そんなこんなで付き合うことに



それからは仕事終わり毎晩彼の家に遊びに行った。
お酒を飲みながら何時間も何も食べずに会話も途切れなかった。深夜まで飲んでは家に帰りまた仕事に行く生活。(若かったからできたよね)

彼の家はかなり変わっていた。
びっしりと並べられたフィギュア、ぬいぐるみ、未開封のオモチャ、漫画、ゲーム…。そして天井からぶら下がる大量の和傘。壁一面のポスターやら写真やらアートな絵画。そして和室だった。
証明は間接照明…。まるでヴィレ○ンの和風バージョンのような異空間だった。

私は完全に異空間に当てられていた。
そこにひっそりと置かれていた一枚のプレート。
某思想(?)団体のプレートだった。紋章にびびっていたら彼は「昔の話だよ!昔の!」って笑っていたけど…。
素直にそうなんだ…昔か!って思っていたけど、今思えば普通に親に紹介できない人と付き合うべきではない。

その日は私もかなり深酒していた。
日本酒(飲めるとかっこいいので)をたくさん飲んでベロベロになっていた。

そしたら彼は和室に引かれている布団に誘導してきた。うっすらとある意識の中で妙に覚えているのは、

覆いかぶさってくる彼の腕から首にかけての波模様のような入れ墨と逆光でよく見えない顔、初めて見た全身の入れ墨

間接照明で照らされて赤くぼんやり光る不気味な和傘だけが見えていたこと。

「あれなんか人生終わったかも」

とそこでようやく思った。

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