コツコツと

アドベンチャーレースのプロチーム「イーストウィンド」がテレビに出ていると家族からLINEがあった。昨年のレースを追いかけたものが放映された様だ。レースの詳細はよく知らないが、何日もかけて何百キロも先のゴールに向けて、いろいろなアクティビティの中に設けられたチェックポイントをチームでクリアしていく。アドベンチャーレースも僕がやっていたラフティングも自然の中で数日かけて行う点は同じだが、彼らの場合はこれをノンストップで行うので、僕らからすると完全に超人の領域だ。こう言った点が世の中に受け入れられて、テレビにも頻繁に取り上げられているのだろう。これに伴い、国内の競技人口も増えている様であのホリエモンもレースに出ていたりする。

日本のアドベンチャーレースにおける第一人者は田中正人さんで、テレビでは鬼軍曹なんてニックネームをつけられて今や松岡修造ばりに日めくりカレンダーまで出ている。ご本人は寡黙で真面目な眼鏡おじさんだが、ようやく世の中が彼の凄さに気づいたのだろうと見ている。
田中さんの後継者の陽希もNHKで日本の三百名山を一筆書きし、今や日本中に講演に行ったりしていて人気者だ。10年以上前から彼を知っているが、素晴らしい人間に成長している姿を見ていると本当に嬉しい。

田中さんたちのチームも僕がいた警備会社のサポートを受けているし、ラフティング仲間でもあるので、一緒にトレーニングさせてもらったこともある。僕は先にラフティングレースから引退したが、田中さんは今も現役だ。何よりもそれが凄い。

人に認められる様になるにはやはり地道にコツコツと積み上げなければならないんだと田中さんを見て思う。僕が現役当時の監督は田中さんのことを馬鹿にしていたけど、今や日本において田中さん含めアドベンチャーレースはたくさんの人に知られている。一方でラフティングは知っている人はいるものの、誰もが知るスポーツにはなっていない。残念なことだけどこれが現実だ。大きな違いは第一人者と呼ばれる人が地道に続けたか、途中で胡座をかいたかの違いだと思う。僕はラフティングの第一人者に辞めさせられた人間なので、もうレースに戻ることはないが、ラフティングが発展するために今でも自分ができることは続けている。しかし、当の第一人者は、自分の小さなプライドを守るため、若者の可能性を潰し、日本におけるラフティングの発展の邪魔をしている。
何よりも、今も毎日トレーニングをしている現役選手が可愛そうでならない。

人は努力を続け、死ぬまで成長し続けるべきだと考えている。ラフティングは辞めたけど、自分の使命を全うする為、今も生きている。僕にとってラフティングで世界一になったのは自分の使命を全うする手段の一つに過ぎないが、その過程で学んだことは今も大いに役立っている。

どうか、ラフティングをしている若者たちに僕と同じ様に成長のチャンスが巡ってきます様にと願わずにはいられない。

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