『軒の玉水』道元禅師

聞くままに また心なき 身にしあらば
己れなりけり 軒の玉水

※(二言メモ)

在家の修行者(居士)だったころ、それは雨がしとしと降り続く日でした。

「こんな雨の日は、かえって ぐんぐん坐われるものです」と、老師が提唱(教えの肝要なところを教え示す説法)でこの道元禅師の歌をとりあげられました。

なるほどなるほど、普段はあちらこちらに心が散り散りになるのに、その日は、ムーーーッ、と静かに集中できたのでした。

しかし、普段より格段に坐われることに喜びすぎたのか、気持ちが前のめりになってしまったようです。本当は、ムーーーッ、とただそれだけでよいところを。「心」やら「己れ」やらと、心が跳ねまわってしまいました。

己れに迷うて「己れ」を追うの例でしょうか。

ほろ苦い玉水です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?