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泉健太の発言録 【報道ライブインサイドOUT BS11 】 2021/11/10

ゲスト:泉 健太(立憲民主党政務調査会長 / 衆議院議員)、鈴木 哲夫(番組コメンテーター / ジャーナリスト)

<枝野代表が辞任>
司会:枝野代表が役員会で辞任を表明されたことをどう受け止めたか?

泉:私も含めて直前まで知らされずに役員会に臨んだわけですが、議席を減らすのは予想外の展開だった。国会経験が豊富な仲間も失ってしまったということで、政治家は結果が求められるということから、責任を感じて辞任というご判断をされたと思う。

今回の総選挙は紙一重の戦いだった。接戦区が非常に多くて5千票以内が16選挙区、1万票以内が31選挙区もあり、各社の報道の予想でも議席が増えると言われていた。立憲民主党の比例票は1149万票で2年前の参院選からは、350万票も増えているので決して退潮ではない。しかし、もっと多くの議席が期待されているなかで、現有議席を割ってしまったので責任を感じられたのだと思う。

鈴木:接戦区がとても多く、立憲民主党は小選挙区で前回よりも9議席増やしているので戦術は間違っていなかった。しかし、比例では23議席も減らしてしまって、なぜこんなに負けてしまったのか?立憲民主党の存在感や政策のアピールが不十分だったのではないか。共産党との協力だっていろいろな形があるので、どうあるべきだったかを総括すべきだと思う。

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<立憲民主党の代表選挙>
Q:立憲民主党の代表選挙日程は19日告示、30日投開票となった。

鈴木:次期代表候補として泉健太政調会長(47)、小川淳也国対副委員長(50)、馬淵澄夫元国交相(61)、安住淳国対委員長(59)、大串博志役員室長(56)、長妻昭副代表(61)の名前があがっている。

泉:この6名以外にも西村智奈美さんという女性議員の名前もあがってきている。
立憲民主党が予想外に議席を減らしてしまった原因をきちんと検証と自己反省をして、今回の代表選を機に、党にとって一番必要な流れを作っていくことが大切だと考えている。

何がいけなかったのか、何が足りなかったのか、国民の皆様から立憲民主党という政党がどのような評価を受けているのかということを、よくよく自分たちで認識をして、それを改めるために次の代表を選ぶことが大切だと考えている。

司会:泉さんへの期待は大きいと思うし、議席を減らした状況のなかで泉さんが自分で代表をやるという意気込みが必要ではないか?

泉:この局面で代表をやるというのは並大抵のことではないとよく言われる。もし、代表選にでるということであれば、なぜやるのかという理由が必要だ。多くの国民の方からは国会における立憲民主党の振る舞い方がもう少し変えられるのではないかと言われている。

党内には旧立憲、旧国民、菅元総理のグループなどいくつかのグループがあるが、次の体制をつくる時にはこれらのグループをシャッフルして、全党で一致してやれるような体制がつくれないかと考えている。

単に立候補するかしないかだけではなく、この機会に何を為すのかということを仲間と相談して、新しい可能性を追求していく代表選挙にしていきたい。

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<野党共闘の成果と今後の行方>
司会:野党の選挙協力の中で共産党との連携に不安を抱く有権者もいたのではないかと言われているがどう考えるか。

泉:そういう方もおられたのかもしれないし、比例区と小選挙区の結果は分けて考えなければならない。小選挙区の議席は伸ばしているので間違いなく成果はあったし、評価すべきだと思う。比例区の略称「民主党」ではトラブル(*国民民主党と同じ略称だった)があった。

立憲民主党の候補者が「比例は立憲民主党へ」と書かない、書けないケースが結構あって、比例は立憲という流れを失ってしまった。共産党、社民党、れいわと小選挙区で協力するなかで、各政党の方々がおられる街頭演説や集会のなかで自分の政党の比例区のことだけをお願いするのは難しい。

立憲民主党は比例の戦いもやっていのだけれど、大手を振って「比例は立憲民主党へ」と言う機会をかなり失った選挙だった。それが票の伸び悩みと比例復活できない状況につながった。

共産党に限らず国民民主党、社民党、れいわの各党が立憲民主党の取り組みに協力して頂いたことは間違いない事なので、すべての各政党の皆様には本当に感謝をして、その上で勝ちきれなかった事実、これをちゃんと受け止めてもう一回、戦い方を再構築しなければならない。これが立憲民主党に求められていることだ。


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司会:戦い方の再構築という中で連合の芳野会長が「共産党と一緒に戦う形は受け入れられない」と発言をされているが、どう考えるか。

泉:一緒に戦う形という場合でもさまざまな形がある。2009年の総選挙では協定や合意がなかったが共産党さんが多くの選挙区で候補者を下ろされたことがあった。

今回のように閣外協力という言葉を使うケース、または選挙事務所に関わってもらう形もあれば、選挙事務所には関わらず運動は別々に行うなど色々な形があるなかで、芳野会長が現時点でどこまでをイメージされているのかは定かではない。

例えばすみ分けもダメだと言われるのか、あるいは共産党が自主的に候補者を降ろされた場合もダメだと言われるのか、その点は芳野会長にも確認してみないとわからない。

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鈴木:市民連合が政策を出して4党が乗っかる形を取ったが、共通点ばかりを言うのではなく、立憲民主党はこれだ!ということを出すことも大事だが、今回はそれが弱かった。

司会:立憲民主党は骨太な国家ビジョンみたいなものが足りなかったと言われているが、その点はどうか?

泉:どうしても野党共通政策、野党統一候補という呼ばれ方、語られ方になってしまい、立憲民主党がこれをやります、という部分が弱く写ってしまったというか曖昧であったという問題点はある。

この点はわれわれが反省しなければいけないし、立憲民主党には立憲民主党の役割がある、共産党やれいわや社民党にもそれぞれの役割がある。立憲民主党の役割は共闘のなかで皆が同じゾーンに集まっていくのではなく、ゾーンを広げていくことであったと思う。

安全保障や外交政策もきちんと語って、中道から穏健保守の方々にまで安心感を持ってもらえる訴え方が必要だったのではないかと考える。

司会:元々の源流は同じなのだから、国民民主党の玉木さんともうまく連携していたら国民の見方も変わっていたのではないか?

泉:確かになかなか一致してできなかったところはある。

鈴木:選挙当日に泉さんと中継で話した時に「玉木さんを引っ張ってくるのは泉さんの役割だと言った」

泉:確かに一緒にやれるゾーンにいると思う。

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<「維新の会」躍進、立憲はどう向き合う?>
泉:大阪の小選挙区の結果は特殊事情だと思う。2年間のコロナ禍において、吉村知事や松井市長の関西メディアにおける露出はもの凄いものがあって、長時間ずっとテレビに出ておられるので、抜群の知名度を誇っていた。そして実際に行政を運営されているということで、大阪の選挙区は維新が総取りをした。

それに加えて全国で立憲を忌避する流れの中で、「改革」という言葉はかつて民主党もよく使っていたが、そのカードは維新の方に移っていると多くの国民が思いつつあるなかで、維新が比例も大きく伸ばしたのかなと考えている。

司会:もう一つ言えるのは維新が行政の長をやっていて、いろいろな改革を現実にやっていることを評価している人がいる。やると言ったことは強引にでもやっていて、政治というものは断行すべき時はやるという点を評価して維新に期待している人もいる。

泉:民主党系も2012年に野田元総理と安倍元総理が党首討論をして、定数削減をやりましょう!と合意して衆議院を解散したが、そのまま定数削減の議論は終わってしまったままになっている。民主党系も元気を失ってしまって、手数削減や歳費を削るなどの身を切る改革への主張が少し弱くなっていたと思います。

会計検査院の報告書でもアベノマスクの無駄があるということが指摘された。民主党政権での事業仕分けが象徴的に語られるが、政権交代前までの民主党は税金の無駄遣いにもかなりメスを入れていた。特殊法人改革だとかそういうものに安倍政権に戻って以降は民主党があまり発言しなくなってしまった。これは反省すべきことだと思う。

国民生活を良くしていくために、枝野さんが目指す支え合いと助け合いの社会を実現するために、行政を改革し身を切る改革の必要な部分は立憲民主党もやっていくと訴えなければならない。

立憲民主党が立憲民主党らしさや持っている良さを、しっかりと再確認して、独自で歩むことが大切だ。友党である国民民主党が維新と連携する話が出ているが、だからといって立憲民主党がそれを追いかけるように寄っていくということではない。

例えば分配の議論をしたときに、維新は改革をしなければ分配もしないという姿勢も言っているので、その点は我々とは明確に違う。そういう維新との違いは明確に出して、一緒にやれる部分は一緒にやれば良いという姿勢で行きたい。

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司会:維新の会と国民民主党が連携を強める動きになっている。そうなると50議席を超えて、憲法改正の問題や国会改革の動きが言われている。

泉:先ほど連合会長のフリップが出ましたが、連合さんは維新についてどういうスタンスを示されるのか、維新と一緒に戦う形を受け入れられるのかどうか、という認識も問われる。立憲民主党と維新は政策でも考え方としても、相入れない部分があるということで歩んできている。

国民民主党と維新が国会でどう対応されるとか、連携して法律を出されることは、それぞれの政党のことなので、我々としてどうこういう問題ではない。私たちとすれば友党である国民民主党から見て立憲民主党に魅力を感じてもらえるように、党をしっかりと再生させていくことに取り組みたい。

司会:立憲民主党が埋没してしまうという懸念をもつ人もいるが。

泉:この特別国会でも明日、法案を提出予定です。与党が出す経済対策に対しても、党の部会ごとに政策をもっているので、立憲民主党として対案を準備している。そういう政策活動を本格始動させて、そこを活発に動かしていくことで国民の皆さんにも伝わっていくことがあると考えている。

いわゆる疑惑追及だけではなく、国会で疑惑がテーマではないときに、立憲民主党がそもそも何を訴える政党なのかということが問われている。

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司会:立憲民主党が埋没してしまう懸念もあり、きちっと存在を見せる必要がある。

鈴木:あえて違う言葉を使えばネガティブキャンペーンに振り回されないことが大切だ。1年前の代表選挙のときに泉さんは政権構想をきちんと立てている。皆さんにもそれを見てもらえたら、立憲はこういう新しいイメージを作っていくということが良くわかる。

泉:野党の姿勢として「追及型」か「提案型」なのかということが言われるが、私はそうではないと考えている。【論戦】型にするべきだと思う。追求をやめて提案だけを与党にしていれば良いかというと、それは与党のシンクタンクと一緒なのでそうではない。

例えば、新自由主義に対する岸田総理の考えはどうですか?所得倍増と仰ってましたがそれはどうなったのですか?防衛費2%と公約を掲げていたがどうなのか?こういう外交や経済のことについて、真っ向勝負で【論戦】を挑んでいくべきだ。

その姿を皆様に見せていけなかったのではないかということを反省して、予算委員会でも野党はしっかり国のことを考えているんだと、国民経済のことを考えているだと思っていただけるように論戦をしていきたい。
 
以上



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