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くるりもソウルフラワーユニオンもあきらめて選挙ボランティアをした話3

10月29日
ついにボロフェスタ初日だ。
小豆島で8時過ぎからある演説を聞くために5時台にホテルをチェックアウト。6時台の始発のフェリーで島に渡った。もはやストーカーの域である。
演説を聞き終えて、土庄港に歩いて戻っていると、道すがら小川淳也小豆島事務所があったので写真におさめた。

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よし、高松に戻って残った仕事を終えたら、京都に行くぞ、小川さんがんばれ!と心に景色を刻みながら歩き出すと、ちょっとちょっと!と後ろから声をかけられた。演説を終えて戻って来られた小豆島事務所の方で、どうぞお入りくださいと、事務所の中に案内してくれた。
そうして次々と集まってくる人全員に、わざわざ神奈川から応援に来てくれたのよ、と紹介してくれて、その度にありがとうありがとうと言ってもらえた。
ただ来たいから来ただけでなんの役にも立ってないのに、あまりの歓迎ムードでくすぐったかった。
そのうちに、神奈川?昨日集会で発言した人か!となり、また色々と介護の体験談も聞けた。この日も朝からとてもうれしかった。
バジリコというカフェが開いていたので朝食を食べた。うまい。

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高松に戻り14時に仕事を終え、駅のロッカーに預けた荷物を取り出し、
さあ京都へ行くぞと電車の時刻表を調べるために取り出したiPhoneで、
今日行けなくなりましたが、明日からは行くので一泊だけ取り消してください。と気づくと京都のホテルに電話していた。
電話を終えると、瓦町近くにある小川淳也商店街事務所へと足が動いていた。

本来、人の輪に入ることなんてものすごく苦手なのに、何かをやりたいと思った衝動はどうしても止められないという、自分でも理解しがたい性質がある。
思えば15年以上前、初めてボロフェスタのスタッフに申し込んだ時も全く同じだった。京都大学の敷地内にある西部講堂という大好きな場所で、自分の好みのバンドばかり出演しそうな催しがあって、しかもボランティアスタッフを募集していると知って、仕事を2週間休んで東京から京都までスタッフをしに行った。
ものすごく参加したい気持ちと、初対面の人の輪に飛び込まねばならない恐怖で言えば、3:7くらいで恐怖が勝る。だけど何故だか我慢ができない。

そんなわけでこの日も、数回事務所の前を不自然に通り過ぎ、数十分向かいの道路から事務所を見つめたのち、数人の人が出てきたタイミングを見計らって、何かお手伝いできることはありますか?と声をかけた。
当然蚊の鳴くような声なので3回ほど聞き返されたのち、これまた驚くほど温かなウエルカムな空気で事務所内に迎え入れてもらえた。
もし小豆島事務所で声をかけてもらえていなかったら、こっちの事務所に自分から出向く勇気も出なかっただろう。

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ここでも神奈川から来たというだけで、初めてテストで100点取れた子供かというくらい褒められた。
そして、県外から来てくれた人にはみんな書いてもらってるの、とその後数日にわたってお世話になるスタッフの方々に紙とペンを渡され、寄せ書きみたいなものを書いた。全くセンスのない長文になってしまったが、壁に貼ってくれた。
小豆島もそうだったが、思い描いていた選挙事務所の雰囲気とは全然違うアットホームな空間で、スタッフの方全員、いったいぜんたいなんでこんなに優しいんだというくらい優しかった。
この日はビラを折って交差点で配った。ただそれだけのことだが、小川さんを応援するスタッフの皆さんの熱に圧倒された。
そこには、応援のプロたちがいた。どの人も小川さんの素晴らしさ、今の政治を変えようという決意を口々に語り、1円の得にもならないのに、大きな声で街中に小川淳也をアピールしながらビラを配っていた。

いい体験をしたな。明日からはボロフェスタに行くぞ。
だって明日はeastern youthもOgre You Assholeも観なければならない。
そう思いながら事務所へ戻ると、今日帰られるんですか?と聞かれた。
いえ!明日も朝から丸一日、何でもやります!と答えていた。
京都のホテルは、もう一泊キャンセルした。

10月30日
朝、空港通りの方の本拠地の事務所にボランティアスタッフの方の車で連れて行っていただいた。
鳥のシルエットの色画用紙に全国からのメッセージを書いたものを壁に貼ったり、明日の投票日の晴天を願っててるてる坊主を作ったり、道路を走る車にパネルを持って呼びかけたり、やっていることはどうということのない些細なことではある。
高松に来てすぐ思ったが、ボランティアスタッフの方の掲げるメッセージが全て「投票に行こう」なのがいいなあと思った。

「〇〇をお願いします、勝たせてください」みたいな選挙でお決まりの掛け声がもともととても苦手だった。選挙活動で候補者が訴えることが、政策ではなく勝たせてください、だったり対立政党の悪口だったりすることばっかりだなと思っていた。
小川淳也さんの場合、今の政治を変えること(決して悪口ではない)、弱い人を助けること、次の世代のことを考えること、そしてそれを有権者のみなさんと一緒に成し遂げようと本人が呼びかけ、周りにいるスタッフはただただ「投票に行こう」と呼びかけるのだった。
今伝えたいことは伝えた。あとは市民一人一人の判断で決めてくれ。という姿勢が井手さんの「私たちが社会を作っている」というスピーチとも重なり、とてもいいなあと思った。

その後、おいしいうどん屋さんに連れて行っていただき、午後は小川さんの妻、明子さんの乗る街宣車の後ろについて、ポスティングをした。
ただの旅行では行かないような高松の街の住宅街の風景に触れ合うことができたし、車内でも普段話さないような先輩世代の方に、これまでの小川淳也応援活動の話を聞けてとても楽しい時間だった。
ポスティングを終えると瓦町駅前で最後の演説だ。

ところでこの瓦町駅前では金曜日には、対立候補のお二人も、比例で立候補?という言い方であっているのかな、のれいわ新撰組の方も演説していたので全て見たのだが、そこで不思議な感覚に陥った。

小川さんが集会を開いた場所と同じところで演説をしている対立候補に出くわすことは滞在中数回あったのだが、いつどの場所で見ても聴衆の数が圧倒的に違った。
もちろん小川さんの場合、SNSを活用して何時にどこで集会するよということをわかりやすく打ち出してはいたので、その差はあると思う。
でも、それにしても、小川さんが話し始めることで歩みを止めて話を聞く人がたくさんいた。
ところがその他の候補の場合、本当にびっくりするくらい聞いている人が誰もいなかったのである。同じ期間の同じ選挙活動でこんなにも街の反応が違うのに、各メディアでは接戦、むしろ対立候補やや優勢という場合もあった。これで小川さんではない人が当選したら、それはつまり、市民の負けだな、と感じた。

そんな気持ちを持ったまま、麻生太郎さんも来るというので話を聞きに行こうと瓦町に出向いた時、度肝を抜かれた。つい数時間前別の場所で見たときは誰も聴衆がいなかった候補の演説に、歩道(1階席アリーナ)も、デッキ(2階席)も、信号の向こうの歩道(見切れ席)もすべて埋め尽くす人人人。
流石に現職で元大臣の候補がきちんと告知して、副総裁まで来るとなるとこんなに違うのか、これこそが民意なのか?と、絶望した。

ところが演説が始まるとその内容に愕然とした。愕然としたポイントはたくさんあるけれど二つだけ。

ひとつは映画のこと。
「小川さんの勢いがあるのはPR映画を作ったおかげ。そこに私も悪役扱いで勝手に出演させられた。事実が歪められている。これが許されるなら政治家全員PR映画を作る。正義が壊れる。」
この発言は本当に非道い。ひどすぎて、生まれて初めて非道いと書いてひどいと読ませたい。
「なぜ君は総理大臣になれないのか」はドキュメンタリー映画である。
もちろん大島新監督が小川さんに好意的であることは正しかろう。
でも小川さんは映画に出演したのではない。長年一人の政治家に密着した結果、こんなに実直で、一貫した理念のもとに政治活動をしている政治家がいるということがフィルムにおさめられたドキュメンタリーなのである。
そしてドキュメンタリーの中で、この「実直さ」は、決して小川淳也礼賛のためだけに映し出されてはいない。実直ゆえにうまくいかないこと、家族や支援者に心労がかかっていること、市民を裏切ったとして街中で叱責される場面なども映し出されている。
そんなドキュメンタリーに映った人たちの中で「悪役扱いで勝手に出演させられた」ともしご自身が思うのであれば、もうそれは、そういうことだ。だって事実なのだから。
だから事実を歪めているのはこの発言をした候補者であると思う。映画を見ていない人なんて山ほどいるわけで、その人たちに対して「プロパガンダ映画を作って民衆を騙している」と喧伝するのは本当に非道いと思った。

もう一点は、私はデジタルだけやっているわけではない、公約に駅の汲み取り式のトイレを水洗に変えることも入れている。と言っていた点で、これ自体は、ん?それって国政に携わる政治家の仕事なの?っていう気もしつつまあ大目に見て、庶民感覚、市民に寄り添える政治家だよというアピールなんだろうなと思って聞いていたが、「いつまでもボットン便所じゃ外国からお客さんが来た時にこれが日本だと思われてしまって恥ずかしい。そうならないようにトイレを変えることを公約に入れている」と言っていた。
あくまでも目線が向いているのは、市民の生活が便利になることではないようだった。
こういうことを、めちゃくちゃ正しい意見然とした口調で言えること。演説内で最も熱を入れて聴取を煽った場面が、ドキュメンタリー映画への歪んだ批判であったこと。
そして見渡す限りの景色を埋め尽くした聴衆の層が、小川さんの集会に集まる人たちと全然違ってスーツや企業のブルゾンをお揃いで着た会社員ばかりであったこと。

いろいろなことが理解できて、ちゃんと演説を聞きに来てよかったなと思った。自分の今していることは選挙ボランティアというより、一部の利権のためだけの政治に対して、先頭に立ってくれる小川淳也さんという人と一緒に戦う市民運動なんだなと思った。いや、勝手に自分が思っただけだが、ひとりでも多くの人に、正しい目線で正しいことを成し遂げる人がいることに気づいてほしい。そういう気持ちで瓦町駅前に向かった。

全4回のうちの3/4です。1回目が↑。2回目が↓。


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