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言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼を読んで思うこと

言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼
水野太貴・堀元見(著)

最近よく聞くラジオの本が出ていると知り、久しぶりに本屋で購入しました。ラジオではしていない話が書かれていて、日本語を話す上で、皆が無意識に使い分けていて、さらにうまく説明できない内容を書いていると聞き、購入を決めました。

そのため、本書にはラジオの人気企画の、何こいつキモナイト、深読みおじさんフェスティバル、ミーム提案委員会、無限語源トーク、ターゲット1900、うんちくエウレーカクイズ、カタルシス英文法、赤ちゃんの〇〇シリーズは載っていません。

こう羅列して企画名を書くと、どんな話しているかまったく想像がつかず、何の話をしているラジオなのかブレますね。ゆるく言語学の話をしたり、2人でずっと雑談をしていたりします。

帯を外すと2人が沼に半身埋まっている絵になってます。

どんな本か

ゆる言語学ラジオの本です。ラジオと同様水野さんと堀元さんとの掛け合いで話が進んでいきます。

ラジオの雰囲気を感じられます。そして、母語話者なのに日本語を全然理解していないで使っていることがわかります。「単語」「」「意味がない言葉」「母音」「擬音語」「」をどう認識しているか?が説明されています。

日本語話者が共通で問題ないと考えている使っている日本語で、その説明できないブラックボックス化した思考を説明されているので、堀元さんと同じように「・・・お、ホントだ!スゲ〜〜!」となります。

誤植があって発売が遅れに遅れてしまったという経緯があります。音声だけで聞いていて、誤植と語釈を区別できていなかったと、恥ずかしながら初めて気づきました。

筆者の思い(エピローグより抜粋)

堀元さん

最近は誰かと喋っていても、言葉の不思議が気になって内容が入ってこない。言葉が気になるせいで、生活に影響が出ている。僕はまさに言語沼にハマってしまったに違いない。なぜハマったか。その答えは、「ムダ」にある気がしてならない。本書を一言で表現するなら、ムダの多い本である。

本書は「友だち」が語り合っている。自由にムダ話ができる環境だからこそ、僕は言語の楽しさに耽溺できたはずだ。皆さんにもその相互作用を追体験してもらう必要があるため、本書はムダが多いのである。皆さんは気楽に読んで、気楽に言語沼を味わうことができると思う。

水野さん

振り返れば、関心は常にことばにあった。そんな自分が言語学研究室の門を叩くのは、自然のことだった。

が、授業を受けてみてびっくりした。「『象は鼻が長い』の主語って何?」だとか、そんなことで研究者たちが大もめしているのである。すごい学問だな、と懐の広さに敬服した。それと同時に、「世間にその面白さがイマイチ伝わっていないな」と思ったのも本音である。

聞かれたら答えは分かるんだけど、そのメカニズムがなぜか説明できない」。こんな不思議な現象は、日常生活では滅多にお目にかかれない。ところが言語に目を向けると、一事が万事こんなことばっかりなのである。

本書ではこうした現象にぎゅっと照準を絞って、僕が特に面白いと感じていた日本語の事例を取り上げた。が、これはまだまだ沼の浅瀬である。興味を持たれた方は、ぜひ日本語学や言語学の本を読んでみてほしい。

読んでのまとめスケッチ

母語話者なのに、毎回「・・・お、ホントだ!スゲ〜〜」と私もなります。

本の感想

普段気にしていないけれど、説明されると勝手に判断してしゃべっている不思議に気付けます。「いる」「ある」の使い方をその対象をどのように無意識でどう感じているか、動物感があるか・ないか、を判断していることに単純に驚きました。

・ソフトバンク店頭に案内してくれるPepperがいる
・ソフトバンク店頭に故障して電池切れしたPepperがある

同じPepperなのに「いる」「ある」が前の分の状況説明で変わってきちゃう不思議です

ラジオだと助数詞(個、人、匹、台、、、などです。)の説明会が同じ不思議を感じれるのでおすすめです。果物の缶は1缶と数えるけれど、飲み物の缶は1本と数えるとか、同じ缶でも助数詞を内容物で変わってしまうという不思議さを感じられます。

この本を読めば読むほど、ラジオを聞けば聞くほど、本の感想の内容そのものや、文章の書き方などで「・・・あ、間違えてる!ヤベ〜〜!」となってきます。不勉強さを痛感します。

とはいえ「多少納得できないことがあっても、飲み込んで生きていくのが、人生なのです。」と本書に書いてくれているので、違う意味で使われていますが、自分の間違いも飲み込んで生きていこうと思います。

今回の本でもラジオでも、大体まずはテーマについての質問があり、そこから考えられる仮定を出すけれど、現実世界の反例があって、あれっとなり、そこから理由が説明されるので理解できます。そこから的確な例えが追加されるので、その話題についての解像度が上がって覚えられます。文系苦手人間からすると面白く勉強できるので、助かります。

(時々仮定であてちゃうことがあったり、時々疲れで例えが的確じゃない時もあります。)

ラジオで辞書を説明する会を聞いていて、実は高校の英語でも同じことをやっていたんじゃないかと思いました。ラジオでやっていることと授業でやっていたことが同じ流れになっていたなぁと気づきました。

『英語の文章問題を読んでいて、わからない単語が出てきた時にある程度想定で日本語を当てて考えていくけれど、次に出てきた時にうまく訳せず、あれっとなり、辞書を引いて意味を確認します。辞書には他に用例が載っているので単語について理解が深めて覚えられる。』そんなイメージです。

授業はめちゃくちゃ退屈でしたが、ラジオは楽しく聞けている不思議です。学生時代に苦労していたからこそ、カタルシスを感じて今楽しく聞けているのかもしれません。語学苦手だった人にこそおすすめの本で、おすすめのラジオです。

このNoteは、一介の読書好きがゆるく楽しく読書で気づいた面白さを書くNoteです。自由気ままな感想文なので厳密な推敲は行なっておりません。内容は間違っていることがあります。誤字脱字はご了承上お読みください。

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