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9月15日 失敗に終わったOA

「ワクチンパスポートの導入1ヶ月の状況」と
「サンレモ音楽祭」について


今回の放送は、
話の組み立てに自信がないまま本番を迎えた。
案の定、その不安は、瞬く間に露になった。
今、悔しみで火照った状態でこれを書いている。

あ、母からLINEが来た。
いつも放送の感想を送ってくれる唯一のリスナー。
「短時間でよくまとめたね!」と。
さそが、褒めてくれている。
これで、最後まで書けそうだ。


では今回の内容を綴っていこう。


【ワクチンパスポート導入から1ヶ月】


今敷かれている規制は、
・屋内のマスク着用、2mの距離を保つこと。


現在の一日の感染者数の平均は5000人。死亡者数の平均は60人。私の住む、40万人の街では、新規が15人。死亡者は数人。先日の報道では、入院患者が増えているとのこと。


一方、街はというと、屋外でマスクをしているのは、高齢者と、感染したくない人だけがしている程度。大半はつけていない。
今年の夏は、要塞で数ヶ月にわたりイベントが開催され、夜になると、たむろする若者がドッと増えた。どこを見ても、密、密、密

マスクしている人は、私以外にいない!


ワクチンパスポート

飲食店の屋内、美術館、ジム、娯楽施設、パーティなどは、「グリーンパス」というワクチンパスポートなしでは入れない。

グリーンパスは、
  ・1回でもワクチンを接種している人
  ・PCR検査の陰性証明(48時間)が持てる。

もし、所有していないのに施設を利用すると、本人と利用している施設側が罰金の対象に。約5万円、また施設側は、5日間の営業停止に。


この、ワクチンパスポートが導入された2021年8月は、勤めている日本食レストランの利用者がグッと減った。

感覚として、4人に一人が持っていないので、グループでの食事になると屋外で食べるしかない。だから、毎日満席だった。一方、屋内はというと、ガラガラ。


導入から1ヶ月

接種していない人は、あらゆるイベントや施設、屋内飲食ができないので、外食・外出すること自体、減っていると見える。そして、持ち帰りや宅配は、ロックダウン中とほぼ変わらず、多くの利用客がいる。

現在は、5、6人に一人が持っていない状態だろうか。そもそも、持っていなくて来る人が減り、持っていない人は、事前に屋外席を予約してくる。彼らが喫煙するから屋外を好むのか、外の空気を吸いながら食事をしたいのかは分からないが…。


ワクチン接種の現状

昨年のクリスマス直後に開始し、段階的に年齢を下げてきた摂取だが、8月に入り、10代の子どもたちも接種できるようになった。

そして現在は、予約なしで会場に行けばすぐにできるまでに。


現在(2021/09/15)の摂取率は、
1回受けた人は、72,6%
必要回数完了した人は、64%

まだまだという感じ。そこで政府は、接客をする人たちは、接種を義務付けする方向で政府は検討している。フランスでは、受けていない人は、仕事停止され、給料は支払われないとのこと。イタリアでは10月にも開始すると言われている。

こんなこともあり、妊娠を希望しているので、否定的ではあったけれど、致し方ないということで接種した。

また、接種していない人は、生活しづらくなっている。知り合いに、ワクチンを反対する、学校の先生がいて、2日に一度PCR検査をして、陰性の証明をしていると話してくれた。

一回の検査に2000円相当かかるけれど、そこまでしてでも、ワクチンを体内に入れたくないのだろう。

しかし、政府にその声は届かない。受けるも受けないも自己責任だけども、医療機関に迷惑をかけることは間違いなし。正解のない疑問だろう。


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さて、突然話題を変えて…


棚から牡丹餅



先日 夫が、ある友だちから、「うちのバンドで歌を歌ってくれないか」と依頼された。

これは、よくあることで、メンバーの入れ替え、生まれ変わったり、といった人の出入れは、日常茶飯事。

歌うことが好きな夫は、今はバンドには所属していないのですぐに参加。いつもなら、コピーバンドが多いけれど、彼らは、オリジナル曲を作って活動している。


そして数日後、夫が
「今度、とんでもない場所で歌うんだ!どこだと思う?」と質問してきたが、私は検討もつかないと応えた。

すると、彼は「今度、サンレモに行くんだよ!」

「サンレモ」という言葉でピンと来たあなたは、
音楽通‼︎

「サンレモ音楽祭」のサンレモ!
約60年前に、日本にも、 イタリアの音楽が入って来ていた時代があった。祭と呼びつつも、実は本格的なコンテスト。その優勝曲や課題曲、新人部門など、毎年何曲ものカンツォーネが日本でも響き渡っていた。

現在も行われているのだが、日本にまでは届かなくなった。なぜ途絶えたのだろうか…。人気がなくなったとしか言いようがない。売れないのだろう。



さて、夫のバンドは、サンレモ音楽祭ではなく、「サンレモロック」というコンテストにエントリー。

イタリア全土や国外から送られた音源の、楽曲審査を経て、1000組に選ばれた。そして、生演奏を披露するためにサンレモに向かった。行く前から、一つの経験としてとても喜んでいた。

と言うのも、私たちの住んでいるマンションの下の階に、長年やっている地元バンドがいて、毎年「サンレモに行くんだ」と言っていたが、ニュースになるほどではない結果に終わっていた。

マウントしてくるその彼を、もう気にすることはなくなる。

いざ本番‼︎ できたてのバンドと覚えたての歌詞を間違わないように意識しつつ、ありがたいステージを目一杯満喫したようだ。

無事に本番を楽しむことができた夫は、緊張と疲れをとるために、すぐさま海へ泳ぎに行ったらしい。海の街の子は、いつ何時でも泳いで発散する。

海にいるときに、メンバーから電話がかかり、
予選を突破し250組の中に選ばれた!とのこと。

急いで海から上がり、海水パンツのまま会場へ向かった。そして翌々日のまたサンレモに戻ってきて、セミフィナーレに参加することに。

なんと、次に上がる舞台は、サンレモ音楽祭を実際に行っている「テアトロ  アリストン」という、ミュージシャンなら、誰もが憧れるステージ‼︎

さらには、地元の新聞にも夫のバンドがアリストンに行く!と記事になるほど、珍しいことのようだ。

数々の、有名アーティストが登壇したステージに、数週間前まで何も考えていなかった夫が、登ることに、こんなことがあっていいのか?と思うほど高揚と不安と緊張が入り混じった。

イタリアにはないが、まさに「棚から牡丹餅」状態。

ラジオのディレクターにこの話をすると、「運命も才能のうち」と言ってくださった言葉が妙に沁み、私を落ち着かせた。


さて、いざ本番!


歌詞を忘れたらどうしようと弱音を吐いていたが、誰も知らないオリジナルなんだから、創ればいいのょ!と背中を押してエールを送った。

そして本番。

無事に歌いきったようだ。夫曰く、テアトロ アリストンは「格別‼︎」と驚いていた。

音響や設備の環境は一流。全て計算された中で、歌うのは爽快だったと、興奮したまま電話してきた。


さて、結果は…


250組の中から最終20組が選ばれるのだが、
なんと、そこには残らなかった。
(ホッ…)

いきなりバンドに入り、いきなりアリストンで、いきなり優勝までは、おこがましいとなぜか私が思ってしまった。

夫のバンドの完成度は高くない。まだまだ伸び代があるから、今後の活躍を側で応援する。



サンレモ音楽祭



今回のOAでは、サンレモ音楽祭でヒットした音楽を紹介した。


改めて「サンレモ音楽祭」について

イタリア北部にある街で、南フランスのカンヌやニースのあるリゾート地、「コートダジュール」の一部にあたる。観光やカジノで発展してきた。

約70年前、他の街とは違うことで活性化するために企画されたのが、「サンレモ音楽祭」だった。

1951年から毎年開催。有名無名な歌手が登場し、1週間に渡ったパフォーマンスをし、その年の1位を決めるというコンテスト。

時代により内容に変動はあるが、今でも、イタリアには欠かせない音楽コンテスト。

ここに出れば、ヒットすること間違いなし!日本のM1グランプリのように、優勝すれば、各方面から引っ張りだこ。楽曲は、どんどん羽ばたいていく感じだ。

ヒットソング

街の活性化のために始めた音楽祭は、大成功し、世界中へイタリア音楽であるカンツォーネを響き渡らせた。

日本にも、音楽や情報はどんどん入ってきていた。


さっそく、一曲をお届け。

イタリアの新人歌手、ボビー・ソロ。
1964年に音楽祭に出場し、この曲で入賞。イタリアにおいて、初のミリオンセラーとなったとか。もちろん、日本でも大ヒットとなった。


「Una lacrima sul viso ほほにかかる涙」/
ボビー・ソロ


歌い方を聞いていると、誰かに似ていると感じたあなた、鋭い‼︎


そう、エルビスプレスリー!

ボビー・ソロは、エルビスの大ファン!歌だけでなく、リーゼントや服装なども真似していた。

1967年「君に涙と微笑みを」

この楽曲の方が、プレスリー度はかなり高い!!

さらには1969年、「Zingara 涙の定め」で2度優勝した。


そして、サンレモ音楽祭の楽曲は、日本だけでなく、イギリスやアメリカなど世界に波及。

そして、なんと、巡り巡ってエルビスも英語カバーバージョンを歌った!

それが、「この胸のときめきを You Don't Have To Say You Love Me」

タイトルを見て、脳内で曲が流れたなら、あなたはまさに音楽精通者‼︎ 

この曲は日本でも多くの歌手にカバーされた。
布施明尾崎紀世彦藤圭子中尾ミエなどが
(それぞれにYouTubeのリンクを貼ってみた)
英語、イタリア語、日本語でカバーをした。

英語で歌われることから、アメリカの音楽だと思われている。だが、こんな楽曲は少なくない。


日本人で参加した歌手


では、日本語のカバーを一曲お届け。

サンレモ音楽祭に出場した、日本人歌手が二人いる。

まずは、1965年「恋する瞳」伊東ゆかり

イタリア語で歌っていて、発音も素晴らしく、歌唱力もあって、イタリアでも通用する楽曲だっただろう。見事、入賞をした。


今回ラジオで紹介したのは、1964年に大賞を獲得した、ジリオラ・チンクエッティの「ノノレタ (夢見るおもい)」の伊東ゆかりによるバージョン。

70年前の音楽は、こんなにもゆっくりで、こんなにもじれったいのかと思うほど、展開がゆったりしている。

何かに急いでいる21世紀は、この音楽を聴いていると、「早く話を進めてくれ!」と少しムッとしてしまうのが本音。

少し脱線するが、祖母の親戚が集まると、皆「そやの〜」、「ほんだけ〜ん」、「ほんま〜」など語尾が伸びるなぁと、子ども心に感じていた。

それをマネしていたから、よく覚えている。やはり話がなかなか進まなかったのも特徴だ。


さて、もし時間があるらな、原曲とカバー曲の違いを味わってもらいたい。アレンジの仕方が違うし、イタリア語と日本語の言葉の発し方を吟味してほしい。


歌詞を要約すると、「あなたと恋に落ちるには、まだ若すぎるのよ…」と歌っている。ジリオラ・チンクエッティも伊東ゆかりも共に、当時16歳。初々しさを端端から感じられる。


そして、もうひとり。

1968年に岸洋子「今宵あなたが聞く歌は」で入賞。

イタリア語の発音は、まだまだだが、カンツォーネと演歌が合わさったような歌い方は独特。シャンソンを歌ってきたとも影響しているようだ。



この他、カンツォーネは、日本語に変えて歌われたりして親しまれた。布施明ペギー葉山平尾昌晃梓みちよなど、カンツォーネを集めた歌をCDにしたものは、今も販売されているようだ。

すぐ聞きたいなら、Youtubeは便利。名前にリンクを貼っているので興味ある方はぜひ♪


みんなで歌おう!


では最後に、サンレモで世界的に大ヒットした音楽で、世界で有名な曲をイタリア語で歌おう!

時代はさかのぼり、
1958年 爆発的に売れた「ヴォラーレ」。

ちょっと待った‼︎ 今、あなたの頭の中に浮かんだ曲は、ジプシーキングスのカバーだ!!

フランスのバンドがスペイン語で、フラメンコ調にアレンジしている!日本でもビールのCMで起用され、ノリの良さから今でも色褪せない。それも素晴らしく、独自の歌として闊歩している。

が、原曲はちょび髭のおじさん、ドミニコ・モドゥーニョによる歌。本来は、もっと呑気でのんびりしたものだ。


なんと、第1回のグラミー賞の最優秀レコード賞、
さらに、最優秀楽曲賞にも輝いている!

アメリカが、世界が認めた名曲!


タイトルは、「ヴォラーレ」と呼ばれていて、飛ぶという意味の動詞。しかし、原作は、この部分ではなく、「Nel blu dipinto di blu」という、直訳すると、「青いの空の中に」という歌詞の一部。

内容は、一度見た、空を飛んだ夢を語っている歌と言える。曖昧に表現したのには理由があり、ポエムのような歌詞により、いろんな捉え方ができる。
嬉しいのか、もしくはもうここに命はないのか。またはラブソングなのか。歌い手によっても、アレンジによっても意味合いが変わってくるから興味深い。


では、せっかくなので、みんなでサビを歌おう♪

Volare, oh oh   ヴォラーレ オーオー 飛ぶよ
Cantare, oh oh oh カンターレ オオオー 歌うよ
Nel blu dipinto di blu ネル ブルー ディピント ディ ブルー 青い空の中
Felice di stare lassu フェリーチェ ディ スターレ ラッス  夢見心地…


OAは、14年前の9月に亡くなった、ルチアーノ・パヴァロッティのバージョンでかけたが、ここは原曲で。

ドミニコ・モドゥーニョによる歌声をどうぞ。


イタリアに来て、今月でちょうど9年。語学学校では、歌詞を学ぶ授業で、この曲をみんなで合唱したこともあった。

また、文法としても勉強になる。冒頭の部分「この夢は二度と見ることはないだろう」という意味。

Penso che un sogno così non ritorni mai più

接続法の現在形を使っていて、動詞のtornare が、実際に起きる事ならtornaになるところが、
不確実な内容になる「だろう」にあたる意味合いになるで、torniに変換される。


イタリア人と知り合ったなら、イタリアに来るなら、イタリア語で歌いたい時に、ぜひ歌って欲しい。
暮らしの中で何度となく登場する歌の一つ。ジプシーキングスの歌も、サビはイタリア語なので、大声で外国の歌を披露するには、もってこいの楽曲!

一発芸にも、人とは変わった趣味にも使えるだろう。日本人にとって、発音しやすいイタリア語なので、この機会に、歌を覚えてみてはいかが。


そうそう、
この記事のタイトルに「失敗に終わった」と書いたが、ここに綴ったように、あれこれ解説できたわけではない。話の流れも前後し、歌詞の説明もせずに時間になり無理矢理コーナーを閉めた感じになった。

まだまだだ…


次回こそは、と毎回思うのだが、今日はより強く思う。安住紳一郎アナのラジオを聴いて勉強し直しだ。

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