彷徨う”青いビーチサンダル”を探してよ。 #金曜トワイライト
エモい文章は書けません。書きたくても、書きたくてもかけない。でも一生懸命書いてます。乾いてひび割れた写真のような気分です。
或る日。通りすぎたビルの前で、タクシーに手をあげている女性が見えました。あの日と同じ佇まい。そうかぁ、元気にしてるんだなぁと。その名前を検索したら、人事異動の記事が出ていました。編集部では無かったけど、偉くなったのがわかりました。
運転手さんにその先の交差点で曲がる事を伝えると、目を瞑りました。今週は忙しかった。すこしだけ、自分にご褒美をあげてもいい気持ちになります。
平日と休日の境い目。金曜日の夕暮れは一瞬で終わりますが、少しだけお付き合いください。
長い坂を下ると、波の音が聞こえてくる。サンルーフをあけると、透き通った風が頬を通り抜けます。あの日は、海鳥が空高く飛んでいました。
長く長く続く砂浜には、「月刊 釣り人」に載っていそうな、”赤銅色に焼けた”麦わら帽子のお爺さんがいるだけです。波は良くないのか、地元のサーファーもいません。
スラっとした佇まいに、凛とした涼しげな瞼。細い脚に、青いビーチサンダルが似合ってました。急遽ホームセンターに寄って、ビーチ用の椅子を買いました。iPodはまだ無い時代、円盤のようなCDプレイヤーはよく音飛びしました。
潮で霞む”漁師小屋”から、何かを焼く匂いがします。サザエでしょうか。友達の別荘は、その先、小高い丘の上に立っています。二階の窓から誰かが手を振っていました。大きな麦わら帽子は、きっとお友達でしょう。でも、青いビーチサンダルが気になって、足元がゆらついて荷物を抱えなおしたら、見えなくなった。
出会ったのは、雑誌の覆面座談会。彼女は、神保町にある大手出版社で、女性誌の契約社員、「イケメン・グランプリ」と、「新社会人カップルコーデ」のコーナー担当でした。
「覆面座談会シリーズ」は、新しい企画で、「広告代理店入社1年目の新人に聞く!」で、声がかかったような記憶があります。
同期仲間からの頼みでした。青田刈り採用の同期には、一芸に秀でたヤツ、変わったヤツが多くて面白かった。だから乗ったのかもしれません。
1時間ほどで終わると、アンケートを記入して謝礼をもらいました。カメラマンと話している彼女は、”編集者”という空気を着ているような感じです。僕にむかって歩いてくる時、長いストレートの髪に、キリっとした表情は、精悍な雰囲気さえありました。
「原稿の確認の連絡をするので、自宅の連絡先をお伺いしたいのですがFAXはおもちですか・・・」
ありますよ。と返事をした時、はじめてニコっとした頬が、意外と可愛いなと感じたのです。濃紺のブラウスに白い腕が印象的でした。
翌日、FAXが流れて来たあと、電話がありました。原稿の確認を済ませて、電話を切ろうとした時だったと思います。
「突然ですが、ウナギ食べに行きませんか?」
友達の結婚前のお祝いで、みんなと別荘に泊まるので、一緒に行きませんかと。度胸あるなぁと思いましたが、これは好意があるのか、それとも補欠要員なのかは、わかりません。システム手帳を見ると、その休日は空いてました。
「美味しそうですね。じゃ。クルマ出しましょうか」
メンバーは、彼女の高校時代の親友と、結婚する彼氏。そして彼氏の会社の後輩カップルでした。彼氏は名高い大手広告代理店の部長らしく、元財閥の倉庫会社の息子でした。美術館とか持ってる家系。庭はゴルフ場みたいだった。
ご飯を食べて、花火をして、キンキンに冷えた日本酒は美味しかったのですが、ウナギがタレで焼いてあったのが嫌だった。なんと言いましょうか。気に入らないものはダメで、今風に云えばヴァイブスが合わないとでも言いましょうか。本当は、親友の彼氏があわなかったのだと思います。昔から、学校とか会社名とかを言う”ダサい人”がキライでした。
デッキに出て、雲が赤く染まるのを眺めていました。彼女が横に並ぶと、学生時代の事、親友の事、シゴトの話しをしました。気が付くと、彼女の親友も、彼氏も、その部下やその彼女も、リビングには居なくなってました。
「....お酒とってこようかな」
鈍感と言われたら身も蓋もないのですが、それまでてっきり、男同士の部屋で寝るものだと思っていたのです。合宿所みたいに。だって、ご飯もお酒も飲んだことも無い。デートという雰囲気でもない。原稿をFAXしてきた電話の次がココなのですから。
蚊取り線香と、冷酒と、おつまみ。何時間も話してられました。親友がずっと病気だった話。おウチが大変なこと。やっと結婚できてホッとした話。シゴトはたのしいけど、徹夜が大変なこと。他社の憧れてる編集長から引き抜きの話がきているけど契約社員なこと。いまの会社は契約社員から正社員への試験を受けること。迷っていること。大好きな先輩が亡くなったこと。そっと肩が触れたので顔を覗くと、ほんのりと頬が染まっていました。
「こっちの方が辛口で美味しいよ」
渡されたグラスは柔らかくて、手のひらの温度で少し温かった気がした。仕事の時とは違う笑顔が好きでした。
流れ星は一瞬で消えるけど、何故ずっと見えたように思えるのでしょうか。手を重ねたとき、冷たいなと感じたのを忘れません。夏が終わり、秋がきて、冬が来る。クリスマスは二人とも仕事でした。働いて、働いて、働いていた。
なんで別れたのか思い出せません。形が同じ鋳型が重ならないように、何度も擦り合わせても、凸と凹のようには、はまらなかったのかもしれない。それとも、2人は違う夕陽を見ていたのでしょうか。あの日のマジックアワーはとても綺麗だったのに。
デッキで渡された冷酒は、淡麗辛口ではありませんでした。ほんのりと甘く、柔らかな優しい香りがしました。
「彷徨っているの」
あの朝、ベッドで僕の肩を噛んでそう言った理由が、やっとわかった気がします。いや。。わかってないのかもしれないけど。
帰りに高速に乗る前に、メロンをお土産に買った売店で、花火が見えました。あの花火はまだ見えるのでしょうか。
目を瞑ると見えるのは”花火”でしょうか。それとも”流れ星”なのでしょうか。その事も、もう意味はないのだけれど。
きっと、あなたは走り続けているんだろう。だから僕も走りつづけよう。あともう少しだけ。
これは「とある手紙」。手紙とは、特定の相手に対して情報を伝達するための文書のこと。それ以上でも、それ以下でもありません。誰が誰に出したのでしょうか。あなたの手紙も読みたいです。また来週・金曜日のトワイライトタイムにnoteでお会いしましょう。週末はお天気良さそうだね。
#ColbieCallait スキです。思い出の曲。
#金曜トワイライト ジャケ写のようなカッコいい画を書いてくれる方はいらっしゃいますか。恋が始まるような”画”を描いてほしいなぁ。文章は僕が書きます。 上手とか下手とか関係ないの。有名とか無名とか関係ないように。よろしくおねがいしまーす。7月6日月曜日までにもらえると嬉しいなぁ。愛があればOKです。
”恋愛文章”慣れません。ボクにチカラをください。どうなることやらオレ。
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