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くるりもソウルフラワーユニオンもあきらめて選挙ボランティアをした話1

今回の衆議院選挙で、生まれて初めて選挙ボランティアを体験した。
バカみたいな感想だが、とんでもなく楽しい日々だった。
どうしてそんなに楽しかったのか、非常に明確な3つの理由がある。そのうちの2つは、自分の特性にとにかくぴったりのイベントだったからだ。

1.応援が好き

元来、「応援」が趣味なのである。いや、生きがいとまで言い切ってもいいのかもしれない。
バンドであれアイドルであれスポーツチームであれ、とにもかくにも応援することが好きなのだ。

応援は気楽だ。自分はなんにもがんばらなくていい。めちゃくちゃにがんばっている誰かのことを応援することだけをめちゃくちゃにがんばればいい。

応援は苦痛だ。どんなに応援しても実になる見返りなんて何もない。応援にのめり込めばのめり込むほど、経済的にも摩耗する。
さらにスポーツの応援をしている間は、負けそうだ!失敗してしまった!この判定はどうなんだ?など、圧倒的なストレスの連続だ。

だがそのストレスには麻薬物質が含まれている。
応援する対象の勝利も、そして敗北ですら、それぞれ日常では得難い、えも言われぬ感情を味わえる。
スタジアムで観戦などすれば尚のことで、勝った喜びも負けた悔しさも、同じ熱量を持った人々と分かち合うことで無限に増幅されていく。これはもう極上の麻薬だ。ひとたびハマればやめられるわけがない。

だからやっぱりAKB48はすごい。
チーム制、シングル選抜方式、日本各地に姉妹グループを構える、握手券の売上が見える、などなどアイドルが従来持つライブを観て応援する悦びに、スポーツで味わうことのできた「勝ち負けの悦楽」を常にまとわせた。
そしてその最たるものが選抜総選挙だった。果たして生涯でAKB総選挙にいくらつぎ込んだのだろう。
投票、開票イベント、イベントに行くための宿泊交通費。計算しないでおこう。というほどにがっつりハマった。

そんな自分にとって、選挙ボランティアは、これらすべての悦びが味わえる驚くほど最高のイベントだった。
18年間のほとんどを負けの悔しさばっかり共有してきた支持者たちは、今まで出会ったどんな熱いアイドルファンやスポーツチームのサポーターよりも圧倒的な「応援のプロ」だった。
応援の先にあるのは候補者の当選か落選だけ。自分には何の得もないのに、驚くほど自分ごととして応援に没頭している。
そんな応援のプロたちとともに、一人の候補者の当選に向かって一丸となって応援する日々が最高でないわけがなかった。

2.フェスが好き

とにかく音楽フェスが好きだ。
今年8月、日本中で新規感染者数がうなぎのぼりに拡大しているなか開催された、フジロックフェスティバルも感染拡大防止対策には念を入れまくった上で、思いっきり楽しんできた。通算18回目のフジロックだ。

今の会社で働けているのも、京都で毎年開催されるボロフェスタという音楽フェスがきっかけだ。

フェスの何が好きなのか。
普段はそのための会場ではない場所に、音楽を楽しむための特別な場所が作られること。
そしてその場所に音楽を好きな人たちが大勢集まり、ただただ音楽を楽しむ日々が送れること。
普段自分は聴かないようなジャンルの素晴らしい音楽に出会えること。
さらに祭りを彩る様々な装飾がほどこされ、アトラクションやあらゆる食事の出店が立ち並ぶこと。

まさに「祝祭」という言葉がふさわしい高揚感が音楽フェスにはある。
観客として参加するのも、スタッフとしてその場所を作るのも、どちらも等しく猛烈に好きだ。

そして選挙ボランティアに充満している高揚感は、ほぼ音楽フェスのそれだった。
普段はそうでない場所に「選挙のための場所」を作ること。
その場所に候補者を当選させるという目標のためだけにたくさんの人が集まること。
日常ではありえないほど同じ方向を向いている人たちと政治の話ができること。
日常の風景を選挙で染めていく。そういった活動のすべてが最高に楽しかった。

3.小川淳也だったから

そして言うまでもなく、こんなにも熱を帯びた応援を楽しむことができ、フェスさながらの高揚感のある場所が作られていたのは、その中心に小川淳也さんがいたからだ。

コメダ珈琲のメニューが逆写真詐欺だ、メニューで見るより実物のボリュームが圧倒的にすごい。とよく話題になるが、小川さんもまさにそんな感じの人だった。逆メディア詐欺男である。

なぜ君は総理大臣になれないのか、本当に君は総理大臣になれないのか、時給はいつも最低賃金、国会での質疑、YouTubeでの対談、そして日本改革原案と、小川さんの活動についてはメディアや書籍を通じてしっかり追っていた。

こんなに誠実で、弱者のために先頭に立とうとしてくれる政治家がいるだなんて、いや、本当ならそれが当たり前なはずなんだけど、もはや政治とは一部の強者のためだけにあるものと思わざるを得ない世の中の状況の中、
「あなたが幸せと思える生き方を自由に選べる広い選択の幅、そして尊重しあえる懐の深い価値観で満たされる社会」つくり、市民ひとりひとりの「人の幸せ」を増やせるかを考える。
ということを一貫して理念として掲げ、しかもそのためにすべきことをわかりやすく説明してくれる政治家がいるのか、と驚いた。

そういう人は自分以外にも今の日本にたくさんいるだろう。
だからこそ、長年に渡り応援し続ける地元の人たちが大勢いて、自分のように投票もできないのに応援する人が全国から集まり、18年間ほぼ負け続けた対立候補に勝つことができたのだ。
素晴らしい人物であることはあらかじめメディアから得られる情報でわかっていた。

ところが、実際に触れ合った小川さんはコメダ珈琲逆写真詐欺同様、メディアから得られる情報を遥かに超える魅力的な人物像だった。
AKB48に入ったら間違いなく握手会人気ナンバー1になれるであろう。
握手会で人気となる要素、前傾姿勢で真剣に話を聞く。お客さんの顔をすぐに覚えて別の会場で会っても認知してくれる。常に全力で笑顔。人によって対応が変わらない。という神対応の連続だ。
全アイドルファンに告ぐ。小川淳也の青空対話集会に行くといい。会いに行くために必要なのは交通費だけだ。

そして何より感じたのが「弱者を思う気持ち」だ。
それを最も感じたのは開票日だった。選挙事務所のテレビで自民党の大物の落選が伝えられ、それに支持者が湧くたびに、それとなくその空気を修正していた、ような気がする。
みんなの目線がテレビに行くのを、陽気なスピーチでそらし、人の不幸を喜ぶような空気が充満するのを防いでいた気がするのだ。

そうしてついに対立候補の選挙事務所がテレビに映し出された時、やはりみんなの視線がテレビに注がれた。やはりその時も、小川さんはすぐさまチャンネルを変えるよう促した。あの時だけ、お祝いムード一色だった会場の空気がほんの一瞬ひりついた。あの空気のおかげで、みんなの中に湧いたであろう、あわよくば落選して落胆している対立候補の様子をみんなで見学してやろうというヨコシマな気持ちが一瞬にして正された。
負ける気持ちが分かっている人の強さと優しさを感じた。

選挙期間中、どれだけ嫌なことを言われ、ネガティブキャンペーンをされていたかは数日街を歩いただけでも明確であるのに、小川さんは自分が聞いた演説の中で、ただの一度も対立候補の批判はしなかった。与党の政策の悪い部分、歪んでいる部分については鋭く指摘するが、個人攻撃のような内容は絶対に口にしなかった。
こういう人に、日本の政治をまかせたい。たったの5日間追っただけだけど、その期間に見た、どの瞬間の一挙手一投足を切り取っても、そう思える人物だった。

そして当選確実となったスピーチで、まず語ってくれたのが、政治というのは常に51:49の49の人に目を向けねばならない。ということだった。
生まれてこの方、ずっと少数派の方で生きてきた自分のような人間の生き方について真剣に考えてくれる政治家が、目の前で勝利を収め、そして勝った途端にすぐさま少数派に想いを馳せている。そのことに本当に本当に希望が湧いた。

今回の選挙も、全体を見れば全く喜べるものではない結果に終わってしまった。選挙で落胆することに心が慣れてしまっている。
けれど、今回の小川淳也さんの当選は一筋の光だ。
今のみっともない政治を、国民の信頼を得られる見たことのない政治に変える。小川さんは何度もそう言ってくれた。
ここからがスタートだと思う。小川さんをはじめ、市民の、弱者の側に立ってくれる政治家がもっと増えるよう、自分も政治のことをサボらずに生きていこうと思う。

全部で4回書こうと思ってます。2回目がこちら↑

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