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進化論はいかに進化したかを読んで思うこと

進化論はいかに進化したか
更科功(著)

ほとんどの人(8割くらいの人)がダーウィンの進化論を誤解している知り、間違いなくその8割の中に入っている自信があったので、勉強のために読んでみることにしました。

「生物は突然変異で変化して、環境に対応できた種が生き残り、それを長い時間繰り返し進化をしてきた。世の中には多種の生物がいるが、それは細かな分岐の結果である。その分岐点や進化の連続性の繋がりが明確にはわからないことがまだあり、ミッシングリンクと言われている」

というのが私が思う(誤解している)ダーウィンの進化論です。

帯の通り読んで面白かったです。

どんな本か

ダーウィンの進化論のどこが正しくてどこが間違いかが説明されています。第1部では、ダーウィンを中心にして、誤解されやすい進化の学説についてが書かれていて、第 2部は、生物の進化の歴史において、誤解されやすいポイントが書かれています。

時々難しく飛ばしたくなる(飛ばしてしまった)箇所がありますが、帯に書かれている通り「語り口が絶妙で誰が読んでも面白い」ので思っていたよりも読みやすいです。ダーウィンの進化論に間違いや誤解があると書いてしまってますが、ダーウィンが偉大だってことが読んで改めてわかります。

筆者の考えだと思うこと

進化論という分野は、何十年にもわたって同じような誤解やとんでもない説が、繰り返し主張され続けている分野であり、現在でもその勢いは衰えていない。とんでもない説は、たいていダーウィンをやり玉に挙げる。たびたび見たり聞いたりするのは「ダーウィンの進化論は現在でも通用している」とダーウィンを持ち上げすぎたり、「ダーウィンなどもう時代遅れだ」と落としすぎたりする意見だ。でも、それらはどちらも正しくないし、ダーウィンを親しむ妨げになっていると思う。

本書では、話題をダーウィンから進化生物学まで、少し広げさせていただいた。ダーウィンや進化について、親しむきっかけになれば幸いです。

ダーウィンは神への信仰を持っていた時期と、神への信仰を失った時期の中間で『種の起源』を書いている。そのため『種の起源』は神学書のようでもあり科学書のようでもある、微妙な内容になっている。そしてダーウィンは間違ったこともたくさん言っている。でも、やっぱりダーウィンは、史上最大の進化生物学者なのだ。

読んでのまとめスケッチ

大体の勘違いを勘違いしてました。

読んでの感想

「現在の進化生物学は、突然変異とダーウィンの進化論だけで進化を説明しようとしている」と言った意見が後を経たないそうです。まさに冒頭私が書いたことを思っている人が多いようです。

極力整理して後で見返してわかるように内容をスケッチしてみました。

・ダーウィンの偉大さがわかる点
・そんなダーウィンでも間違っていた点
・私含む多くの人が勘違いしている点
・進化のメカニズムのまとめ

遺伝を含む生物のメカニズムが自然選択(闘争原理)よりも影響が大きく、進化の要因となってます。結構偶然要素が多いようです。今も色々な説が出ては消え、変わりながらも一つの進化生物学を形作っているそうです。後半に今西進化論という今西さんが考えた生物は主体性を持った進化を種が行えるという自然選択を否定した理論も出てきて、進化に対する理論の多さ・広さを知ることができます。

最初に「環境に対応できた種が生き残り」と書きましたが、「対応できない種が早く死に、対応できる種が多く生まる」が正確でそういった条件にならないと自然選択は起きないので、突然の遺伝変異が進化には大きく影響を与えていたそうです。

また、集団の個体数が多いと変化の効果が平均化されて、遺伝的浮動(遺伝の偶然性)の影響を受けづらいので、突然変異が起きたとしても平均化が進む安定性選択になっていくみたいです。

種が全体で相当な数がいると、さらに相当数の子孫を残さないと自然選択の影響を受けづらいことがわかります。そうすると今の人類は少子化が進んでいき、人口は増えていくので、人類として突発的な変化はなく、ゆっくりと自然選択に任せて変わっていくものかと思いました。
生まれて死ぬだけ、存在しているだけで人類の進化に貢献してました。

全体の変化はゆっくりとした中で行われるので、そっとしておいて良いとして、個人が変化しても種として遺伝子レベルに影響を与えないということもわかりました。そもそも「人類のために!」とか思って生きていないので今更ですが、安心して自分が好きなように生きれる(どんな変化を起こしてもあまり関係がないので安心)と思いました。とはいえ、そんな個人の変化についてはどう考えたらいいのかと思っていたところ、個(世代)の変化に書かれていた文章がありましたので、紹介します。

進化とは何か。それは「遺伝する形質が世代を超えて変化すること」だった。(略)だから姿形が変化したのは進化ではない。それは同じ個体の変化であって、世代を超えていないからだ。つまり、生物の変化には 2種類あって、世代を超えた変化が「進化」で。世代の中の変化が「発生」だ。

ということで個人の変化は「発生」と考えられます。

「発生」に関しても「進化」と同様に環境による影響が大きいのではないかと思っています。例えば、現場監督では現場監督の能力が身につきやすく、学校の先生であれば先生の、警察であれば警察の能力が身につきやすいとかで、環境により自然と得られることが個人の努力より大きいかと思います。

そうすると自分の「発生」を望む変化にするためにはそれが行われる「環境」に身をおくことが大事になります。

大規模な全体の環境は個人で影響を与えられなけれど、小規模の人数の環境を自ら変えることで自分や周りに主体的に影響を与えられ、望む「発生」を再現できるのではないかと考えました。

前に書いた今西進化論からの考えになりますが、主体的に動くことで「生物は自ら発生の方向を変えることができるのだ」と考えられています。

・自分が発生したい方向性を持つ環境に入ること
・自分が一緒に働きたい人が発生しやすい環境を作ること
・そのためにはまず自分がそうなりたい自分を始めること

が重要になりそうです。

例えば前向きな人と働きたければ、前向きになる環境を作る必要があり、そのためには結果自分が前向きにならないといけない。自分が望む形に自分がなっていかないといけないという進化論とは違って、だいぶミクロになってしまった「発生論」を個人的には意識的に考えながらこれから発生していこうと思います。

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