ERP、外部コンサルに頼らず1年で導入。具体的にやったこと

無事、新ERPシステムを稼働することができました。下調べ・商品選定に6か月、開発・データ移行に6か月、計1年の準備期間でした。

周りからは
・そんなに早くできるの!?
・なぜピーク時期にやるの?
などなど、色々と言われましたが、当初計画を変更せず、何とかやり遂げることができました。

プロジェクトをやるにあたって、色々と情報を調べ、ERPに詳しい知人・友人にアドバイスも貰って進めましたが、実際やってみないと分からないことが沢山ありました。

もしかしたら、私が経験したことを共有することで、ERP導入を検討される方に役立つかと思い、
・ERP導入までに何をしたのか
・ERP導入のポイント
について書きます!

まずは社内で取り組む


「ERP」と聞くと、テクニカル、素人には難しい、と思われる方がいるかもしれません(私も実際、けっこう構えました。。。)

実際、そういった理由からか、多くの企業が外部コンサルに依頼し、ERPプロジェクトをリードしてもらっています。

実際、私が検討を始めたときも、いくつかのコンサルから提案がありました。
・1から全てご支援します…
・うちはノウハウがあります…
・御社のニーズを理解した上で最適な商品を提案できます…等々

でも、考えていくうちに、「よく分からない…」ということで、外部に依頼して、最終的に、本当に、最適なシステムを選ぶことができるのか、疑問に思い始めました。

社内の人がきちんと理解していないものを、外部の人が理解できるはずがない、と考えました。

自社のオペレーション(業務)を一番理解しているのは、社内の人! ということで、まず、ERPに関連する主な業務プロセスを自分で理解することから始めました。

業務フローを描いてみる


ERPに関連する主な業務プロセスを自分で理解するには何をしたらよいでしょうか?

ITシステムを設計をするときは、まず、業務プロセスを可視化する=業務フローを描く、というのが一般的な手法です。まず業務フローを描くことから始めました。

「業務フローを描く」というのは、つまり、業務の初めから終わりまでの流れを図式(フローチャート)で表す、ということです。

何の業務フローを描くか?という点ですが、参考までに、私が作成したリストを共有します。

  • 受発注プロセス(注文→出荷)

  • 売上会計処理(受注→売上計上→請求書発行)

  • 買掛金プロセス(購入先登録・購入申請→請求書受取→支払)

  • 精算(経費・出張旅費請求→支払)

  • 固定資産(取得申請→購入→登録)

  • 財務報告(月次決算締め→財務諸表作成)

こちらで共有したリストは、おそらく、どの会社にも当てはまるかと思います。

それ以外にも業務フローが必要なプロセスはありますが、事業の特性によって変わってきます。

業務フローを描くことで、どのようなプロセスで、だれが何をしているか、明確になります。

当然、自分1人だけでは全部分かりません。担当する部署にヒアリングをしながら、フローチャートに落とし込んで、一つ一つ確認しましょう。

私の場合、自分ひとりで進めて意味ないものを作ってもしょうがないと思い、一番希望度の高いERPベンダーにアプローチをして、業務フローについてアドバイスをもらいながら進めました。業務プロセスの抽出や、作成の勘所についてアドバイス頂けたので、とても助かりました。

ERP比較をしてアプローチ


業務フローが用意でき、本格的に、ERP製品を提供している会社にアプローチを始めました。

アプローチするときは、ERPのマーケットシェアを理解して、どの製品がよく使われているのか知っておいた方が良いです。

参考までに、私がリサーチしたERP比較を共有します。

私のケースは、海外でしたので、GartnerのMagic Quadrantのレポートを参考にしました。(ランキングに載ってるベンダーのサイトから登録すれば無料で読むことができます。)

私なりの理解を、ざっくり書くと、グローバルでは、メジャーどころは3社(Oracle、SAP、Microsoft)です。

各社製品ラインアップがあるので、一覧を載せます。

Oracle社
・Oracle Fusion Cloud ERP:中堅企業〜大企業
・Oracle NetSuite:中小企業〜中堅企業

SAP社
・SAP S/4HANA:中堅〜大企業向け
・SAP Business ByDesign:中小〜中堅企業向け
・SAP Business One:中小企業向け

Microsoft社
・Dynamics 365 Finance & Operation (F&O): 大企業向け
・Dynamics 365 Business Central(BC): 中小~中堅企業向け

https://ichengsi.co.jp/ifs-labo/erp-share/

OracleとSAPは、同じ会社でもいくつかの製品がありますが、各製品違うチームで管理されています。例えば、Oracleでも、FusionとNetSuiteは違うアカウントで管理されており、Oracle内で最適な製品を紹介するようにはなってません。事前に自分の会社にあった製品がどれなのか調べてからアプローチしましょう。

Microsoftの場合は、ユーザー数(会社の規模)で、F&OとBCに分かれます。

日本のERPは、こちらのサイトが良くまとまっていたので見てみてください。

勝手にfreeeがシェア大きいと思っていたのですが、老舗?の、大塚商会のSmileシリーズ、富士通Glovia Smart/iZ/SUMMIT、SAP等がシェアが高いのですね。

表面的な見積もり(コスト・開発期間)に騙されるな


気になるERP製品を決めた後は、アプローチしていきます。

アプローチ先は2パターンに分かれます。

(こちらが主流だと思いますが) 1つ目は、その製品を扱っている「IT開発ベンダー」にアプローチするパターン。IT開発ベンダーは取扱う製品が決まっていて、製品の設計か開発までサービスを提供いてくれます。Microsoft BC、SAP Business Oneは、こちらに該当します。

2つ目は、製品を扱っている企業「プロダクト会社」に直接アプローチするパターン。実際のIT開発ベンダーは、プロダクト会社から紹介されます。例えば、Oracle NetSuiteがこちらに該当します。

私のオススメは、2つ目の方です。プロダクト企業が自らが、ヒアリング、要件定義、簡易デザイン・デモを行い、一つ一つ私たちのニーズに合うか確認して提案してくれます。またITパートナー企業についても、合いそうなところをマッチングしてくれます。

1つ目のIT開発ベンダーは、プロダクト会社との接触はなく、IT開発ベンダーとのみ進めていくことになります。

よくあるのが、ライセンス料が安いERPで
・年間コスト安いです
・開発費もそれほどかかりません
というセールスです。

うまい話には落とし穴があり、蓋を開けてみて、結局コストがものすごくかかった、という話をよく聞きます。

要件定義をしっかりせず、開発を始めたあと、あれもこれもと追加の開発が出て、最終的に開発費が当初の見積もりの2倍、開発期間も延び延びになって1年だったところが2年かかることがあります。

なので、このような話がきたときは、しっかりと要件定義をしてもらい、きちんと各項目でMan-dayからボトムアップでコスト算出をしてもらい、コミットしてもらいましょう。

ただ、初めてERP導入をやる人にとって、全て見通して要件定義をマネージすることは難しいです。そういう点では、やはり2つ目のプロダクト企業が主体となって動く方が正しく進むと思います。

プロダクト会社と直接進めるケースは、一般的にライセンス料が高い製品になるので、一見高く見えますが、最終的なトータルコストとスケジュールの遅延などのリスクも鑑みて、目先のコストに騙されなようにしましょう。

新しい決算期からスタートするのがベスト


最後に新しいERPに移管するタイミングについてです。

よくピーク時は避けた方が良い、つまり年度末決算を避けた方がよい、というふうに言われます。これはミスリードだと思いました。

確かに、ピークを避けた方が、問題が起きたときインパクトを少なく済ませられますが、なにがシステムにインパクトを与えるか吟味するべきです。

私の会社の場合は、12月決算でしたが、新しいシステムの切り替えを1月からにしました。周りからは、「本決算の時期にして大丈夫か?」と何度も言われました。

結果的には、問題なく進めることができました。むしろ、新しい決算期からスタートするタイミングにしてよかったと思いました。

大丈夫だと思った一つの理由は、開発工程やデータ移行のスケジュールを敷いていったときに間に合う見込みがあったからです。今は、Sand Boxというテスト空間をして本稼働の前に試験運用していくため、開発とテスト運用を効率よく進めることができました。

またオペレーションとしては、期中の切り替えにしなかったことで、移行前と移行後のデータを組み合わせる手間のなくなったので負担を大きく減らすことができました。

また移行前の12月期の決算については、慣れている旧システムで決算締めを行いましたので、大きな混乱もなくスムーズに進めることができました。

スケジュールを敷いてみて、新しい決算から切り替えることが可能であればぜひ検討してみてください!

最後に


ERP導入のポイント、ERP導入までに何をしたのか、についての記事は以上です。どれだけニーズがあるか分かりませんが、少しでもお役に立てたのであれば嬉しく思います。

また個別にお聞きしたいことあれば、いつでもDM頂ければと返信いたします。宜しくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?