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生まれてこないほうが良かったのか?を読んで思うこと

生まれてこないほうが良かったのか?生命の哲学へ!
森岡正博(著)

普段美容院ではずっと寝ているのですが、置かれた雑誌が「本の特集」だったので手に取ってみたときに見つけた本です。「反出生主義」とは「生まれなかったほうが良かった」という主張で、なかなかすごい主義主張だなと思い、読んでみました。

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本の説明

古代ギリシアからアジアまでの哲学から反出生主義・誕生否定を分析、解説しながら、反出生主義の全体像がわかる本です。そして筆者の考えを最終章でまとめ、誕生肯定について書かれている本です。途中理論や主義が極端だったりで、よくわからなくなる時がありますが、随所に筆者の説明と要約、わかりやすい言い換えがあり、思っていた以上に読みやすい本でした。「生命の哲学」のシリーズの第一作とあるので、今後続きが出るそうです。

筆者の想い

『存在すること』と『命があること』、『生命』と『身体』、『喜びの分かち合い』と『犠牲を払う』、などの関係にどのような答えを出すのかを考えることを「生命の哲学」とし、その哲学を追求していきたい。まずは「生まれてこなかったほうが良かった」と考える「反出生主義」(誕生否定、出産否定)を集中的に取り上げる。そこで「誕生肯定」を概念を示し、「生命の哲学」の将来の見通しをまとめる。私は行けるところまで行くので、さらにそれを超えて多くの人たちに追求していってほしい。

読んでのまとめスケッチ

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読んでの感想

本書に書かれた内容と参考文献の量に「生まれてこないほうがよかった」と言うことを、これまで何度も何度も考えられて、その答えを出そうとした人の多さに驚きます。
 筆者も記載していますが、「生まれてこなかった」時のことを考えるのは不可能である(「存在しなかった」ことを考えるのはできる)ため、考えてもわからないし、そう考えられるだけでも生まれてきた価値はあるのではないかと私は思っています。

非常に簡単ではありますが、内容はスケッチにまとめたので、筆者について思ったことを書こうと思います。
 反出生主義についての全貌をまとめる知識を入れながら、自身も哲学、倫理学、生命学を行いながらも、感覚が普通の人でいられることに凄さを感じました。(今回は輪廻もそこまで馴染まないと話をしているところで普通の日本人といったほうが適切かもしれないです。)
 ほとんどの人は、理論に行きすぎて実践から離れてしまったり、知識量の多さに理解するまでの前提条件が高くしすぎてしまいがちだと私は思っているのですが、今回の本は内容が難しいのに、哲学を学んでない人にも、反出生主義を知らない人にもわかるように、書かれていたことからそう思いました。
 読む人がそれぞれなので、私のように感じる人もそうでない人もいると思うのですが、専門的に慣ればなるほど、経験すればするほど、元居た場所や多くの人がいるであろう場所から離れてしまうので、感覚は元居た場所や多くの人いる場所に置いておくことが大切で、私も気をつけなければならないなと思いました。

ところで、反出生主義の人は、自殺についてどう考えるのだろうか?と思っていたのですが、丁寧に書かれていました。その中の「生まれてこなければ良かった」という考え方と「死んでしまったほうがよい」という考えは全く別物だという文で納得しました。

レストランで注文を頼んで食べてみて、こんな料理だったら「頼まなかったほうがよかった」と思うのと、途中で「もう食べるのをやめてしまおう」と思うことが違うのと同じだと思いました。頼まなかったほうがよかったと思いながらも、食べ切ることもあるし、そう考えてなくても残すこともあります。
 反出生主義の人たちのスタンスは「頼まなかったほうがよかった」を前提としながら、「基本的に食べ残すことはよくない」「満腹感から逃れるという理由からは食べ残してならない」「食事の中で無意識に自然と残す分には良い」「これ以上食べるとお腹を壊すくらいなら残して良い」とそれぞれ違う考え方があるみたいでした。


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