十五の心
石川啄木の
不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心
という短歌を授業で紹介した。
嘗て中学校の教科書に載っていたと思うのだが、これを知っている学生はいなかった。
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『私はね、この短歌を授業したとき、この短歌を暗記するまで暗唱させて、「さ、校庭に行きなさい。そして、この短歌を理解して来なさい」と言って、外に出したんだな。「ただし、一人で理解すること。誰かと一緒にはいないこと」という条件をつけてね』
当時勤務していた中学校は、丘のような山のようなところの斜面にあった。
寝転がるにはちょうどいい。
15歳の彼ら彼女らに、この短歌を理解させるのはどうしたらいいかと考えて、私は30分ぐらい寝転ばせるということを考えた。
『理解して来なさい』
ってのは最低の指示だが、私は本人が「理解しました」と言えばそれでいいと思っていた。文章で書かせることも無く、ただ、本人が理解すればいい。
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15歳の時に、石川啄木と同じようなことをした。
そして、15の心を理解した、気になったというのであれば、それでもう十分だと思うのだ。
こういう授業が年に一回ぐらいあっても良いと思うのだ。
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