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斜塔のある街ピサのプチ観光


恒例となっている、友だちとの発散会。
月に二回は彼女と会って、料理したり、ランチしたりしている。
今回は、天気がいいので急遽ピサに行こう!となった。家からおよそ30分と近いが、頻繁に行くことはない。コレは、イタリアあるあるだが、イタリア人たちは、隣町を嫌う傾向にある。我が街一番と言わんばかりに、隣接する町をけなす。歴史的な問題で、過去に戦ってきたことや、競い合ってきたことが根本にあり、先人たちの意志を受け継いできたアツい奴らなのだ。だから、お互いの町をあまり行き来する人はいないのかもしれない。私の夫もその一人だ。
でもピサは、大学を有する街なので、人口はさることながら、お店の種類、気になる飲食店、若者の活気もある。
とは言え、セールやクリスマスになると、隣町からわざわざ買い物に来る人もいれば、ピサから我々の町に海水浴へ遊びに来る人もいるから、意地を張り合っているだけなのかもしれない。

見事な傾き

ピサに来て見ない人はいないだろう。また、見ずに街を散策するのは、失礼に感じる。必ず拝みたくなる美しさがある。


手前の丸い建物が洗礼堂(傾いているように見えるがただのレンズの歪み)、その隣には大聖堂。そして後ろで斜めに立っているのがピサの斜塔。青々とした芝生に、白く巨大な建物と、青い空が心を浄化する。早朝とあってもまだ人がまばら。通勤や通学する人たちは、この景色への関心が薄れているように見える。

今回は、大聖堂の中へ入ってみた。友人は教会に興味を持っている。かつて世界各地の旅案内をしてきたので、それぞれの街の歴史遺産や観光スポットは必ず押さえているようだ。

チケット売り場で、「大聖堂に入りたい。無料なんですよね」と言うと、「斜塔とのセットで€27です」と。斜塔には登るつもりはないので、大聖堂だけだと再度伝えると、€0というチケットをくれた。すんなり渡してはくれないようだ。そりゃそうだ、向こうも商売。

大聖堂の中は荘厳で、足音一つ気をつけたいほど緊張感があった。両側の壁には、聖書の物語を絵で表した巨大な絵画が連なっていて、どれも傑作と言われるものなのだろう、見応えがあった。
天井は、京都をモチーフと言われても納得するほど格子状の細工は一つ一つ違い圧巻だった。

祭壇のキリストは、穏やかな表情で来るものを見つめる。悩みがないと思っていても、何か打ち明けようかという気分にかられる。周りの落ちてきそうな人物たちと違って、コミカルな姿なのも気になる。友人は、トルコで見た教会のキリストと似ていると驚いていた。もしかしたら繋がりがあるのかもしれない。

私は、敬虔な仏教徒ではない。また、カトリックやキリスト教に関心があるわけでなく、異文化をただ見つめようという心持ちだ。イタリアは、宗教行事によって年間の祝日や記念日が組まれ、暮らしていて常に宗教と隣り合わせだと実感する。だが、それぞれの日の意味を覚えているわけではなく、何となくで過ごしている。信仰心の強くない夫とも、宗教の違いについて議論になったことがある。分かり合えないので金輪際話さないと決めた。そんなこともあり、宗教建築や絵画などは、一つの作品として見るだけにしている。

心が洗われた我々は、意気揚々と斜塔のショットを撮りに裏手へ。「今日も見事な傾きだ」と、何度見ても思う。

友人のために何度も写真を撮った。インスタで、みんなどんな写真を撮っているのかをチェック。その中で、ハグしている女の子を見て即決。いざ実践!腰を下ろして、角度を右に左にずらしながら、上下のバランスを考えて、顔をこっちに向けて!頭を傾けて!なんと言いながら撮った。端から見たら、派手な格好をした女性が(一張羅を着てた)がすごい大股でカメラを構えていると思われたかもしれない。写真にはムキになってしまう性分なもので…

一番の目的は化粧品

至る所にガイドさんが、グループを案内している。少ないが観光客はいるようだ。その列に従うようにそぞろ歩く。普段なら通り過ぎるところを立ち止まって見れた。へぇ〜と便乗した。

ピサには、住んでいる町にない化粧品店がある。それが「SEPHORA」。フランスの化粧品店で、ハイブランドからプライベートブランドまで幅広く扱っている。こじんまりとした店内だが、あらゆるブランドを試すことができるので、何周もグルグルしほしい商品の目星をつけていった。

私の目的は、リキッドファンデーション。たくさん種類がありすぎて選びきれないので、店員さんに混合肌用に選んでもらった。オリジナル商品で値段は€18。昨日別のお店でたものと比べて、伸び具合も色合いも気に入った。合わせて、アイシャドウも購入。ブラウン系の色が何種類か入って使えそう。友人は、落ちにくいアイライナーを手に入れた。これで、次回会うのが楽しみになった。


ビストロで異臭騒ぎ

予め食事する場所の目星をつけていた。Googleマップで、星が4,6ポイントもあるビストロで、店内の装飾がオシャレで、何よりドルチェのケースに並ぶケーキたちがうまさを醸し出していた。

着席するや否や友人が、「臭い」と言い出した。そうかなぁと思っていたが、確かに半乾きのようなニオイがする。あたりを見渡してみても誰もいないし見当つかない。エアコンも付いていない。なんだろうとテーブルを見るとプレイスマットが汚れているし臭い!これだった。でもテーブル自体も匂っていたので、消毒してもらった。だけどニオイが残っていたから、全体に染み込んでいるのかもしれない。残念だ。手元の紙ナプキンで覆って軽減させてみた。

パスタ料理はとても良かった。私は、パッパルデッレというパスタに、鶏挽肉と松の実とタイムのさっぱりとした味付けで満足。友人は、太く丸いパスタに、アンチョビとブッラータチーズを乗せたトマトソースの味付けを喜んで食べていた。その次に頼んでいた鶏胸肉と野菜のグリルは、私以下の腕前にげんなり。

気を取り直してドルチェを注文。私はホワイトチョコのチーズケーキ。友人は、ピスタチオのティラミスを頼んだ。こちらは、見た目の想像を裏切らない美味しさだった。

ドルチェはどちらも良かったので、おやつのためにまた来ようと思った。だけど、まだ他にも行きたいお店を見つけたので、そっちに行くかも。と言うくらいのレベル。やはりテーブルの臭さが尾を引いていた。

ほんの5時間だがよく歩いた。二人ともブーツ履いていたので、石畳に足が疲れたけど、気分良くプチ観光ができた。次は、美術鑑賞や建物探訪もしたい。あとセールに合わせてショッピングもいいかなぁ。今日はよく眠れそうだ。

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