抱いていたそうです。
いつ会ってもいつ話しても、
「言織ほんまにすごい尊敬する
「いや〜ほんまにすごい」いつも本心でこう伝えてくれます。

以前、教員を目指していた心友にとって、
公務員試験を受ける私は確かにすごく映ったかもしれません。
劣等感を抱いてしまう気持ちもよくわかります。

心友は涙声で、
「同じ土俵に立てるように頑張る」と言いました。

心友から見た私は遥かに遠い雲の上にいたそうです。 
そう思って貰えるなんて幸せなことですし、
私も負けてられないと思いました。

そんな彼女、一般企業への就職が決まり(それも凄い会社)、結果的に教員免許も取れてしまう現在の心友。
すごくないですか?

そんな彼女から、先日お手紙が届きました。

今年の2月、長電話をしたとき、
2人は全く違う高さで将来を見ている
と思っているって話したよね。
そして先週の土曜日には同じ高さで、
違う会場のレーンに立っている感じがする
って言ったよね。
いつも自分より遥か遠くにいるように感じていて
見ている景色も全く違うんだろうなあ
と劣等感さえ感じていた2月。
… 今年になって、
より近くで言織の努力を知ってからは
比べること自体間違っていたと痛感しました。
うじうじと先に進めずにいた私とは違って
ひとりで自分と必死に戦ってきていた言織。
遥か先にいるように感じていたのは
ある意味正しかった。
そう気づいてからは、
少しずつ少しずつ前進するようになって、
自分としっかり向き合えるようになりました。
あなたは私の誇りです。自慢です。宝物です。
違う場所で違う景色を見るのは当たり前のこと。
それでも側に存在を感じながら支え合える
この当たり前じゃない関係に心から感謝です。
もらってばかりだから
私も一生懸命努力して、少し強くなって、
もっともっと言織にあげられるようになるね。

彼女からの手紙の一部引用です。
まず、小説読んでる気分になりませんか?
そう、彼女が選んだ職業、
そして自分のものにした職業は、
「コピーライター」
はっきり言って彼女にとって天職だと思っています。
ここまで感動して影響力のある力強い言葉を書ける彼女は私にとって自慢です。

彼女の1番のよいところは、

相手を素直に認められるところ。

普通の人ならプライドが邪魔して他人を褒めるなんて簡単ではないでしょう。
私の心友は、いつでも誰のことでも
素直に褒めることができる。

相手を認められるなんて最強に強い心がないとできないですよね。
そう彼女との沢山の会話から私は学びました。

もう十分同じ土俵に立っていますよ
…それか私の少し上か

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