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日本自身の外交的役割  23年通常国会 泉健太代表質問② 

衆議院本会議での代表質問です。

国家安全保障戦略

戦禍の恐怖に晒されているウクライナに連帯を表明し、ロシアの即時停戦と全面撤退を求めます。総理、日本に可能な貢献分野は限られますが、更なる民生支援や復興支援に向け、ゼレンスキー大統領との早期の会談を持つべきです。 総理は、急激な防衛費の増額、防衛増税、反撃能力、と安全保障の方針を大転換しました。しかし、これで我が国に平和が訪れるのかといえば、周辺国との緊張は依然として高い状態が続いています。ここがいわゆる安全保障のジレンマです。
 総理、日本と周辺国との外交関係、安全保障環境において、どんな手法で、どんな未来を描いておられるのか、ご説明いただきたい。

反撃能力

「反撃能力」についてです。 そもそも政府のいう「反撃能力」とは「敵基地攻撃能力」と何が違うのか、総理、国民に分かりやすく説明すべきです。 いわゆる相手国のミサイル発射着手段階における、こちらからの敵基地攻撃は、現時点で技術的に不可能に近く、国際法違反の先制攻撃になるため、我々は反対しています。もし政府のいう「反撃能力」も、敵のミサイル発射阻止を目的とするのなら、同じことになりませんか。「存立危機事態」での敵基地攻撃についても、我が国へのミサイル攻撃を防ぐための必要最小限度のやむをえない措置とは言えませんので反対です。
 次に、相手国の移動式ランチャーを、こちらからミサイルで狙うことは不可能ということで、固定目標に狙いを置き換える議論がありますが、それはミサイル「発射阻止」のための必要最小限度のやむをえない措置の範囲内なのですか、お答えください。 また「反撃能力」とは、港湾、航空基地、指揮命令系統の中枢も含む、ミサイル発射阻止を超えた抑止力であるという考え方をとりますか、お答えください。
 自衛隊が長射程のミサイルを保有する必要性については、一定理解いたします。米軍はアジアのミサイル・バランスが中国優位に大きく傾く中で、地上発射型中距離ミサイルの「第1列島線」上への配備を考えていたようですが、自衛隊による長射程ミサイルの配備でこれを見送る方針を固めたと言われています。 ただ、このことは、日本の戦力が米国とその同盟国の持つ抑止力に組み込まれ、一体として運用されることになる可能性を示唆しています。政府は新たに陸海空3自衛隊の部隊を指揮する常設の「統合司令部」を新設するようですが、実際、韓国の米韓連合軍司令部では、有事の際は米軍側司令官が連合軍司令官を兼ね、指揮を執り、NATOでも米軍が指揮を執る仕組みがあります。総理、日本もこのような指揮権の共有や移譲を考えているのですか、お答えください。

日本自身の果たすべき外交的役割

 日米の一体化が進めば、進むほど、「専守防衛」を逸脱する懸念が拭えません。政府は、どのような歯止めを考えているのか。お答えください。 外交努力 日米関係は我が国の基軸です。しかし日本には日本自身の果たすべき外交的役割があるのではありませんか。周辺を見渡した時、我が国の近隣外交は悪化の一方です。 特に、北朝鮮には同じ言葉で非難と抗議を繰り返すばかりで、拉致問題の解決も一向に進んでいません。ご家族の思いに寄り添っていただきたい。条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意、と毎回同じ総理の言葉ですが、何か算段や見通しがあっての言葉なのか、お答えください。 ロシアのウクライナ侵略は言語道断です。しかしドイツもフランスもウクライナ戦争後にロシア大統領と首脳会談を行い、米国国防長官もロシア国防相と会談しています。我が国も何らかの形で対露外交を再開し、率直に停戦や撤退を求めつつ、仲介の可能性を探るべきではないですか。漁業協議や北方墓参の再開をどうするのかも、お答えください。
 中国とは、経済的にも歴史的にもつながりが深い隣国であり、友好的安定的な関係の維持を再構築すべきです。日本は米中の間に立ち、対立を緩和に導く重要な役割があるのです。G7広島サミットまでに再度の首脳会談をすべきと考えますが、いかがですか。
 そして総理、私は「国家安全保障戦略」の「策定の趣旨」の記述を懸念します。 先進民主主義国の普遍的価値を「既存の国際秩序」とし、そうではない国は「普遍的価値を共有しない一部の国家」と記している。この姿勢では、まるで「力対力」ではないですか。我々の持つ普遍的価値は正しい。しかし正しいとしても、それを対立軸にすることが、国際社会の分断を招いているのではないですか。 国際社会は、そもそも宗教、政体、価値、慣習の違う国家の集合体であり「民主主義国家対非民主主義国家」の二項対立ではありません。異なる価値の対等なぶつかり合いと調和を前提とし、共感と理解を作り上げるべきではないでしょうか。対話と交流の中で、相互理解と調和を育む。これが本来の、本当の「日本外交」ではないですか。 総理、この安全保障戦略の文章を修正しませんか。お答えください。

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