【イタリア】緩和された規制にガチガチ
外出可能から一ヶ月
私の住むトスカーナ地方では、
5月1日から、堂々と外出できるようになった。
そして、18日から商店や飲食店などのお店が
再開できるようになった。
しかし、私が働く日本食レストランは、
まだ再開の連絡はなく、
同僚からも6月からという噂を"ふーん" と聴いている程度。
この間の生活費は、先日給付されたものでまかない
なるべく貯金に手を付けないようにしていきたい。
今は、不要不急の買い物を控えている。
これから、仕事の仕方も見直さなければならない。
今まで、乗り気がなかったものには別れを告げて、
好きなことに近づけるように、
喜んて取り組めることで生計を立てていきたい。
なんて、コロナ後の変化あるあるだろうか。
不思議なタイトルの意
自由を取り戻せた私たちだが、
生活していて、あらゆる規制に直面する。
それが、緩和された規制…と言いたくなる。
見えないウイルスと戦うのは、
正解が見えづらく、失敗しないようにと
石橋を叩きながら歩いている感じだ。
おまじないのようで、しないと
またたく間に感染してしまいそうな不安にかられる。
一方で、多少しなくても大丈夫と日々葛藤している。
街でどんなつまづきがあったのか、
3つのコトを挙げよう。
その① 客に触れさせない
たまに訪れるお肉屋。オシャレ通りにほど近い、
立地のいい場所で若い男性が営んでいる。
数年前にオープンし、小さなレストランも兼ねている。
こだわりあるのは、お肉の種類からも見て取れる。
中でも私の目を引いたのは、
『WAGYU』である。
近年、イタリアの田舎街でも
和牛に出会うことが増えてきた。
霜降り肉を食べる習慣がない彼らだが、
興味を持つ人は、ある一定数いる。
この店もその一つで、珍しく手頃なものを扱っていた。
和牛とは言いつつも、アルゼンチンの
トップセレクションのものらしい。
今、海外で和牛を生産することは珍しくないようだ。
さて、この店の規制はというと、
お肉がズラリと並んである、
「ショーケースに触れさせない」ことだ。
いつもなら、この上に手を触れ、
上から覗き込んだり、注文したりする。
また、待っている間も、手や体をもたせかけることも。
店主は考えた。それをさせないために、
ショーケースの前に、ワインボトルの箱を並べた。
なんて賢いのか!と、膝を打った。
でも中には、
なんでこんなところに箱を並べてるの?
邪魔だょ!見えないじゃないか。
と違和感を覚える人もいるだろう。
それは、腹筋と背筋が弱っている人に違いない。
緩和の中の規制
その② 営業時間
イタリアで多くの個人商店は、
朝と昼からの2部営業となっている。
肉屋・魚屋・八百屋・パン屋・コーヒー屋・
花屋・雑貨屋・靴屋・自転車屋・不動産屋…など
おおよその時間は、
午前 8:00~12:30
午後 15:30~18:30 このような感じだ。
近所へ買い物に行く場合は、
この時間に合わせて行動しなければならない。
市場は朝しか開いていないため、
最低でも12時までに行かなければ品薄になる。
このような時間指定の下で暮らしていると、
不便かと思いきや、規則正しい生活になる。
混む時間を考えると朝10時までに済ますのが
理想的だが、いつもギリギリになる。
一方で、チェーン店や大型店は、
朝から夜まで通しで開いている。
スーパー、家電量販店、服屋、ショッピングモール…
今回ココに、引っかかった。
インコのエサを買うついでに、
近くにあるスポーツ用品店で、
新たに夏用の靴と服を買うことにした。
(不要不急の買い物はどこへ行った…)
入り口に着いた時、ひとりの青年が
今から閉めるよ。
15時に来てね!
と言われて気がづいた。
この店は、日曜のみ15時から
オープンすることは覚えていたが、
コロナ後は、平日の時間も短縮していた。
それからというもの、まだ出直していない。
(不要不急の買い物自粛継続中!)
このように、多くの場所で短縮営業している。
市民の公園さえ、10:00~18:00と短い。
早朝や夕暮れの散歩は今のところお預けだ。
時間変更は思った以上に体内時計さえも乱す。
補足だが、私の住む街には24時間営業なんてない。
あっても、セルフ式のガソリンスタンド、
タバコの自動販売機、飲み物や軽食の自動販売機、
薬局前に設置している自動販売機*だろうか。
(* 薬ではなく、セックス用品を販売している。
さすがアモーレの国と言える点だ。)
私は、24時間もお店を開ける理由が分からない。
イタリアでは、夜中に出歩くこと自体が標的となる。
鞄や財布を盗まれても仕方がないと言われるだろう。
24時間の反対を行く、商店の時間指定営業は、
それが必要ないとも教えてくれる。
無ければ無い、もしくは代わりを探す。
日本は安全で忙しいから必要なのかもしれない。
緩和中の規制
その③ ビーチスタイル
この街は南北に長い地形で、東側が海である。
西側が丘や山なので両方満喫できる。
海好きが多く、時間があれば休憩しに行く。
夏が近づくと、海岸通りに連なる海水浴施設が開く。
単発で入場料を払ったり、月額やシーズンで支払うシステム。
ビーチベッドやパラソル、イスなどの他、
大人二人が入れるほどの個室を借りれば、
着替えや物を保管できるので手軽に楽しめる。
海水浴施設は、監視員が見守っていたり、
浅瀬の子どもでも泳げるスペースを確保していたり、
卓球台やミニサッカーなどの他のスポーツもできたり、
レストランや軽食販売もあるので、
一日中、老若男女が快適に過ごせる場所となっている。
これが、先週の時点で営業できていなかった。
ウイルス感染の予防対策が追いついていないのだ。
ビーチベッドを使った後の消毒、
周りの人との距離、レストランの運営など、
課題が多すぎて停止している様子。
政府が提出した規定に沿わなければ、
罰金や営業停止となるため、
施設側は、緊張感が拭えないことだろう。
このように、海水浴施設で遊べない人々は、
どこに行くのかというと、
誰でも自由に出入りできるビーチだ。
普段からこのビーチに行く人と、
新たに詰めかける人とで海辺は否が応でも混雑する。
そもそも、駐車場がないので、
自転車ではるばる来ている学生たちも見かけた。
そこまでしてでも、友だちらと夏を味わいたいのだ。
もしくは、海に行く以外の楽しみがないとも言える。
それくらい、ここには何もない。
いや、海さえがあれば充分なのだ。
この他にも、各店の入場制限や、
買い物の仕方に規制はある。
けれども、新たなルールに従って進んでゆくだけだ。
自分が生きていることや、
この街が動いていることを考えると、
柔軟に対応できた人々が生き残ってきたと分かる。
…なんて、地球規模で考えたりなんかして。
こんなぼんやりできるのも、
今だけの特典なのかもしれない。
最後に、
一度決めた靴と服の購入をまだ諦めないでいる。
明日、見るだけでも行ってみようかな。
我慢と執着は紙一重である。
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