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午後のプールのぬるい風

誰かの心に水をあげることには躊躇がないのに、自分のなかにある小さな芽には全然優しくできないときがある。 せっかく顔を出してくれた小さな願いの芽に、太陽の光も浴びせず、澄んだ水もやらず、この世界は厳しいよ、風も吹くし雨も降るし誰かに踏み潰されてしまうことだってあるんだよ、と物知り顔で話してしまう。 ほんとうはそんなこと、意味のないことだと知っている。でもいつからか、傷つかないことと経験しないことをひとまとめにして、弱くて脆い自分の心を守ろうとするようになっていた。その芽がど

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