見出し画像

イタリア進出失敗!ピザのドミノが倒れた理由

ピザの本場イタリアで、アメリカの偽物は広まるはずがない。自国を愛するイタリア人たちにとって、よそから自分たちの味を広めるだなんて有り得ないことだったんです。
兵庫の丸亀製麺が、高松に開店した時どれだけ冷ややかな視線を送り続けたことか。今まだ一店舗あるんです。そんなことはさておき…

話題をイタリアへ移します。


イタリア人にとってのピザ


イタリア全土でパスタの次に食されているのが「ピザ」(独自調査)。

パスタの次というのがポイントで、パスタは日常に食され、

ピザは「週末の食べ物」という習慣がります。

家庭で食事を担当者は週末に、ピザを食べに行ったり宅配することで負担が減り、

みんなは食べるのを楽しみにしているので、Win -Win だということ。

若者から大人まで、友だちや仲間と食事する時に、

レストランではなく、「ピザを食べに行こう!」と誘います。

(日本で「飲みに行こう!」と同じ感覚)

値段は手頃で、気取ることなく会話に花を咲かせ味わうことができる

便利な食べ物がイタリアでは「ピザ」なのです。


週末のしかも「」に食べるのが一般的。

平日のお昼に食べる場合は、大きな一枚よりカットされた一片を、

小腹を満たすために買います。

だから、人口16万人の田舎街では、平日のお昼にピザ屋は閉まっています。

できたての丸いピザは夜にしか手に入らないのです。



ドミノピザのあゆみ


アメリカで誕生

ドミノピザは、1960年にアメリカのミシガン州で宅配専門のピザ屋として誕生。

現在では、世界に18,000店舗にまで広がり、さらに成長しているということです。

日本進出

日本には1985年、恵比寿に初めてオープンしました。

これが日本で初の宅配ピザとなりました。

2022年3月時点で、900店舗を展開しています。

私の地元である高松にも何軒か存在しています。

それほど、身近なピザ屋だと思います。


本場イタリアへ

2015年にアメリカのピザを持ってイタリアに入ってきました。

北部の都市ミラノは、135万人を有する人口で経済を牽引しています。

当初、880店舗を全国に展開する計画で始まりました。

(イタリアは日本の半分の面積と人口。880店舗は多大な数)



ドミノピザイタリアの社長は、海外ブランドを扱う

(ルイヴィトン、サムソナイト、パンドラなど)のトップだった人。

創業メンバーの中には、元バーガーキングのCEOやクレイジーピザを手がけた人などが集いました。



ドミノが倒れた理由



やり手たちが集ったんですが、

彼らも異常事態には抗うことはできませんでした。

2017年には10店、数年後には29店にまで増えたのですが、

パンデミックの影響を受けて、全てが止まってしまいました。


CNNのニュースによると、

ミラノの裁判所への提出文書によると、イタリア国内でドミノのフランチャイズを運営するePizza SpAは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の2年間に業績がふるわず、4月に破産申請を行っていた。

イタリアの飲食業界誌フード・サービスによると、同社は7月20日付で全ドミノ店舗の営業を停止した。
CNNより


これまで、宅配と言えば「ピザ」が主だった中で、

ドミノの特徴である宅配をみんながするようになりました。

ほかの飲食店もどんどん参入し、さらなる顧客の争奪戦が起こりました。

マクドナルドもパニーニ屋もケバブも寿司も中華も

みんな一斉に宅配に切り替わったことが痛手となったようです。



イタリア人のピザへのこだわり

イタリア人のピザへのこだわりは計り知れません。

パスタの生地、こね方、厚さ、焼き方、焼き具合、素材の良さ、

モッツァレッラのうまさ、バランスなど細部にまで各々意見を持っています。

食事にうるさいイタリア人にとって、

熱々の美味しいものを食べるのが基本。

できたてが一番美味しいから、

「食べに行く」のが一般的で、

「持ち帰る」ということも、

これまでもよく見かけました。


そしてコロナ禍において、お気に入りのお店が宅配を始めたなら、

美味しいお店で購入したいと思うのは当然のこと。

ただでさえ数の多いピザ業界は、さらに宅配を強化。

人員を増やし、求められればどんなに遠くても届けたのです。


愛に勝るものはない

地元の、行きつけの、代々通っているなんていうピザ屋があったら、

新規参入の若造はピザのうまさはさることながら、

それ以外の魅力や付加価値が必要になります。


そんな中、「宅配ピザ文化」を広めようと従来のやり方で挑んでいたドミノは、

この波に飲み込まれてしまったと考えられるのです。


どんな食材を使って、何で焼いているか、何風のピザなのかなど、

未知であり、しかもアメリカのピザを食べようだなんて、

好奇心旺盛な人か、変わり者か、もしくは

すでにドミノピザを知っている人たちでしょう。


イタリア国旗のデザインが好きで、

隣町を嫌い地元を絶賛するイタリア人にとって、

街も海も山も人も言葉もピザ屋もみんな、

育ち暮らす地域のものが大好きなのです。
 
想像を超える頑なさがあります。


その郷土愛に押されてドミノは倒れたのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?