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認知症の母と沖縄移住 16引っ越し業者選び 海外に強いNか 勉強熱心なSか?

3月は、沖縄で物件と生活エリアの下見をしつつ、引っ越し業者の選定の準備も進めていました。

私たち夫婦は沖縄にいるので、実際に業者に見積もりに来てもらうわけにはいきません。まずはインターネットの一括見積もりサイトを利用して、各社の料金を比較しようとしました。

結果は……。どの社も、見積もり額は算定不能と出ました。

東京―沖縄間は距離が遠く、コンテナ船での輸送となります。コンテナ輸送は家財の量によって、料金が大きく変動するので、実際に営業担当者を派遣して、下見をしたうえでの料金査定となるとのことでした。

やっぱり、そうなるか。

沖縄への引っ越しでは、一括見積もりサイトは利用できない――。事前に読んでいた、沖縄移住者による引っ越し体験ブログには、どれもそう書いてあったので、予想通りの展開でした。

間もなく――。一括見積もりサイトを使って、ネット見積もりを依頼した複数の業者から、嵐のようなメール攻勢がやって来ました。

その数、ざっと5社。

さて、このうち何社に実際の下見を依頼するべきか、思案しました。

一番勉強していただける業者を選びたいのは山々ですが、時間は有限です。5社すべてに見積もりを依頼していては、引っ越し準備が滞ってしまいます。

ここは再び、先輩移住者の引っ越し体験ブログに頼ることにしました。

参考にしたのは、「沖縄引越し実録」<http://ippe.okinawa/moving/ >です。

夫婦二人で中部地方から沖縄に移住した体験をまとめたもので、なんと9社に依頼して、6社に下見に来てもらい、業者の実名と料金を公開しています。

夫婦二人の引っ越しという共通項があります。起点が中部地方と東京、時期が3月と5月という違いがあるものの、比較している業者の数が桁違いに多く、さらに業者の実名と料金の詳細を一覧表にまとめていただいているので、比較がしやすいのです。

夫婦二人で3月のハイシーズンに中部地方から沖縄本島への引っ越しで、各業者が出してきた見積もりは以下のようになっていました。

サカイ  81万円
佐川   80万円
クロネコ 73万円
アリさん 70万円
ハト   68万円
日通   52万円

日通とそれ以外の業者の差が凄まじく、まったく勝負になりません。このご夫婦は、料金と保険、そして、引っ越し費用をクレジットカードで支払えること、楽天やマイルへのポイント付与サービスがあることから、日通を選ばれたとのことでした。

私も、このご夫婦の見積もり結果を基準に、下見の依頼先を選ぶことにしました。日通と2番目に見積もり額が安いハトのマーク、そして、査定は高かったものの、勉強してくれそうなイメージがあり、過去に一度利用したことのあるサカイの3社です。

私たちの場合は、東京から沖縄への引っ越しで、時期はハイシーズンを避けて、ゴールデンウイーク明けの5月上旬に設定しました。ハイシーズンとそれ以外では、半額近い差があると聞いていましたので、25万円から30万円になるのではと想定していました。

3社の見積もり結果は、このようになりました。

ハト  77万円
サカイ 38万9400円
日通  35万円

日通が最も安いというのは予想通りでしたが、金額は思ったよりも下がりませんでした。中部に在住していたご夫婦の査定時には、善戦していたハトのマークが、2倍以上を請求するまさかの展開。そして、ご夫婦の時には最も金額が高かったサカイが、日通と激しい接戦を演じました。

金額だけを見ると、日通で決まりと思われるかもしれませんが、引っ越しには金額以外の要素もふんだんに絡んでいるので、難しい選択となりました。

日通とサカイの見積もりの内訳を比較していきます。

まずは運賃。日通は、海上コンテナ輸送費が16万円、搬出後にトラックからコンテナ船に移し替えるまでの小型車使用料が3万5000円で、計19万5000円かかります。サカイは、車両運賃が32万5200円。日通は自前のコンテナ船を運航していて、海外輸送に強いことをうたっているだけあって、輸送に関しては、完全に日通に軍配が上がっています。

次は人件費。日通は、東京からの搬出の作業員と、沖縄での搬入の作業員がそれぞれ3人で4万8000円ずつで、計9万6000円。対するサカイはそれぞれ1人で4万5000円ずつの計9万円。

日通にはここからさらに引っ越し基本料が6000円かかります。

ここまでで、日通は24万9000円、サカイは41万5200円。この時点ですでに1.5倍以上の開きがあります。ここから日通は4万1818円引の20万7192円、サカイは5万5000円引の36万200円となりました。

さらに資材費が加わります。段ボール、布団梱包袋、ぷちぷちの愛称で知られているエアキャップ、食器を包むための雑紙、ガムテープといった類です。

この資材費が、日通は2万円、サカイは4000円。サカイはなんと5分の1、かなり勉強してくれています。しかし、日通はその分、段ボールがかなり頑丈にできています。就職してから10回以上転勤を繰り返しており、会社で法人契約していた業者は日通だったので、日通の資材の丈夫さはよく理解できています。

そうは言っても日通も経費節減のあおりを受けているようで、何回か前の引っ越しでいただいた布団袋は多少引っ張っても、びくともしなかったのに対し、直近の引っ越しでいただいたものは、布団を押し込むのに取っ手を少し強く引くと、袋自体が破れてしまいましたが……。

資材費に関しては、値段では計り切れない付加価値があるので、ここは何とも言えないところです。

最後は、エアコンや洗濯機の着脱に関して、専門業者に下請け発注する作業費です。我が家では、通常100ボルトのところを、200ボルトの業務用エアコンを使用しているので、電源の工事費が余計にかかります。

トイレも自前でウォシュレットを購入しているので、東京のマンションでの取り外しと、沖縄のマンションでの取り付け費用が余計にかかります。

日通は、エアコンの脱着が電源工事費込みで、2万3000円、ウォシュレットの脱着が1万2000円、ドラム式洗濯機の脱着が8000円で、合計4万3000円。

サカイはエアコンの脱着が3万円、ウォシュレットの脱着が1万3000円、ドラム式洗濯機の脱着が6000円で、計4万9000円。

日通の下請け発注費の方が6000円安い計算です。

万が一、家具を破損した時の補償も忘れてはいけません。日通は35万円の引っ越しプランの中に支払い限度額2000万円までの保険が組み込まれています。サカイは38万9400円にさらに1000円の追加料金を払うことで、保険に加入できる仕組みになっています。

引っ越し見積額比較表

内訳を金額ベースで見ていくと、完全に日通の圧勝です。自前でコンテナ船を所有、運航しているとあって、輸送費を半額に抑えているところが圧倒的な強みです。

しかし、サカイにも、日通に対抗できる切り札があり、この最後の一点があったために、どちらを選ぶべきか頭を悩ます羽目になったのです。

同じ30万円台という価格帯で見た時に、サカイは荷物の搭載容量が、日通よりもはるかに大きかったのです。

日通の35万円となっている輸送量の単位は、12フィートコンテナ1基分です。12フィートコンテナにどれだけの荷物が搭載できるのか、素人にはさっぱり、イメージが付きませんが、営業担当者の説明によると、次のような内容でした。

ダイニングテーブルと椅子4脚
食器棚
本棚下段のみ
ベッド
桐の和ダンス
洗濯機
エアコン
パソコンのモニター
パソコン用スタンディングデスク(アーム式)
アジアン調の木の椅子2脚
仏壇
衣装ケース一段6個
衣装ケース三段重ね2組
衣装ケース四段重ね1組
自転車1台
エアロバイク
ランドリーラック
トイレのウォシュレット
姿見
ミシン
カメラの除湿機
沖縄三線

これらの家財に加えて、段ボールMサイズ(120サイズ)50箱分まで。
衣類については、ハンガーにかけたまま、組み立て式のプラスチックケースに吊るして運搬する方法もあるが、プラスチックケースを使うと容量を取るので、すべて段ボールに収納。

430リットルの冷蔵庫と妻の分の自転車1台、電子レンジ、さらにビジネスデスクはそもそも、東京で処分する予定でしたので、何とか収まりましたが、私たちの持っている荷物の量は、12フィートコンテナ1基分ぎりぎりで、これ以上、荷物が増えると積みきれないとの説明を受けました。

仮に冷蔵庫を運ぶとなると、12フィートコンテナ1基分では収まりません。追加で10フィートコンテナを用意することになり、追加料金は12万円、合計47万円に膨れ上がります。

これに対して、サカイの38万9400円の輸送量の単位は、2トントラックのロング車が1台と、2トントラックが1台の計2台態勢。これまた、素人には何のことやら、さっぱりわかりませんが、12フィートコンテナ1基分に上る私たちの家財に加えて、さらに段ボールMサイズで20箱分のスペースの余裕があると言うのです。

スペースに余裕があるだけあって、洋服の梱包についても、段ボールではなく、ハンガーにかけたまま、組み立て式のプラスチックケースの中で吊るした状態で輸送できるとのことでした。

冷蔵庫や自転車の処分を思いとどまったり、引っ越し後に使う家電を東京で事前に購入したりする可能性がある、あるいは衣類をプラスチックケースの中で吊るしたまま、シワを寄らせずに運搬したいということであれば、サカイの方がお得ということになります。

私たちはこれ以上、荷物を増やすつもりはなく、むしろ、引越しまでにさらなる断捨離の敢行に向けて、並々ならぬ熱意を燃やしていたので、最終的に日通を選択しました。

料金が一番安かったというだけではなく、これまでにも会社の引っ越しで日通を利用してきたこと、特に海外赴任時に日通を利用して、海を越えた輸送に強いことを実感していたことも、大きな後押しとなりました。

楽天へのポイント付与も、少しだけ影響しているかもしれません。沖縄への荷物搬入から10日後、35万円の引っ越し費用に対して、6362ポイントが付与されました。

日通に決めはしましたが、万が一、荷造りが終わった段階で、12フィートを超過して追加料金を取られるという事態だけは避けたかったので、営業担当者とのメールのやり取りを通じて、次のような言質を取っておきました。

見積もり時と全く同じ量を荷造りして、仮に12フィートを超過した場合には、見積もり時の目測のミスということになるので、追加料金なしで引っ越し先まで輸送する――。念には念をということです。

次回は、12フィートコンテナで段ボールMサイズ50箱分との見積もりに対して、実際にどれだけの段ボールを搭載することができたのか、家具や家電は現住地で処分していった方が経済的なのかどうか、についてお話ししたいと思います。

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