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ダンスチャンプ・コウジ✨3

土曜日、また富田先輩の車で瑞穂女子大を訪れた。
水曜日と同じ教室に入ると、すでにフロアのスペースが開けられている。
坂本先輩が前に出て、改まった様子で話しだした。


「きょうは宮路部長と中山さんによるデモンストレーションです」


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デモンストレーションってなんだ。
コウジは首を伸ばして周囲をうかがった。


「宮路中山組は全日本学生選手権でなんと4位。
 中部支部が誇るコンビです」


全日本で4位、ということは準決勝までいったのか、なかなかだな。
野球で解釈するコウジだった。

実際には競技ダンスでは決勝に残るのは6組。
4位の宮路中山組は決勝までいったということだ。
その価値をコウジが知るにはまだ少し時間が必要だった。


「一曲めはワルツ、そのあと二曲めにタンゴです。どうぞお楽しみください」


教室のドアが開き、学生服の男性が、ワイン色のドレス姿の女性を伴って現れた。
コウジはドレスを着て髪をアップにした女性を間近で見るのは初めてだった。
宮路先輩は真田広之に似た精悍な顔立ち。


こんなに姿勢のいい人は初めて見た、と思った。
背中に鋼でも入っているのだろうか。
中山先輩は明るい雰囲気の女性だった。
二人はコウジたちを見て微笑み、一礼すると向かい合った。
他の先輩たちも、新入生たち5人も、それより数の多い女子たちも、
しーんとして見守っている。


宮路先輩の差し出した手を中山先輩が取って、二人が組んだ。


教壇に置かれたラジカセから、音楽が流れ出す。
二人も流れるように踊りはじめた。
教室の雰囲気が一変して、あたりが明るくなったようだ。
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ワルツってこういう音楽なのか。
花がくるくる回っているようで、美しい。
二人もにこやかな表情でフロアいっぱいに円を描いて踊っている。
ドレスの裾がひるがえるのが、コウジの目のなかで残像になる。


宮路先輩の背中から脚への線もくっきりとして綺麗だ。
学生服とドレスの二人が一つの形を作って音楽に乗っている。
回りながら波のように高まったり、
また低くなったりするのも音楽にぴったりの動きだった。


コウジはすっかり魅せられていた。
ワルツって、綺麗だなあ。
「優雅」という言葉が脳裏に浮かぶ。


気がついたときには音楽がやみ、ダンスも終わっていた。
コウジははっとして、みんなに遅れて拍手をした。
カップルは少し上気した頬を輝かせて微笑んでいる。
観客たちもにこにこして拍手を続ける。
「ブラボー」という男の先輩の声も聞こえてきた。


拍手がやみ、教室は静かになった。
ラジカセから、再び音楽が流れ出す。
カップルの雰囲気は一転して、表情が凛々しくなった。
コウジにはその楽器がなにかわからないが、
切れのいいリズムとメロディが始まっていた。


ワルツとは違うカップルを見ているようだった。
鋭角的で情熱を感じさせる動きが素晴らしい。
二人は顔を左右に振るが、目線を合わせるわけではなく、
でも息はぴったりと合っているのだった。
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足が絡み合うように見えながら、テンポよく進むさまが色っぽい。


タンゴか。
タンゴってかっこいいなあ。
コウジはまた魅せられた。


「ダンスって意外といいものなんだよ」
坂本先輩の言葉が脳裏で再生される。
ダンスっていいものなのかも知れない、
いっぺん、やってみようかな。


女子大のキャンパスで綺麗な女の子を見たい、近づきたい、
という女の子目的の考えから、ダンスに照準が変わった瞬間だった。
野球一辺倒だったコウジのなかに、
ダンスに反応する細胞があったとは、自分でも驚く展開だった。


デモンストレーションの後、ブルースの練習が始まった。
先輩たちのカウントと手拍子、
足元を見ない見ない、姿勢姿勢、という声が教室に響く。
コウジはもう夢中になっていた。




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