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料理の四面体を読んで思うこと

料理の四面体
玉村豊男(著)

職場での夕飯はほぼ毎日カップ焼きそばである私は、当然家では料理はせず(できず)片付け担当です。料理に無頓着ではありますが、全ての料理は四面体で表せると書かれた本があると知り、そんな単純に形式化できるのかと興味を持ち、読んでみました。

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本の説明

料理界では有名な本で、ほとんどの料理人が読んでいるのではないかという本、だそうです。とはいえ、異端の書であり、批判の手紙も来たそうです。世界の国々で食べたものに関するエッセイが50話ほどあり、最後に料理の構造についてまとめられています。それぞれの話も面白いです。

筆者の思いを抜粋

いろいろ食べているうちに、世界でヒトの営みはそう変わらないので、料理の方法自体もそうは変わらないのではないか、と考えた。料理の一般的原理を見つけることは案外やさしい仕事ではないかと思えた。わずかな実例から独断的論理により強引に提示する。料理、食べ物、食べること…に関心を抱く全ての人に、この本を読んでもらいたい。

読んでのまとめスケッチ

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感想

料理はその土地の気候と文化から決定されることで、世界地図とおなじような料理体系図になると思っていましたが、料理の基礎要素は、①火②空気③水④油であり、その4要素が複雑に絡み合って料理ができるという一般的原理を知り、衝撃を受けます。さらに、それを可視化した「料理の四面体」という基本モデルが紹介されると、「まぁそう言われると確かにそうかも」と思えます。
一つの材料をこの四面体内のどこか1点に置くと、一つの料理が出来上がります。例に豆腐で書かれているので、気になる方は本書を読んでみてください。

四面体自体もすごいのですが、本書のすごいところは、
1.他国の料理を日本で作るには?と考える中で料理を形式化、抽象化していること。
2.人類学者の構造主義哲学から料理の四面体というアイデアを生み出したこと。
3.レシピを考える時に、最もシンプルで、かつ理にかなっている考え方として、今もなお評価されていること。
だと思います。

「自身の問題を解決する中、他分野の知識を取り込むことで、アイデアを生み出し、原理を可視化した上で発表し、40年経った今でも現場で使われている」
と書くと70文字程度ではありますが、恐ろしくすごいことだと思います。ただ、そんな偉業ではありますが、「刺身はサラダである」なんて書いたら、苦情の1つや2つは当然届くだろうなと思ったりもします。

今回は読んでも、私の料理スキルが変わるわけではありませんでしたが、これからは食べるときに「この料理は四面体のどの位置にあるのかなぁ」くらいは少し考えようかと思いました。


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