「できる」医療者に育つ学び方:自分の経験から

#医療教授システム学

#医療ID

医学部を卒業し医師免許証を得て医師になったとき、僕の周囲には「できる」医師がいました。

リーダーとしてできる医師もいれば、ある技能に秀でたできる医師もいました。A医師のある技能のレベルに比べるとB医師のその技能のレベルは下だなという判断もありました。

先輩医師の数に医師が持つさまざまな技能を掛けわせると相当数の技能のサンプルが仕事の環境として、したがって学習環境として存在していました。

いま書いている内容は思い出しバイアスが強く働いているのでその分は読者の裁量でカットして読んでください。

僕の臨床研修の仕方は、上級医の思考回路をコピーすること、その患者をなぜそういう具合に診療したのかの思考プログラムを自分の頭の中にインストールするという方法。疾患などについて知識が不足していると感じたら医局の書籍や雑誌をコピーし、その日のうちに読むようにしていました。

このプロセスを繰り返していくと3−4ヶ月の頃には「できる」医師のジェネリックなスクリプト(研修した救命救急センターで働く医師のスクリプト)がインストールされ、秋以降はソロで仕事をし経過を上級医に報告し認証・修正を得るという仕事の仕方になりました。

救命救急センターの医師が使う基本的なスクリプトは1)初期治療のスクリプト、2)集中治療のスクリプト、3)病棟医療のスクリプトになります。

初期治療のスクリプトは、①患者の事前情報から受け入れの準備とリハーサル、②患者が搬入されたらパッと見判断→全体観察→初期評価と救命処置、③詳細な評価と必要な治療、④安定化、⑤その後の医療の計画と患者説明、⑥初期治療の経過の記録と振り返り、になります。

①から⑥ではさまざまなスキーマ(知識のセット)を持ちますが、スキーマは経験に応じて拡張・発展していきます。

ま、こんな感じで学ぶと、研修医になりたての頃の経験するために学ぶフェーズから、経験から学ぶフェーズにこうすることができます。経験から学ぶ(learn from型学習)では医療の主導は僕が行い上級医はそばで観察している・僕の手に負えない状況で助けを求められた際に対応するという感じになります。

最初の施設での勤務はおよそ8ヶ月でしたが①、②、③のスクリプトとたくさんのスキーマを獲得しました。

次の半年は大学病院救急部で研修しましたが①、②、③はそのまま利用し、大学ならではのスキーマを追加しました。

このあと2年間の外科研修になりますがそれまでに獲得したスクリプトとスキーマを使うことでそれなりに任せられる研修医としてスタートし、外科のスキーマ獲得を中心にトレーニングしたように思います。

だいたいこんな感じで医師としての能力を拡張してきたように思います。

同じようなやり方で外科、救急医療、在宅医療を経験し現在に至ります。

ま、このあたりで・・・。

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