「できる」看護師の患者安全能力とは

#医療教授システム学

#医療ID

「できる」看護師の患者安全能力についてのクイズです(複数のクイズで構成されますが、ここでは1問だけ取り上げます)。


1.「できる」看護師の患者安全能力(コンピテンシー)に該当するものをすべて選べ。
a. 知識
b. 状況認識
c. 看護技術
d. 仕事の段取り
e. すべて

ヒント
 コンピテンシー(「患者安全TeamSimゲームのガイダンス」5ページ)は職場で仕事ができる人の行動特性をいいます。看護師の看護実践の遂行の仕方(行動)を観察することで、その看護師の熟練度を評価することができます。


a. ここで言う知識とは、例えば看護師国家試験に合格するために必要な知識、教科書に記載された事実的な知識(言語情報)のことです。国家試験に合格したからといって看護師の仕事ができるわけではありません。「できる」看護師の行動特性の背景や前提として知識は必要になりますが、知識があればコンピテンシーがあると評価できるわけではありません。


b. 看護師の仕事の単位は一つの看護実践になります(「急変させない患者観察テクニック」189ページ)。一般に仕事はブリーフィングで始まり、デブリーフィングで終わります。仕事を始める場合は、まず仕事を行う状況がどうなっているのかを正確に認識し(状況認識、situation awareness)、その状況でどんな変化が起こりうるのかを予測する能力が必要になります。状況認識能力はコンピテンシーに直結します。

c. 看護技術は看護教育の運動技能に分類される能力になります。看護技術を運動技能に分類し看護技術を運動技能として教えることはできますが、看護実践の能力はより複雑です(「急変させない患者観察テクニック」233ページ)。看護技術はコンピテンシーに直結します。


d. 「できる」看護師はすべての看護実践を2度行います。1度目は頭のなかで行うリハーサルとして、2度目は患者のところに行って行います。段取りは1度目の看護実践、すなわちナースステーションでリハーサル(ゲームではステージ1の頭を整えるに該当)の中核となる技能になります。

答え 
b, c, d

解説 
知識はコンピテンシーの前提にはなりますが、コンピテンシーそのものではありません。
状況認識ができなければリハーサル、すなわちゲームのステージ1をクリアすることはできません。
ジェネリックな技能としての看護技術は、看護実践をその患者に最適化して行う際の基盤になります。
仕事の段取り、ゲームではステージ1をクリアする能力は「できる」看護師の重要なコンピテンシーになります。

さて、皆さんはどのように考えますか?

質問はtwitter @JSISHに投稿してください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?