キャロルの時間モデル - その1

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能力モデル

決められた時間内に決められた内容を教えられ、時間の最後に試験を行って教えられた内容についての質問に答えられたら合格、一方、答えられなかったり間違ったりすると不合格になる・・・。

このパターンの教育は従来の学校教育でずっと行われたやり方で、そのやり方が身についてしまうと教える側・指導する側に回ったときも同じやり方を選択してしまいます。

たとえば一次救命処置のシミュレーションコースで、決められた時間内に決められた内容を習得することが求められ、最後に実技テストや筆記試験を受けるということが行われています。

実技テストや筆記試験に合格すればよし、不合格になれば受講者の努力が足りない、あるいは合格した人と比べると能力が低いとみなされがちです。

この考え方は、学校の授業やシミュレーションコースといったクラスルームでの教育・学習ではごく当たり前のように受け止められてきました。

決められた時間内に事前に決められた内容を学習し時間の最後にテストを受ける、合格すれば能力があるとみなされ、不合格になると能力がないとみなされる・・・。

このような考え方を学校学習・クラスルーム学習の能力モデルと呼びます。この能力モデルでは学校やクラスルームでの成績の差を能力の差、すなわち個人の生来の能力、知能指数といった資質の差として評価します。

伝統的な学校教育に慣れ親しんだ私達は、成績の差は能力差とみなす能力モデルをすっと受け入れてしまう傾向があります。

学校教育でできない人は生まれつきの能力が低い、とか、学校教育で成功した人は生まれつきの能力が高い、といった具合に考えてしまいがちです。

実際には学校教育での成功者が社会や人生での成功者とは限らず、逆に、学校教育での非成功者が社会や人生で大きな成果や喜びを達成することはいくらでもあります。現実を見れば能力モデルはトリックと言えますが、それでは学校での成績の差をどのように解釈すればこのトリックから逃れることができるのでしょうか・・・。

それがキャロルの時間モデルなのです。

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