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法務局に届け出たら会社ができた

会社を作るのは簡単

サラリーマンを辞めた日

2015年の春ーー。
5年半勤めたメガベンDe社を退職した私は、
次に何をするか?特に何も決めてませんでした。

新卒で外コンに入ってすら10年間の社会人生活を
あまりにも全速力で駆け抜けてきたので、
少し休んでから考えようかなーくらいに考えてました。

とりあえず世界一周の旅にでも出るつもりでした。

社長は偉くない

De社生活の大半は、
子会社のサラリーマン社長として過ごしました。

巨大な通信会社N社との合弁会社でしたので、
かけがえのない貴重な経験をさせてもらいました。

学んだことの全てはここに書ききれませんが、
社長をやって気づいたことのひとつは、
「社長は大して偉くない」ということでした。

「社長なのに辞めたの?」

辞めてからしばらくたった日、
暇だったので町内会の集まりに出てみました。
外コンや社長業をしていたら考えられません。

そこでは順番に自己紹介があり、
「最近〜〜な会社の社長を辞めたところです」
などと特に何も考えず自己紹介したところ、
その場にいた小学校低学年くらいのお子さんから
「社長って辞められるの?」と驚かれました。

お子さんの声が大きかったので
お母さんは「シーッ!」と慌ててました。

社長は簡単になれる

お子さんのあまりに純粋な質問を前に、
私はなんだか悪いことをしたような、妙な気持ちになりました。
そう、社長は辞められるんです。

あと、実は簡単になることもできます。

自分ひとりの会社であれば。
結局どんな会社か次第ですね。

※以前に私が経験させてもらったような会社は、もちろん、また別の話だと思います。
De社とN社という度量の大きな会社が、当時20代だった私のような若造に
大きな売上と多くの関係者がいるような大切な合弁会社の社長を任せてくれたということは、
本当に今でも感謝してます。

会社を作ってみた

会社を作った日

町内会でお子さんから「社長のくせに辞めたのか」と驚かれた時、
実はその時には、もうサクラスという法人はありました。
退職してすぐに会社登記自体は行っていたのです。

特に何か大きな目的があったわけではありません。
会社という仕組みに興味があったのと
あとは……世間体でしょうか。

いろんな会合に顔を出した時に配る名刺に
サクラス株式会社 代表取締役
と書いてある方が自然な気がしました。

私の母親も当初、
「息子がフリーターになった」といって嘆いていましたが、
社長に戻ったら少しは安心していた気がします。
ひとり会社なので肩書だけですが……。

ひとり会社は秒でできる

2015年なので、7年も前の話ですから、
今だと当たり前だと思う人も多いのかなと思いますが
当時はまだサラリーマンを辞めた後
すぐに法人登記する人は少なかったと思います。

登記時代はすぐ終わります。
もちろん謎の前時代的な手続きは前後にたくさんあり
DXの遅れやら高齢化やら縦割り行政やら
日本の色々な課題が見え隠れするかもしれませんが
まあ、とにかく会社がすぐできるのだから良し。

これが他の社会主義国とかならもっと大変でしょう。
たぶん。

便利なサービスもあります。
ほとんどやってくれます。
https://www.kaisha-kakuyasu.com/

実存は本質に先立つ?

ちなみに、法人登記した私は楽しくなって、
ロゴや名刺、そして(業務内容未定なのに)
ホームページも作りました。

ロゴはクラウドソーシングで公募した97件の中から決定し、
名刺はECサイトに自分でイラレ入稿。
そういえばそもそも「サクラス」という社名も、
公募した618件の中から決定しました。

ホームページはアメーバオウンドで作り、
ドメインを取得し、メアドもできました。
初めのうちは検索順位が低かったので
検索広告も社名だけ買っておきました。

登記だけでなく、
それなりに会社の体裁を整えるとしても
簡単にできる時代になったものです。

これから会社を作る人へ

目的は人それぞれ

自分の話が長くなってしまいました。
私のように適当に会社を作ったのは、当時の話。
今はいろんな目的で会社を作る人がいると思います。
そして、目的により定石も様々と思います。

上場やバイアウトを目指す起業家であれば、
まずは創業チームを結成し、
エンジェル投資家を見つけるところからになるでしょう。

定年まで勤めた会社を退職されて
第2の人生をスタートさせるにあたって
法人の設立を検討されている人もいると思います。

会社の副業が解禁されて、
個人事業主として業務を受託するか
法人設立するかを悩んでいる人もいると思います。

ひとり会社設立のすすめ

ユニコーンを目指すような起業家の会社設立は?
既に目的とチームがある場合にどんな組織がいいか?
こういったケースはまた別の記事に譲るとして、
本稿では私のように、事業の目的を具体化する前に
ひとり会社を設立するようなケースを考えます。

将来的に事業内容は明確になるかもしれませんし、
社員も増えるかもしれません。増えないかもしれません。
将来どうなるかはさておいて、
いったん、ひとり会社を設立します。

あくまで、現時点でチームと呼べるものがなくて
やることが大して決まってない場合ですね。
漠然と副業を考えている場合でもいいと思います。
今の会社を辞める必要もありません。

そうした場合に、
「ひとり会社」の設立はおすすめです。
理由は2つあります。

個人の生存戦略に役立つ「会社」

理由のひとつは、法人の箱は、
個人の生存戦略に役立つということです。

不確実性の高い時代に、個人として
競争力ある充実したキャリアを築く上で、
自分の会社があることは便利です。

法人登記の際には、
確定申告に比べて税務上のメリットが得られるのかとか
年間の維持費がかかるとか手間が増えるとか、
色々考えてしまうかもしれません。

しかし、コストサイドよりも、バリューサイドに注目しましょう。

ここで詳細までは書きませんが、信用資本の時代です。
個人の生存戦略において、信用は利益よりも重要です。

また、(ユニコーン目指して起業する場合と違って、)
ひとり会社の場合は多くの場合、
B2CでなくB2Bの場合が多いと思います。
私もそれなりに長くサラリーマン生活を送っておりましたが
会社が取引する相手が会社なのか個人なのかは
2020年代に突入した現在でも、随分と違います。

100万円は授業料

これも、広い意味では生存戦略に役立つ、
という効果に含まれるかもしれませんが、
2点目の理由は、勉強になるということです。

なんだそれと思うかもしれませんが、
頭でわかっていても、経験して始めて体得できることは
たくさんあります。

私自身も、社長とオーナーの違いというものは、
(蛇足ですがその前の「コンサルと起業の違い」も、)
頭ではわかっているつもりでした。

が、実際に経験してみると、違いました。

資本金1円でも作れると言われますが
実際に株式会社を作ると20万円程度の初期費用がかかり
法人税の最低額その他の手続きでもう10万円、
なんだかんだで?何も活動しなくとも
50万円くらいはかかるのかなと思います。

その上で、事業のための活動を行っていくとしたら
(自分は無報酬だとしても、)
税理士さんに頼んだり会計ソフトを使ったり、
ドメインやらホームページやらで、
最低100万円はかかりそうです。

勉強のために会社設立を経験してみることは
100万円くらい無くなる覚悟が必要かなと思います。
ただ、それ以上に学ぶことがあると思います。

会社設立に向く人、向かない人

オーナーは社長とは違う

私自身は随分と遠回りをしたかもしれません。

起業の参考になるかなと思ってスタートした
コンサルのキャリアは起業とは無関係でした。
起業の前にもう1ステップと思って
サラリーマン社長をしましたが、これまた
オーナーとは全く違う性質の職業でした。

大手企業の平社員、専門家、管理職、経営者、オーナー、投資家…
中小企業のそれら、スタートアップのそれら、全て違う適性が求められ、
みんなが同じものを目指す必要は、まったくないと思います。

ひとり会社設立をおすすめしたものの、
実際にはケースバイケースなのかなとも思いますので、
最後に、こんな人にはおすすめしません!
ということを書いておきます。

「お金が勿体ない」ならやめておく

会社のオーナーというのは、最初に損をする人です。
もし100万円でも授業料を払うのが勿体ないと思う場合は、
社長の右腕として番頭として会社の秩序を守る役割が
向いているかと思います。

カネよりヒトが好き(かつ、カネの勉強はしたくない)
という人も、会社全体を所有する必要は無いと思います。
オーナーになると、どうしてもカネの管理は避けられません。

「お金の使い方が下手」ならやめておく

お金の話ばかりですみません。……なのですが、
サラリーマン社長との対比で言えば、
オーナーというのは基本的にいろんなことをお金で解決し、
お金で解決できないことだけは、
最後自分でなんとかする、というような仕事になります。

その際、お金で解決できることの幅の広さや、
お金で解決する際のコスパ、
同じお金を使ったとしてもクオリティの高さ
とかが、人によって違ってきます。

自分の手足を動かして高いアウトプットを出す人や
人に指示して高いアウトプットを出す人が
お金を使って高いアウトプットを出すのが上手
とは限らないのです。

結局、授業料と思えばアリ?

以上のようなポイントは、また別の機会に、
具体例を紹介できたら良いかもしれませんが、

そもそもそういったことを学ぶための
100万円の授業料という気もするので、
もし学ぶ意欲が高ければ、
迷ったらやってみる!で良いと思います。


以上、あくまでひとり会社設立の場合です。
本稿では、個人の生存戦略の上で、
ひとり会社設立が役に立つ、ということについて、
書かせていただきました。

このnoteでは引き続き、
個人の時代の生存戦略について
書いていきたいと思います。

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