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<ご挨拶>


どうも。ビジネスマンIkeです。
毎日PCとにらめっこして、数字に追われている皆さん。
あなたの人生は、ドラマチックで、キラキラしていますか??
「私の人生は平凡です。」
そんな人生でも、1ページを切り取って文字におこすと、そこにはストーリーがありました。
みなさんの人生にも、素晴らしいストーリーがあると信じています。

<前書き>


2013年3月11日に、ふるさとを思って書いた文章です。
一昨日(2021年2月13日)の地震で、東日本大震災を思い出しました。
当時書いた文章を引っ張り出してきて、初めて投稿します。
東北を思う気持ちを東北の人に、ふるさとの魅力を日本中に伝えられたら嬉しいです。

<本文>


ヴーン。低いエンジン音が聞こえた。小刻みに波が揺れる。顔を上げると一隻の船が見えた。広い海を自由自在に船が進んでいた。きらりと光る船体の美しさ。波を立てて進む力強さ。漁師が船に乗って颯爽と沖に出る姿は、地元の釣り好きな少年たちの憧れだった。
小学生の頃はよく漁港で遊んだ。釣りをしたり、海を眺めたり、日向ぼっこをしたり。船の出航を見るたびに胸が踊った。こっそり船に乗り込んだこともあった。大人がいないことを確認して船に飛び移った。見慣れない機械に魅了され、大きいエンジンに圧倒された。船の中からの景色はとても新鮮だった。
2年前の東日本大震災で気仙沼の漁船のほとんどが流され、被災した。そのとき少年の頃の記憶が蘇った。船に対する憧憬を思い出した。それと同時に、船がなくなったことに落胆した。小さい頃に夢中になった船がなくなったと思うと、たまらなく虚しかった。
現在気仙沼では復興が遅れている。漁業だけ見ても問題は山積みだ。例えば船や資材の供給の遅れ、地盤沈下、風評被害、水揚げ量規制など。これらの要因が複雑に絡んで、復興は滞っている。何十年もかけて築いたものが、数年の復興計画で元通りになるはずはない。
それでも、気仙沼にはまだ希望がある。今年の3月、気仙沼で貝類の養殖をしている人に話を伺った。「焦っても仕方がない。もちろんすぐに元通りになると思っている訳ではない。じっくり着実に復興させるしかないのだから。」現実を受け止めている人の、力強い言葉だった。震災前のように、船が勇壮闊達に海を行く様子が目に浮かんだ。復興した気仙沼を見たいと心から思った。

<追記>


2013年当時から比べると気仙沼の漁業の復興は進んでいます。
水揚げ量も震災前より多いくらいです。
また、三陸道(高速道路)が開通して、アクセスもよくなったので、
おいしい魚を食べたい方はぜひ一度訪ねてみてほしいです。

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