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【イタリアから】ラジオ生中継!朝市リポート

2ヶ月に一度のラジオ

かつて働いていたラジオ局で、
今も定期的に電話出演を行っている。
2012年にイタリア留学を始めてから、
途中しなかった年もあったが、約7年になる。

今期は、奇数月に出演することに決まった。
偶然にも、ロックダウンの規制緩和されてから
すぐ放送することになった。

日本時間15時、イタリア時間朝8時から15分の出演。

今回も、いつものように情報をまとめて
項目ごとに発信することにした。
担当ディレクターとメッセージでやり取りをしながら、
おおよそのあらすじを決めていく。

普段、ギリギリにならないと取りかからないが、
なぜだか5日も前から準備し始めた。
それだけ、収集すべきことが多いと焦ったからだ。

どのように調べていくかというと、
イタリア国内のテレビやネットのセントラルニュースから始まり、
地元の新聞社の記事、snsのみんなの投稿やコメント、
友だちや知り合い、または街で働く人に直接話を聴くことも。
そして、日本に入っていくイタリアの情報も確認し、
家族や友だちに連絡して、違いを探っていく…
というようにまとめていく。

制作者は、いかに普段から情報を集めているかが見えてくるだろう。
何気ない、買い物や散歩の風景、
友人とのメッセージのやり取りの中にも、
ヒントがいくつも存在しているから、常に注意が必要だ。

そこに、何らかの関連性を導けたと時は、
興奮して誰かに話したくなる。
ラジオ制作をしていた時には、
番組チーフや先輩に話しては、番組に反映していた。

それが今は独り。
だから私は、このnoteを使って発信する場所を設けた。

直前ですが、変更します!

収集していくと、興味深い情報がいくつも出てくる。
そこからの取捨選択は、独自の方法で行っている。

私は、感覚的な性格の持ち主であることから、
表やロジカルにまとめることが苦手だ。
面白いかどうかは直感で決めていく。

その基準は、2つの言葉が聴けるかどうか。

「へぇ〜」

「なるほどね!」

この言葉を、スタジオのMCやリスナーから引き出したい。
できるだけ多く言わせたいという想いで選んでいる。

準備をしていく中で、ピタリと止まる時がある。
自分自身、全然興味が持てない時だ。
「へぇ〜」のへの字もない。

それが前日にあった。

スタジオに送るための資料を作りながら、
全く気持ちが入ら乗らない。
報告だけで聴いていてためにる?何が知りたい?
もっとどうすれば、今のイタリアが伝わるのか…

担当ディレクターは、なるべく負担のないように!と
いつも気を使ってくれている。
それは、取材費も交通費も出ないからだ。
とは言え、そんなことで聴き応えある番組になるのだろうか。
トークだけで持たせられるほど、抜きるんだ才能はない。

今や地方ラジオであっても、
ローカルだけに向けた内容ではやっていけない。
radikoを筆頭に、あらゆるアプリを介しネットから、
いとも簡単に圏外から聴くことができるようになったからだ。

そうとなると、"イタリア" から何が聴きたいのか…

「よし、生中継だ!」

天気予報は曇り時々雨だが決めた。

前日の変更だが、特に問題はない。
一応、ディレクターにその旨を伝えた。
すると、徐々にヤル気が復活してきた。

一人の男性乱入!?

生中継と言っても、独りで携帯電話片手に喋るだけ。
家でまとめた資料を見ながら話すよりも身軽なのである。
それは、目の前に見えていることを、
ありのままに伝えるだけだから。
とは言いつつも、それがとてつもなく難しく、
やりがいとなっている。

今回は、規制緩和して賑わいを取り戻しつつある
朝の市場「メルカート」から中継することにした。
イタリア時間朝8時だと、
高齢者を中心に見つけられるだろう。

放送内容としては、
  ① イタリアにおける新型コロナウィルスの状況
  ② 私の給料と受けた支援
  ③ メルカートから生中継
  ④ まとめ

この日は、曇り空に時々雨が降ったので、人はまだ少ない

何を話したかというと、

① イタリアにおける新型コロナウィルスの状況
   2月下旬の流行に始まり
   3月上旬に全国的にロックダウン
   およそ2ヶ月半を経て
   5月に外出許可、
   5月18日に、商店・美容・飲食店営業再開

② 私の給料と受けた支援
   これについては、以前まとめた記事がある。コチラ
   それから変わったことといえば、
   給与補助金庫から、給料となるお金を受け取ったことだ。
   2ヶ月分の給料は、1ヶ月分にも満たない金額で、
   あ然としている。
   さらに、勤め先は未だ営業再開していないので、
   ますます厳しい暮らしになっていく。
   とは言え、暮らしてどうにか工夫して暮らすしかない。

③ メルカートからの中継
   この市場は、青空の下で毎日朝からお昼まで開いている。
   新鮮な野菜や果物やきのこ類など、季節をまるごと
   感じられる場所と言える。

   売ってあるもの、買い物客の様子を伝えていこうと
   喋っている途中、ある男性に話しかけられた。
   

   「何してるの?取材?インタビューしてよ!」

   この時点で、私はずっと"日本語"で話していた。
   彼は、そんな私を見てピンときたらしく、
   私が喋り続けているのにもかかわらず、
   上からかぶせるように声をかけてきたのだ。
   (実は、イタリアではこのように遮ることは日常茶飯事)

   それに、私も対応していく。

  本来、外出先から生中継をする場合、
  必ずインタビューをする人や話を聴く人の目星を付ける。
  だが、今回はマスクを付け、距離を保つために、
  その必要はないとディレクターから言われていた。
  なので、知り合いがいたらマイクを向けるとだけ伝えていた。

  がしかし、思いもよらぬ形で、
  星が向こうからやってきた!と思った。

  彼は、目の前にある野菜や果物を売るブースの男の子。
  若さがあふれる中に、親しみや好奇心を隠せない
  フワフワとした歩き方に惹かれた。
  
  彼の的中が当たったと思ったら、すぐさま
  「マスク取ってくるから待って」と
  生放送を無視して車まで走って行った。
  付けとけよ!と誰もが思っただろうが、
  家族経営のお店なので、多目に見よう。
  

  ニコニコしながら駆け寄ってきた。
  名前や仕事のことを聴いてすぐ、
  尋ねてみたかったことを単刀直入で投げかけた。

  「この2ヶ月半、どうだった?」

  すると彼は、
  「まあまあ。売上はいつもに比べて少ないけれど
   感染者や亡くなった方の辛さを想うと、
   このように仕事できることを嬉しく感じるよ。」と。

  この若造、なんと若干二十歳!
  大人っぽい見解とトーンを落とした話し方に
  さらに高感度が上がった。
  
  そして、インタビューを終えると、
  「僕、日本のラジオに出たー!」と
  無邪気にはしゃぐ姿をみんなに見せたかった。

  こんな、突然の出来事に、
  他に何を伝えようかと思ったが、
  私の持ち時間は終了へと近づいている。
  まとめに入り、スタジオへとバトンを渡した。

今、ラジオで伝えた内容をこうして文字に打っているが、
実はというと、あまり覚えていない。
あっという間に過ぎていくので、
出していった言葉から次々と消えてなくなる。

私が思うに、
これがラジオのいいところ!

一言一句に気を使うより、
聴いて感じ取った『何か』を重視して欲しい。
それは、人やモノへの印象なのか、
物事に対しての反応なのか、
自分を顧みる感情なのか。

もし、興味があれば
私の担当したコーナーをぜひ聴いてほしい。
香川県の西日本放送「チートチャットラジオ」内
2020年5月20日(水)15:10頃〜
『イタリア通信』

radikoのアプリで聴けるが、
圏外の方は有料となる。
私のためだけに使うのならお勧めしないが、
この機会に、全国のラジオから
気になる番組や人の発掘をするのもあり。

少しでもラジオリスナーが増えますように…
と、イタリアから祈っている

インタビューした、彼のところで買ったもの

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